136 / 178
第二話 Q&A【事件編】
81
しおりを挟む
結局、化粧台らしきところにも異常はなし。当たり前だが、見つかっては困るものを、見つかりやすいところに置いたりはしない。時間をかけても構わないから、隅々まで探すべきだ。いやそうしてもらわないと、巌鉄は立場的に困る。
「あの女、思っていたより表裏がありそうだな。クスリの売人に加えて、刑事のおっさんと、あろうことか俺まで騙そうと企てた。そのうえ、きっと俺の存在を放っておくとまずいと思ったんだろうな。ブルーゼノの連中を使って襲撃までさせた。煮ても焼いても食えねぇ女だな」
舞香のことを悪く言われるのは、あまりいい気分ではない。なぜなら、この事件に巻き込まれることになったのは、舞香と巌鉄が葬式で会ってしまったからだ。思い返せば、最初から舞香は巌鉄を利用することつもりで近づいてきたのであろう。
「今度会ったらじっくりと話を聞いてやるよ。もちろん、署内の取調室でな」
「おっさんはそもそも人をしょっ引けねぇだろ? そういう権利を取り上げられたんだからよ」
今度はベッドのシーツを剥がし始めた坂田。マットを外すと、マットレスをひっくり返してみる。
「補導って形なら、署までしょっ引いても問題ねぇだろうよ。なんとでもなる」
マットレスを手で触りながら、眉をひそめる坂田。
「警察も割りかし適当だよなぁ。これだから公務員は」
そして、マットレスのある部分を何度も触り続ける。そして、マットレスの表面を力任せに引っ張った。すると、どうやらマジックテープで貼り付けられていただけらしい。マットの表面がぺらりとめくれた。
「ビンゴだ。人間ってのは何か隠す時、できるかぎり身近にそれを置こうとする。だから、普段寝起きしているベッドや、敷いてあるマットレスが怪しかったりするもんだ」
マットレスの中から出てきたのは、ビニール袋で密閉されている錠剤のクスリだった。これだけで、どれくらいの価格になるだろうか。脱法のクスリであっても、そこまで法外な金額は取らないだろうが、かなりの金額にはなるはずだ。
「おっさん、こいつを鑑識かどっかに回せるだろ? 至急、調べてくれよ。こいつがスマイルとやらと同じ成分なのかを」
坂田からビニール袋を受け取る巌鉄。現場を調べる際に手袋をはめる癖は、現場を離れた今でもなおってはいなかった。
「こいつはいよいよ、本格的に舞香が怪しくなってきたな」
巌鉄の言葉に、人の家だというのに煙草をくわえると、坂田はつぶやいた。
「あぁ、あの女……まだなにか隠してるぞ」
「あの女、思っていたより表裏がありそうだな。クスリの売人に加えて、刑事のおっさんと、あろうことか俺まで騙そうと企てた。そのうえ、きっと俺の存在を放っておくとまずいと思ったんだろうな。ブルーゼノの連中を使って襲撃までさせた。煮ても焼いても食えねぇ女だな」
舞香のことを悪く言われるのは、あまりいい気分ではない。なぜなら、この事件に巻き込まれることになったのは、舞香と巌鉄が葬式で会ってしまったからだ。思い返せば、最初から舞香は巌鉄を利用することつもりで近づいてきたのであろう。
「今度会ったらじっくりと話を聞いてやるよ。もちろん、署内の取調室でな」
「おっさんはそもそも人をしょっ引けねぇだろ? そういう権利を取り上げられたんだからよ」
今度はベッドのシーツを剥がし始めた坂田。マットを外すと、マットレスをひっくり返してみる。
「補導って形なら、署までしょっ引いても問題ねぇだろうよ。なんとでもなる」
マットレスを手で触りながら、眉をひそめる坂田。
「警察も割りかし適当だよなぁ。これだから公務員は」
そして、マットレスのある部分を何度も触り続ける。そして、マットレスの表面を力任せに引っ張った。すると、どうやらマジックテープで貼り付けられていただけらしい。マットの表面がぺらりとめくれた。
「ビンゴだ。人間ってのは何か隠す時、できるかぎり身近にそれを置こうとする。だから、普段寝起きしているベッドや、敷いてあるマットレスが怪しかったりするもんだ」
マットレスの中から出てきたのは、ビニール袋で密閉されている錠剤のクスリだった。これだけで、どれくらいの価格になるだろうか。脱法のクスリであっても、そこまで法外な金額は取らないだろうが、かなりの金額にはなるはずだ。
「おっさん、こいつを鑑識かどっかに回せるだろ? 至急、調べてくれよ。こいつがスマイルとやらと同じ成分なのかを」
坂田からビニール袋を受け取る巌鉄。現場を調べる際に手袋をはめる癖は、現場を離れた今でもなおってはいなかった。
「こいつはいよいよ、本格的に舞香が怪しくなってきたな」
巌鉄の言葉に、人の家だというのに煙草をくわえると、坂田はつぶやいた。
「あぁ、あの女……まだなにか隠してるぞ」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ミノタウロスの森とアリアドネの嘘
鬼霧宗作
ミステリー
過去の記録、過去の記憶、過去の事実。
新聞社で働く彼女の元に、ある時8ミリのビデオテープが届いた。再生してみると、それは地元で有名なミノタウロスの森と呼ばれる場所で撮影されたものらしく――それは次第に、スプラッター映画顔負けの惨殺映像へと変貌を遂げる。
現在と過去をつなぐのは8ミリのビデオテープのみ。
過去の謎を、現代でなぞりながらたどり着く答えとは――。
――アリアドネは嘘をつく。
(過去に別サイトにて掲載していた【拝啓、15年前より】という作品を、時代背景や登場人物などを一新してフルリメイクしました)
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる