ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第一話 コレクター【事件編】

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 坂田とは付き合いが長いはずだった。だから、どんな表情だって見たことがあったはず。けれども、坂田が浮かべた笑みの中に見えた恍惚そうな何かに、楠野はゾッとした。

「この事件、俺達の身内――しかも、ごくごく近い人間の中に犯人がいるんだよ。いや、犯人も紫衣流を殺したのはやらかしたな。紫衣流は銀山の女で、そんじょそこらの雑魚じゃ、あいつに近づくこともできねぇ。それに、犯人が俺達の身近にいるのであれば、その前の2人の女を油断させるのはたやすい」

 被害者は3人だが、楠野達の身内という身内は、ごく最近の犠牲者となってしまった紫衣流だけだ。確かに紫衣流の懐に入って、抵抗もされずに腹を刺すとなると、相当の信頼関係を築いていないとできない。犯人は殺す相手を間違えてしまったわけか。反省して悔いるべきだ。

「なるほど、お前らが所属するチームの名前を使ったか。お前達の所属するチームは、雨立街の外でもそれなりに有名で、ネームブランドもある」

 巌鉄の言葉に坂田は頷いた。その目は活き活きとしていて、とても楽しそうだった。いいや、間違いない。坂田はこの状況を楽しんでいる。自分が疑われる身になっているというのに。

「まぁ、そういうことだ。何も知らずに雨立街に来た女でも、有名なチームの名前を聞けば警戒心を解く。そもそも、あんな街に来る女は、大抵がそういうもんに憧れみたいなのを抱いてんだよ。いざ蓋を開けてみたら、クズばっかりの集まりにすぎねぇのによ」

 巌鉄はもう何本目か分からなくなった煙草をくわえると「まぁ、思春期のガキにはありがちだなぁ」と漏らす。

「なぁ、鐘。お前なら分かるかもしれねぇけどよ、どうして年頃のガキってのは犯罪に憧れると思う?」

 思春期の子どもの中には、確かに悪いものに惹かれてしまう者もいる。その理由はいたってシンプルなのだと楠野は思う。坂田の問いに答えてやる。

「かっこいいからだろ? そういった悪いことに手を出すのは度胸が必要で、誰もができることじゃねぇからだ」

「そう、もっと言ってしまえば、そこが連中の知見の広さの限界なんだよ。ほら、小学校の頃、足が早いだけでモテたやつとかいただろ? でも、そいつが大人になってもモテ続けるかといったらそうじゃねぇ。そいつがモテたのは、あくまでも小学生の知見の広さの中で、足が早いってのはイケてたからだ。大人になれば知見も広くなる。つまり、何が言いたいか分かるか?」

 楠野の言葉に間髪入れずに被せると、改めて問いを提示してくる坂田。
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