6 / 203
プロローグ
6
しおりを挟む
オートロックを解除して、自分の部屋へと向かう。私の部屋は5階にあった。もちろん賃貸であり、月々それなりの家賃も払っていた。安いに越したことはないのであるが、安心を買うという意味では、やや高い経費を払うことも仕方なしだと思っている。もっとも、郵便物に対する防犯意識のようなものは低い。エントランスに集合ポストがあるくらいだから。まぁ、それを引っくるめて、それなりの家賃ということに落ち着いているのであろう。
部屋の鍵を開けると、その先には誰もいない殺風景な部屋が広がっている。形式的には2LDKになるのだろうが、私には少し広すぎる。一応、寝室なんてものを作ってはみたものの、リビングのソファーで寝落ちしてしまうことも多い。こういうところは、我ながら中々にズボラだなと思うことがあった。
帰宅してすぐにシャワーを浴びる。シャワーから出ると、まだ乾いていない髪の毛をタオルで拭きつつ、冷蔵庫からビール缶を取り出す。基本的に徒歩で帰ってくるものだから、家に到着する頃には喉が渇いている。水分を補給したいところを堪えてシャワーへと向かい、シャワーからあがると同時にビールを流し込む。これが堪らない――と言ったら同僚に「おっさんか」と突っ込まれた。おっさんではなかろうとも、私に賛同してくれる人は世の中に沢山いることだろう。
今日も今日とてビールで喉の渇きをうるおし、生きていることを実感する。アルコールは体にとってデメリットしかないと分かっているのに、身を削って生きていることを実感するなんて、中々にハードボイルドである。
ビール缶を片手に、冷蔵庫の中にあったもので簡単に料理をする。できあがったのは野菜炒めと冷や奴。追加のビール缶を手に取ると、リビングテーブルの上に料理と一緒に並べた。
――晩酌の時間こそが至福の時である。
SNSで俗に【映える】とかいう写真ばかり貼りつけているキラキラ女子に言いたい。どこぞの並ばないと食べられないスイーツより、どこぞのお洒落なランチより、晩酌こそが映える。私的に映える。酔っ払った勢いで何度かSNSにアップしたことがあるのだが、見ず知らずのおじ様達からのコメントが数件つく程度だ。
2本目を開けようとして、本田さんから借りてきた機材のことを思い出す。いつもならば、定額映像サービスなどで映画でも観て過ごすのであるが、今日は少し特別な映像があるではないか。酔っ払ってからでは設置に手間取りそうだから、今のうちに設置し、晩酌がてらに8ミリビデオテープの中身を確認してみよう。
部屋の鍵を開けると、その先には誰もいない殺風景な部屋が広がっている。形式的には2LDKになるのだろうが、私には少し広すぎる。一応、寝室なんてものを作ってはみたものの、リビングのソファーで寝落ちしてしまうことも多い。こういうところは、我ながら中々にズボラだなと思うことがあった。
帰宅してすぐにシャワーを浴びる。シャワーから出ると、まだ乾いていない髪の毛をタオルで拭きつつ、冷蔵庫からビール缶を取り出す。基本的に徒歩で帰ってくるものだから、家に到着する頃には喉が渇いている。水分を補給したいところを堪えてシャワーへと向かい、シャワーからあがると同時にビールを流し込む。これが堪らない――と言ったら同僚に「おっさんか」と突っ込まれた。おっさんではなかろうとも、私に賛同してくれる人は世の中に沢山いることだろう。
今日も今日とてビールで喉の渇きをうるおし、生きていることを実感する。アルコールは体にとってデメリットしかないと分かっているのに、身を削って生きていることを実感するなんて、中々にハードボイルドである。
ビール缶を片手に、冷蔵庫の中にあったもので簡単に料理をする。できあがったのは野菜炒めと冷や奴。追加のビール缶を手に取ると、リビングテーブルの上に料理と一緒に並べた。
――晩酌の時間こそが至福の時である。
SNSで俗に【映える】とかいう写真ばかり貼りつけているキラキラ女子に言いたい。どこぞの並ばないと食べられないスイーツより、どこぞのお洒落なランチより、晩酌こそが映える。私的に映える。酔っ払った勢いで何度かSNSにアップしたことがあるのだが、見ず知らずのおじ様達からのコメントが数件つく程度だ。
