ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【事件編】

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【3】

 坂田の言っていた撒き餌は、すぐに効果を表した。まさか、舞香と打ち合わせをする場で、すでにその効果を知ることになるとは思いも寄らなかったが。

 坂田がマスターにお願いして、早めに店を開けてもらったのか。それとも、一時的に貸し切りとしてもらったのか。詳しいことはよく分からないが、店には巌鉄達しかいない。

「いや、かなり反応が早かったな。もしかすると、掲示板を逐一チェックしているのかもしれねぇなぁ」

 テーブルを囲む巌鉄、坂田、舞香。舞香は心なしか、坂田と距離を取っているように見えた。坂田とは初対面だから、無意識に警戒しているのかもしれない。それでも、坂田と同じように携帯を取り出し、画面を見つめている。

「坂田、お前――それ盗んだりしてねぇだろうな?」

 携帯電話を所有するには、それなりの契約を携帯会社と結ばなければならない。だから、盗んだ可能性は低いのであるが、しかしどうしても坂田を疑いたくなる。

「するかよ。携帯ってのはベルと同じで契約しなきゃ使えねぇんだよ。例え店に置いてあるやつを盗んでも、回線を契約していなかったら使えねぇ。ちゃんと契約して買ったんだよ」

 あまり深く突っ込むのも面倒だし、本題から話が脱線し続けるのもどうかと思う。あえて巌鉄は「それならいい」と返すに留めた。そのかわりとばかりに舞香が口を開く。

「この【アキト】ってやつ、書き込みがあったその日に返信してる。多分、掲示板に常時貼り付いているんじゃない?」

 坂田の言っていた撒き餌とは、蓋を開けてみれば実にシンプルだった。すなわち、掲示板に書き込んだのだ。女性を装い、それこそウリをする相手を探しているかのごとく書き込みを、坂田は事前にしていたわけだ。

「貼り付いてはいないだろうな。確かに、書き込みのある時間帯は24時間不規則だ。朝だろうと昼だろうと夜だろうと、それこそ深夜であっても【アキト】の書き込みは散見される。こちらの書き込みに対しての返事ばかりだが、こう書き込む時間が不規則となると――」

「犯人は仕事をしていない可能性が高いってやつか? 例のプロなんとかだと」

 巌鉄の言葉に「プロファイリングな」と返し、坂田は小さく溜め息をひとつ。

「無職の可能性もないわけじゃないが、こちらの書き込みに対してのレスポンスを見て欲しい。ある時は書き込みの直後に返信があったり、またある時は書き込みから数時間空いてから返信があったりする。むしろ、即レスしているほうが少ない。いずれの返信にも、多少なりともの時間差がある。ここからあることが推測できる」
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