85 / 203
第四章 ミノタウロスはいる【現在 七色七奈】
6
しおりを挟む
「よし、それじゃあ棚田沢中学校に向かう段取りをしておこう。ただ、こっちの小学校と違って、あっちはまだ学校として普通に機能しているからなぁ。とりあえず電話を入れておくか」
私がビデオテープを手に入れた、かつての母校は、すでに廃校になっていたこともあり、簡単に入り込むことができた。もっとも、大和田に注意を受けてしまったわけだが――。まぁ、それがあったからこそ、大和田が同行してくれている。
「棚田沢中学校には、今も生徒が通っているってことですか?」
私の問いかけに、電話機の受話器を持ち上げながら頷く大和田。
「あぁ、統合の話なんかも上がってるみたいだけど、今でさえバス通学の生徒が多いのに、さらに統合で学校が少なくなると、色々と不便だろ? 特にこの辺りの子ども達は、棚田沢中学校がなくなったら、通学に一時間なんてことになりかねない。反対意見も多くて、いまだに統合の話は保留にされたままだよ」
ここから先は私の全く知らない世界だ。大和田がいなかったら、ここで行き詰まっていたかもしれない。そんな大和田は電話をかける。
「あー、いつもすいません。今日、ちょっとそっちにお邪魔させてもらって構いませんでしょうか? はい、放課後で構いませんので」
電話をかけた先は棚田沢中学校のようだ。つくづく、大和田がいてくれて助かった。私だけだったら、そもそもどこの中学校かさえ分からないままだっただろう。大和田は挨拶をすると電話を切った。
「よし、とりあえず放課後であれば顔を出せるようにしておいた。ここの中学校には、交通指導とかで顔を出させてもらうことが多くてね。知り合いの教員も多いんだ」
頼るべきは大和田の駐在としてのコネクションか。次のビデオテープが手に入るかどうかは別にして、棚田沢中学校にコンタクトはできるようだ。
「放課後になるまで、少し時間があるな。その間に、俺は仕事をした振りでもしようかな」
そう言って大きく背伸びをする大和田。さて、私はどうしようか。
「私はちょっとこれまでの映像を整理してみたいかな。邪魔にならないようにするから、場所とテレビを借りてもいいですか?」
時間を潰すにしたって、こんな何もない片田舎では、せいぜい辺りを散歩する程度が関の山だ。何度も見返す気にもなれないのだが、改めて見返すことによって発見できることもあるかもしれない。大和田さえ良ければ、テレビを借りてビデオを見るのが一番良い時間の使い方になるだろう。
私がビデオテープを手に入れた、かつての母校は、すでに廃校になっていたこともあり、簡単に入り込むことができた。もっとも、大和田に注意を受けてしまったわけだが――。まぁ、それがあったからこそ、大和田が同行してくれている。
「棚田沢中学校には、今も生徒が通っているってことですか?」
私の問いかけに、電話機の受話器を持ち上げながら頷く大和田。
「あぁ、統合の話なんかも上がってるみたいだけど、今でさえバス通学の生徒が多いのに、さらに統合で学校が少なくなると、色々と不便だろ? 特にこの辺りの子ども達は、棚田沢中学校がなくなったら、通学に一時間なんてことになりかねない。反対意見も多くて、いまだに統合の話は保留にされたままだよ」
ここから先は私の全く知らない世界だ。大和田がいなかったら、ここで行き詰まっていたかもしれない。そんな大和田は電話をかける。
「あー、いつもすいません。今日、ちょっとそっちにお邪魔させてもらって構いませんでしょうか? はい、放課後で構いませんので」
電話をかけた先は棚田沢中学校のようだ。つくづく、大和田がいてくれて助かった。私だけだったら、そもそもどこの中学校かさえ分からないままだっただろう。大和田は挨拶をすると電話を切った。
「よし、とりあえず放課後であれば顔を出せるようにしておいた。ここの中学校には、交通指導とかで顔を出させてもらうことが多くてね。知り合いの教員も多いんだ」
頼るべきは大和田の駐在としてのコネクションか。次のビデオテープが手に入るかどうかは別にして、棚田沢中学校にコンタクトはできるようだ。
「放課後になるまで、少し時間があるな。その間に、俺は仕事をした振りでもしようかな」
そう言って大きく背伸びをする大和田。さて、私はどうしようか。
「私はちょっとこれまでの映像を整理してみたいかな。邪魔にならないようにするから、場所とテレビを借りてもいいですか?」
時間を潰すにしたって、こんな何もない片田舎では、せいぜい辺りを散歩する程度が関の山だ。何度も見返す気にもなれないのだが、改めて見返すことによって発見できることもあるかもしれない。大和田さえ良ければ、テレビを借りてビデオを見るのが一番良い時間の使い方になるだろう。
0
あなたにおすすめの小説
☘ 注意する都度何もない考え過ぎだと言い張る夫、なのに結局薬局疚しさ満杯だったじゃんか~ Bakayarou-
設楽理沙
ライト文芸
☘ 2025.12.18 文字数 70,089 累計ポイント 677,945 pt
夫が同じ社内の女性と度々仕事絡みで一緒に外回りや
出張に行くようになって……あまりいい気はしないから
やめてほしいってお願いしたのに、何度も……。❀
気にし過ぎだと一笑に伏された。
それなのに蓋を開けてみれば、何のことはない
言わんこっちゃないという結果になっていて
私は逃走したよ……。
あぁ~あたし、どうなっちゃうのかしらン?