2本目を開けようとして、本田さんから借りてきた機材のことを思い出す。いつもならば、定額映像サービスなどで映画でも観て過ごすのであるが、今日は少し特別な映像があるではないか。酔っ払ってからでは設置に手間取りそうだから、今のうちに設置し、晩酌がてらに8ミリビデオテープの中身を確認してみよう。
0
あなたにおすすめの小説
異国妃の宮廷漂流記
花雨宮琵
キャラ文芸
唯一の身内である祖母を失った公爵令嬢・ヘレナに持ち上がったのは、元敵国の皇太子・アルフォンスとの縁談。
夫となる人には、愛する女性と皇子がいるという。
いずれ離縁される“お飾りの皇太子妃”――そう冷笑されながら、ヘレナは宮廷という伏魔殿に足を踏み入れる。 冷徹と噂される皇太子とのすれ違い、宮中に渦巻く陰謀、そして胸の奥に残る初恋の記憶。
これは、居場所を持たないお転婆な花嫁が、自ら絆を紡ぎ、愛と仲間を得て”自分の居場所”を創りあげるまでの物語。ときに騒がしく、とびきり愛おしい――笑って泣ける、異国妃のサバイバル宮廷譚。最後はハッピーエンドです。
※本作は2年前にカクヨム、エブリスタに掲載していた物語『元敵国に嫁いだ皇太子妃は、初恋の彼に想いを馳せる』を大幅に改稿し、別作品として仕上げたものです。
© 花雨宮琵 2025 All Rights Reserved. 無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
★ ルノルマン・カード ☆ 2枚のカードで明日をリーディング ★
なずみ智子
エッセイ・ノンフィクション
お世話になっております。
2020年1月5日、拙作「 ★ ルノルマン・カード ☆ 2枚のカードで明日をリーディング ★」は、ひとまず完結とさせていただきました。
完結としました理由は以下となります。
・ 現在、連載中の長編の更新や短編の発表に力を注ぎたいため
・ どこまで日常(プライベート)を明記していいのかに悩み、曖昧で抽象的なことしか書けなくなっているため
誠に申し訳ございませんが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
2020年1月5日
なずみ智子
【完結】ふたつ星、輝いて 〜あやし兄弟と町娘の江戸捕物抄〜
上杉
歴史・時代
■歴史小説大賞奨励賞受賞しました!■
おりんは江戸のとある武家屋敷で下女として働く14歳の少女。ある日、突然屋敷で母の急死を告げられ、自分が花街へ売られることを知った彼女はその場から逃げだした。
母は殺されたのかもしれない――そんな絶望のどん底にいたおりんに声をかけたのは、奉行所で同心として働く有島惣次郎だった。
今も刺客の手が迫る彼女を守るため、彼の屋敷で住み込みで働くことが決まる。そこで彼の兄――有島清之進とともに生活を始めるのだが、病弱という噂とはかけ離れた腕っぷしのよさに、おりんは驚きを隠せない。
そうしてともに生活しながら少しづつ心を開いていった――その矢先のことだった。
母の命を奪った犯人が発覚すると同時に、何故か兄清之進に凶刃が迫り――。
とある秘密を抱えた兄弟と町娘おりんの紡ぐ江戸捕物抄です!お楽しみください!
※フィクションです。
※周辺の歴史事件などは、史実を踏んでいます。
皆さまご評価頂きありがとうございました。大変嬉しいです!
今後も精進してまいります!
ワシの子を産んでくれんか
KOU/Vami
ライト文芸
妻に先立たれ、息子まで亡くした老人は、息子の妻である若い未亡人と二人きりで古い家に残された。
「まだ若い、アンタは出て行って生き直せ」――そう言い続けるのは、彼女の未来を守りたい善意であり、同時に、自分の寂しさが露見するのを恐れる防波堤でもあった。
しかし彼女は去らない。義父を一人にできないという情と、家に残る最後の温もりを手放せない心が、彼女の足を止めていた。
昼はいつも通り、義父と嫁として食卓を囲む。けれど夜になると、喪失の闇と孤独が、二人の境界を静かに溶かしていく。
ある夜を境に、彼女は“何事もない”顔で日々を回し始め、老人だけが遺影を直視できなくなる。
救いのような笑顔と、罪のような温もり。
二人はやがて、外の世界から少しずつ音を失い、互いだけを必要とする狭い家の中へ沈んでいく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる