ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【解決編】

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 ほとんど負け惜しみだった。千秋の事件……彼女の異常性が引き起こしてしまった事件を利用して、クスリを独占しようと思い立ったのは、事の事情を千秋の父親から聞いた時のことだった。

 クスリが儲かることは知っていた。そうでなければ、誰が好んで、気持ちの悪いおっさんに対して股を開くものか。世の男性というのは、稀有なパターンがあることを知っていて、だから自分もうまくやれば若い女と交際できると勘違いしている。基本的にそのような発想を持っている男は気持ち悪いし、だから同世代の女性にも相手にされないのだと思う。自分も売れ残った人間だというのに、相手に鮮度を求めるとは、実にけしからん。

 そのようなカップルが実際にいる。それが悪い意味でモテないおっさん達の希望になってしまっているが、だからそれは稀有なパターンなのである。売り手市場の若い女が、引く手数多なのに、なぜ市場から売れ残ってしまった負け犬になびくのか。なびくわけがないだろう。

 舞香が加藤千秋の父親に近づいたのは、クスリを手にするため、そしてあわよくばクスリを我が物とするためだった。そのためであれば、歳の離れたおっさんの気持ち悪いものも受け入れることができた。

 ずっと我慢してきた舞香からすれば、加藤千秋の異常とも呼べる自傷癖はチャンスだった。こうして、事件は起きてしまい、また本人の自傷行為を手伝うという形で、父親が加藤千秋を殺めることになってしまった。これほど、舞香にとって好都合なことはなかった。

 加藤千秋の父親が警察に逮捕されれば、クスリの利権を独り占めすることができる。そのためには、真相を暴いてくれるような人材が必要となる。だからこそ巌鉄と坂田に白羽の矢が立ったわけだ。それにくわえて、すでに甘い汁を吸っていたブルーゼノもどうかしたかった。全ては、クスリを我が物にするために。ただそれだけのために彼女は暗躍していたのだった。

「まぁ、なんというかな。本当の頭がおかしい奴ってのは、目的のために手段を厭わない。むしろ、友人だった加藤千秋が死んだところで、ラッキー程度にしか思ってないんだろう? お前、本物の異常者だよ。素質あるぜ」

 坂田はそう言うと、異常を察した周囲に向かって、わざとらしく声をあげる。

「もう少ししたら、警察のガサが入るからな! 捕まりたくねぇ奴、後ろめたいことがある奴はさっさと帰っておいたほうがいいぞ!」
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