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第四章 ミノタウロスはいる【現在 七色七奈】
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「とりあえず、ここまで出てきた登場人物は、全部でこれだけだ。赤松朱里、宝田羽衣、谷惇、高田富臣、依田由美香、細川茜、鏑木孝義、湯川智昭、丸山夏帆――の九人。そのうち、安否が不明なのが……宝田羽衣と谷惇か」
黒板に名前を箇条書きのごとく書き出すと、宝田羽衣と谷惇の名前の脇に【安否不明】と書き足す大和田。高田富臣と依田由美香のカップルにも不穏な空気が迫っていたが、現状で確実に安否が不明なのは、宝田羽衣と谷惇の両名だ。
細川茜と鏑木孝義がどこに行ったのかは不明であるが、しかし依田由美香があまり慌てていないところから察するに、おそらく――。
「高田富臣と依田由美香に関しては、おそらく計画的に二人きりにさせられていますね。依田由美香の行動から察するに、事前に鏑木孝義か細川茜のいずれかと打ち合わせして、あえてはぐれたような印象があります」
依田由美香の態度からして、高田富臣と二人きりになることは予定調和のように見える。普通、一緒に来ていた仲間が行方をくらませば、多少なりとも動揺するはずだが、彼女にはそれが見られなかった。
「となると、細川茜と鏑木孝義は、あの場から自ら離れたってことか。確かに、急に二人揃って姿を消した理由としては、それがもっともらしいか」
大和田が改めて三本目のビデオテープをセットし、巻き戻そうとする。そこで私は気づいた。まだ三本目に関しては、最後まで観ていないではないか。テープの終わりを示唆するかのごとく、砂嵐が流れた時点で、さっさと大和田がビデオを止めてしまったのが原因だ。
「大和田さん。次のテープの場所――まだ三本目の分を見ていない」
内容が徐々に複雑化し始め、しかも登場人物が急に増えたものだから、大和田の頭からそのことがすっかり抜け落ちてしまっていたのであろう。
「あぁ、言われてみればそうだ。砂嵐が流れたから、すっかり終わった気になってた」
巻き戻しボタンに伸ばした手を引っ込めると、そのまま再生をする大和田。駐在所の小さな空間の中に、砂嵐の音が変に響いた。まだ昼間だというのに、空にはどんよりとした雲がかかり、辺りは薄暗い。雨が降ってきそうだ。
――ミノタウロスは誰?
砂嵐が終わったと同時に、真っ暗になった画面に浮かび上がったテロップ。思わず寒気がした。
またしても画面が切り替わる。そして、またしても学校らしき建物を映し出した。ただ、私が今朝調べた小学校とはまた別の建物だ。
黒板に名前を箇条書きのごとく書き出すと、宝田羽衣と谷惇の名前の脇に【安否不明】と書き足す大和田。高田富臣と依田由美香のカップルにも不穏な空気が迫っていたが、現状で確実に安否が不明なのは、宝田羽衣と谷惇の両名だ。
細川茜と鏑木孝義がどこに行ったのかは不明であるが、しかし依田由美香があまり慌てていないところから察するに、おそらく――。
「高田富臣と依田由美香に関しては、おそらく計画的に二人きりにさせられていますね。依田由美香の行動から察するに、事前に鏑木孝義か細川茜のいずれかと打ち合わせして、あえてはぐれたような印象があります」
依田由美香の態度からして、高田富臣と二人きりになることは予定調和のように見える。普通、一緒に来ていた仲間が行方をくらませば、多少なりとも動揺するはずだが、彼女にはそれが見られなかった。
「となると、細川茜と鏑木孝義は、あの場から自ら離れたってことか。確かに、急に二人揃って姿を消した理由としては、それがもっともらしいか」
大和田が改めて三本目のビデオテープをセットし、巻き戻そうとする。そこで私は気づいた。まだ三本目に関しては、最後まで観ていないではないか。テープの終わりを示唆するかのごとく、砂嵐が流れた時点で、さっさと大和田がビデオを止めてしまったのが原因だ。
「大和田さん。次のテープの場所――まだ三本目の分を見ていない」
内容が徐々に複雑化し始め、しかも登場人物が急に増えたものだから、大和田の頭からそのことがすっかり抜け落ちてしまっていたのであろう。
「あぁ、言われてみればそうだ。砂嵐が流れたから、すっかり終わった気になってた」
巻き戻しボタンに伸ばした手を引っ込めると、そのまま再生をする大和田。駐在所の小さな空間の中に、砂嵐の音が変に響いた。まだ昼間だというのに、空にはどんよりとした雲がかかり、辺りは薄暗い。雨が降ってきそうだ。
――ミノタウロスは誰?
砂嵐が終わったと同時に、真っ暗になった画面に浮かび上がったテロップ。思わず寒気がした。
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