ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【事件編】

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 結局、化粧台らしきところにも異常はなし。当たり前だが、見つかっては困るものを、見つかりやすいところに置いたりはしない。時間をかけても構わないから、隅々まで探すべきだ。いやそうしてもらわないと、巌鉄は立場的に困る。

「あの女、思っていたより表裏がありそうだな。クスリの売人に加えて、刑事のおっさんと、あろうことか俺まで騙そうと企てた。そのうえ、きっと俺の存在を放っておくとまずいと思ったんだろうな。ブルーゼノの連中を使って襲撃までさせた。煮ても焼いても食えねぇ女だな」 

 舞香のことを悪く言われるのは、あまりいい気分ではない。なぜなら、この事件に巻き込まれることになったのは、舞香と巌鉄が葬式で会ってしまったからだ。思い返せば、最初から舞香は巌鉄を利用することつもりで近づいてきたのであろう。

「今度会ったらじっくりと話を聞いてやるよ。もちろん、署内の取調室でな」

「おっさんはそもそも人をしょっ引けねぇだろ? そういう権利を取り上げられたんだからよ」

 今度はベッドのシーツを剥がし始めた坂田。マットを外すと、マットレスをひっくり返してみる。

「補導って形なら、署までしょっ引いても問題ねぇだろうよ。なんとでもなる」

 マットレスを手で触りながら、眉をひそめる坂田。

「警察も割りかし適当だよなぁ。これだから公務員は」

 そして、マットレスのある部分を何度も触り続ける。そして、マットレスの表面を力任せに引っ張った。すると、どうやらマジックテープで貼り付けられていただけらしい。マットの表面がぺらりとめくれた。

「ビンゴだ。人間ってのは何か隠す時、できるかぎり身近にそれを置こうとする。だから、普段寝起きしているベッドや、敷いてあるマットレスが怪しかったりするもんだ」

 マットレスの中から出てきたのは、ビニール袋で密閉されている錠剤のクスリだった。これだけで、どれくらいの価格になるだろうか。脱法のクスリであっても、そこまで法外な金額は取らないだろうが、かなりの金額にはなるはずだ。

「おっさん、こいつを鑑識かどっかに回せるだろ? 至急、調べてくれよ。こいつがスマイルとやらと同じ成分なのかを」

 坂田からビニール袋を受け取る巌鉄。現場を調べる際に手袋をはめる癖は、現場を離れた今でもなおってはいなかった。

「こいつはいよいよ、本格的に舞香が怪しくなってきたな」

 巌鉄の言葉に、人の家だというのに煙草をくわえると、坂田はつぶやいた。

「あぁ、あの女……まだなにか隠してるぞ」
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