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第六章 アリアドネの嘘【現在 七色七奈】
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その写真は、随分と色褪せたように作られてはいるが、しかしそれは、わざとそう作られたものなのであろう。またしても集合写真だった。しかし、どうやら中学校の集合写真ではないらしい。文字がかすれてはいるが、どこぞの高校の集合写真のようだ。
「大和田さん、これ――」
私はそれが何を意味するかを瞬時に察し、写真の中に人探しをした。私の言葉を受けて大和田も写真を覗き込んでくる。
「高田富臣――。こっちは、依田由美香、それで、ここにいるのが鏑木孝之で、これが細川茜。今回は赤松朱里も一緒に写っているような感じですね」
私の推測通り、写真の中にはビデオの中に出てきたメンバーの顔があった。しかも、それは赤松朱里を含めて5人。そこに湯川智昭、丸山夏帆、宝田羽衣、谷惇の姿はない。
「湯川達は中学校の同級生で、高田達は高校の時の同級生だったってことか」
大和田の言葉に自然と頷いてしまう。私の推測が裏付けされた証拠でもあった。
「そういうことになりますね。あのビデオテープ内で、赤松朱里の容姿が大きく変わったような印象はありませんでしたから、おそらく湯川達とミノタウロスの森に入ったのが中学3年生の時で、高田達とミノタウロスの森に入ったのが高校1年の時ということになるのでしょう」
別々の時系列で起きていた事件が、まるでひとつの事件のように扱われてしまった今回の事件。映像を使ったトリックを見破ったことにより、犯人はかなりの確率で赤松朱里ということも判明している。
「それにしても、ついさっきまで人がいたような感じなんだが――」
まだ警戒心は解いていないのであろう。辺りを見回しつつ、警棒を構える大和田。
「確かに、そんな雰囲気はありますが――だとしたら、どこに行ったのでしょうか?」
「もし、このような状況になったら、次はどう動く?」
大和田は私に次の行動を問うてくる。あちらは私の思考を理解している相手だ。私ならどう動くかを予測して、次の算段を立てている可能性が高い。
「とりあえず山小屋の周辺が安全だと確認できたら、森の奥に向かいます」
狙われているのは間違いなく私だ。まだ理由や動機は分からないものの、ミノタウロスの目的は私以外のなにものでもない。だから、ミノタウロスは私の思考を読んで動いているはずだ。
「だったら、しばらくここで待機してみよう」
大和田はすぐに私の思考を再現せず、静観することを決めたらしい。ミノタウロスの裏をかいてやろうという算段か。
「大和田さん、これ――」
私はそれが何を意味するかを瞬時に察し、写真の中に人探しをした。私の言葉を受けて大和田も写真を覗き込んでくる。
「高田富臣――。こっちは、依田由美香、それで、ここにいるのが鏑木孝之で、これが細川茜。今回は赤松朱里も一緒に写っているような感じですね」
私の推測通り、写真の中にはビデオの中に出てきたメンバーの顔があった。しかも、それは赤松朱里を含めて5人。そこに湯川智昭、丸山夏帆、宝田羽衣、谷惇の姿はない。
「湯川達は中学校の同級生で、高田達は高校の時の同級生だったってことか」
大和田の言葉に自然と頷いてしまう。私の推測が裏付けされた証拠でもあった。
「そういうことになりますね。あのビデオテープ内で、赤松朱里の容姿が大きく変わったような印象はありませんでしたから、おそらく湯川達とミノタウロスの森に入ったのが中学3年生の時で、高田達とミノタウロスの森に入ったのが高校1年の時ということになるのでしょう」
別々の時系列で起きていた事件が、まるでひとつの事件のように扱われてしまった今回の事件。映像を使ったトリックを見破ったことにより、犯人はかなりの確率で赤松朱里ということも判明している。
「それにしても、ついさっきまで人がいたような感じなんだが――」
まだ警戒心は解いていないのであろう。辺りを見回しつつ、警棒を構える大和田。
「確かに、そんな雰囲気はありますが――だとしたら、どこに行ったのでしょうか?」
「もし、このような状況になったら、次はどう動く?」
大和田は私に次の行動を問うてくる。あちらは私の思考を理解している相手だ。私ならどう動くかを予測して、次の算段を立てている可能性が高い。
「とりあえず山小屋の周辺が安全だと確認できたら、森の奥に向かいます」
狙われているのは間違いなく私だ。まだ理由や動機は分からないものの、ミノタウロスの目的は私以外のなにものでもない。だから、ミノタウロスは私の思考を読んで動いているはずだ。
「だったら、しばらくここで待機してみよう」
大和田はすぐに私の思考を再現せず、静観することを決めたらしい。ミノタウロスの裏をかいてやろうという算段か。
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