ぜんぜん明るい未来が見えないよ。。・゜・(ノε`)・゜・。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
初回公開日時 2019.01.25 22:29
初回完結日時 2019.08.16 21:21
再連載 2024.6.26~2024.7.31 完結
❦イラストは有償画像になります。
2024.7 加筆修正(eb)したものを再掲載
名乗るほどの者ではございませんが、チャーシューは大盛りです
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
コールはしがないラーメン屋の息子である。
たとえ父が異世界から転生し、母が魔王の娘であっても、コール自身は何の取り柄もない、普通の少年だ。
それでもこの世界に『ラーメン』という概念を持ち込み、客を笑顔にさせられる両親を尊敬していたし、自分もまた店を立派に引き継いで、可愛い嫁をもらうのが夢だったのだ。
そんなある日、いつものように出前から帰ろうとすると、どこからかラーメンの匂いが漂ってきた。注文を受けた家とは逆方向から、『かわいいオーガスティン』のメロディーと共に。
※第2回次世代ファンタジーカップ参加作品。「豚飼い王子」をテーマに書きました。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
ワシの子を産んでくれんか
KOU/Vami
ライト文芸
妻に先立たれ、息子まで亡くした老人は、息子の妻である若い未亡人と二人きりで古い家に残された。
「まだ若い、アンタは出て行って生き直せ」――そう言い続けるのは、彼女の未来を守りたい善意であり、同時に、自分の寂しさが露見するのを恐れる防波堤でもあった。
しかし彼女は去らない。義父を一人にできないという情と、家に残る最後の温もりを手放せない心が、彼女の足を止めていた。
昼はいつも通り、義父と嫁として食卓を囲む。けれど夜になると、喪失の闇と孤独が、二人の境界を静かに溶かしていく。
ある夜を境に、彼女は“何事もない”顔で日々を回し始め、老人だけが遺影を直視できなくなる。
救いのような笑顔と、罪のような温もり。
二人はやがて、外の世界から少しずつ音を失い、互いだけを必要とする狭い家の中へ沈んでいく――。
異国妃の宮廷漂流記
花雨宮琵
キャラ文芸
唯一の身内である祖母を失った公爵令嬢・ヘレナに持ち上がったのは、元敵国の皇太子・アルフォンスとの縁談。
夫となる人には、愛する女性と皇子がいるという。
いずれ離縁される“お飾りの皇太子妃”――そう冷笑されながら、ヘレナは宮廷という伏魔殿に足を踏み入れる。 冷徹と噂される皇太子とのすれ違い、宮中に渦巻く陰謀、そして胸の奥に残る初恋の記憶。
これは、居場所を持たないお転婆な花嫁が、自ら絆を紡ぎ、愛と仲間を得て”自分の居場所”を創りあげるまでの物語。ときに騒がしく、とびきり愛おしい――笑って泣ける、異国妃のサバイバル宮廷譚。最後はハッピーエンドです。
※本作は2年前にカクヨム、エブリスタに掲載していた物語『元敵国に嫁いだ皇太子妃は、初恋の彼に想いを馳せる』を大幅に改稿し、別作品として仕上げたものです。
© 花雨宮琵 2025 All Rights Reserved. 無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる