ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【事件編】

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「えー、困るよぉ」

 困惑する管理人をよそに、坂田の携帯電話が鳴る。いつなんどき、どこにいても連絡が取れるというのは便利な反面、なんだか息苦しいような気もした。

「はい」

 見知らぬ電話番号からの着信だが、構うことなく電話に出る坂田。すると、聞いたことのある声が聞こえてきた。

「おう、坂田か。俺だ、巌鉄だ。倉科の携帯を借りて電話してる」

 思ったよりも警察の動きは早かったらしい。迅速に、オペレーターから巌鉄に繋げてもらえたようだ。

「なんでもいいけどよ、早いとこ最初の事件の現場になったホテルに来てくれ。例の部屋――もう一体、死体が転がってんぞ」

 オペレーターから概要は聞いていただろうが、実際に聞いて巌鉄も驚いたようだった。

「坂田、そりゃどういうことだ? 何かの悪い冗談だったり――」

「するわけねぇだろ。浴室の点検口から天井裏に出たところに、身元不明の死体が転がってんだよ。あんな場所、死体を隠そうとでもしない限り、勝手に死体が転がり込むような場所でもない。あの事件現場で、加藤千秋以外に、もう一人の人間が殺されてる。時系列的に考えると、多分加藤千秋が殺害される前に殺されたんだろうな」

 坂田の言葉を理解するのに、多少の時間を要したらしい。文字通り時間差で「そのもう一人ってのは誰なんだ?」と巌鉄から帰ってくる。

「それを調べんのがおっさん達の仕事だろ?」

 正論で返してやると「とにかく、急いで来てくれ」とだけ伝えて電話を切る。警察の人間とて完璧ではないから、ミスをすることはあるだろう。しかしながら、現場での死体の見落としは許されない。鑑識の人間も入っていただろうし、見落としました――では済まされない。

「あ、ビデオテープも確認してもらうべきだったか」

 電話を切った直後に思い出すが、しかしもう遅い。ただ、このホテルの出入りを監視したテープの確認は、うまくいけば事件の解決に直結することなもなり得る。巌鉄と合流したら確認してみなければ。

「警察がじきくるからよ。対応してやってくれよ」

 坂田の電話が終わるのを待っていた管理人に言うと、肩をポンと叩く。

「うう……どうしてよりによって、ここのホテルなんだよ。他にもホテル、いっばいあるのに」

 それに関しては同情するが、しかしどうにもできない。運が悪かったとしか言いようがないだろう。
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