ミノタウロスの森とアリアドネの嘘

鬼霧宗作

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第四章 ミノタウロスはいる【現在 七色七奈】

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「よし、それじゃあ棚田沢中学校に向かう段取りをしておこう。ただ、こっちの小学校と違って、あっちはまだ学校として普通に機能しているからなぁ。とりあえず電話を入れておくか」

 私がビデオテープを手に入れた、かつての母校は、すでに廃校になっていたこともあり、簡単に入り込むことができた。もっとも、大和田に注意を受けてしまったわけだが――。まぁ、それがあったからこそ、大和田が同行してくれている。

「棚田沢中学校には、今も生徒が通っているってことですか?」

 私の問いかけに、電話機の受話器を持ち上げながら頷く大和田。

「あぁ、統合の話なんかも上がってるみたいだけど、今でさえバス通学の生徒が多いのに、さらに統合で学校が少なくなると、色々と不便だろ? 特にこの辺りの子ども達は、棚田沢中学校がなくなったら、通学に一時間なんてことになりかねない。反対意見も多くて、いまだに統合の話は保留にされたままだよ」

 ここから先は私の全く知らない世界だ。大和田がいなかったら、ここで行き詰まっていたかもしれない。そんな大和田は電話をかける。

「あー、いつもすいません。今日、ちょっとそっちにお邪魔させてもらって構いませんでしょうか? はい、放課後で構いませんので」

 電話をかけた先は棚田沢中学校のようだ。つくづく、大和田がいてくれて助かった。私だけだったら、そもそもどこの中学校かさえ分からないままだっただろう。大和田は挨拶をすると電話を切った。

「よし、とりあえず放課後であれば顔を出せるようにしておいた。ここの中学校には、交通指導とかで顔を出させてもらうことが多くてね。知り合いの教員も多いんだ」

 頼るべきは大和田の駐在としてのコネクションか。次のビデオテープが手に入るかどうかは別にして、棚田沢中学校にコンタクトはできるようだ。

「放課後になるまで、少し時間があるな。その間に、俺は仕事をした振りでもしようかな」

 そう言って大きく背伸びをする大和田。さて、私はどうしようか。

「私はちょっとこれまでの映像を整理してみたいかな。邪魔にならないようにするから、場所とテレビを借りてもいいですか?」

 時間を潰すにしたって、こんな何もない片田舎では、せいぜい辺りを散歩する程度が関の山だ。何度も見返す気にもなれないのだが、改めて見返すことによって発見できることもあるかもしれない。大和田さえ良ければ、テレビを借りてビデオを見るのが一番良い時間の使い方になるだろう。
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