ミノタウロスの森とアリアドネの嘘

鬼霧宗作

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第四章 ミノタウロスはいる【現在 七色七奈】

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「あぁ、それはそれで構わないよ。昼飯は適当に出前でもとるから心配いらないし」

 食事や泊まる場所などに関しては心配いらない。コンビニの場所は分かっているし、寝るのであれば車の中で充分。テレビさえ貸してもらえれば問題なかった。後は――できるだけビデオテープ探しに付き合ってもらえればいい。

「食事はコンビニで適当に買ってくるから心配しないで」

 私がそう言うと、大和田は鼻で笑いながら言った。

「誰がおごってやるって言った? 出前とるにしても、それぞれが自前だ。それならいいだろ? こんな田舎だけど、美味い店があるんだよ」

 心のどこかで、大和田に頼ろうとしているのかもしれない。小さい頃に住んでいただけで、大人になって来てみれば右も左も分からない。この辺りの寂しさも相まって、自然と誰かに頼ろうとしている。だからこそ、出前をとるという大和田の言葉も、ご馳走してもらえるとイコールで結びつけたのかもしれない。

「そういうことだったら、出前をとる時に声をかけて下さい」

 私はそう返すと、改めてビデオテープを一本目から見直すことにした。大和田は私の隣で事務仕事のようなことを始めた。

 一本目、二本目、三本目……順番にテープを見返してみる。発見があった――というか、見落としていただけだったが、三本目の最後のほうにも、やはり登場した人物が【出演者】として紹介されていた。

 何か新たな発見はないか。手がかりはないか。目を血眼にしながらビデオテープを見つめるが、目新しいものは見つからない。

 ――どれくらいそうしていただろうか。大和田がふっと顔を上げると口を開いた。

「お、そろそろ出前をとったほうが良さそうな時間だ。何が食べたい? そこ、正油チャーシュー麺と餃子しかやってない店だけど」

 チャーシュー麺ができるのなら、普通のラー麺もできるのではないか――なんてツッコミは、あえてしないでおく。朝食を簡単に済ませていたこともあってか、腹の虫が食事を催促する。

「じゃあ、チャーシュー麺大盛りと、餃子2人前で」

 私の外見からして、そこまで食べるように見えないのであろう。大食いである自覚はないが、人なりに食べられるほうだと思っている。

「大丈夫か? ここの大盛り、結構な量になるけど――。俺でも食い切れるかどうか微妙なラインのやつ」

「大丈夫です。朝を簡単に済ませていたし、今は食べられる時に食べておきたいんです」

 行き当たりばったりでここまでやってきたからこそ、食べられる時に食べておこうと本能が諭してくるのだろう。
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