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最終章 真相【過去 赤松朱里】
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とにかく武器だ。武器を手にして優位に立ちたい。ミノタウロスが何も持っていないなんて、そんなことは明らかにおかしいではないか。
斧を取りに戻ろう。まだまだ迅速に動けるつもりだったし、動きなら負けない自信があった。だが、そう思っていたのは自分だけだったようだ。思っているよりも、腕に受けたダメージが大きかった。駐在に先回りをされてしまい、向かうべき場所を見失ってしまう。
「俺が間違っていたんだ。ミノタウロスの悪事がここで繰り返されたのだとしたら――俺の知らない場所ですでに繰り返されていたことを知って、それを見て見ぬふりをすることはできない!」
あぁ、どこかで駐在は吹っ切れてしまったのだろう。警棒を構えつつ、こちらとの間合いを確実に詰めてくる。
「俺だけでどこまで可能かは分からないけど、湯川智昭の件も、しっかり事件として取り上げてやる」
一度は知らぬ存ぜぬで通そうとしたくせに、保身に走ることはやめにしたのか。駐在の目には確かな決意が宿っていた。
「――どいつもこいつも人を馬鹿にしやがって。馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがって!」
この森ではミノタウロスこそ絶対的な力を持つ。それなのに、持たざる者達がそれを上回ろうとしている。ここはある種の聖域。どんなことをしても許される場所。法治国家の中にある、小さな小さな無法地帯。
「――殺人及び殺人未遂の現行犯だ。ちょっと駐在所でお茶でも飲んで行くか?」
駐在はそう言うと、腰の辺りにぶら下げてあった手錠に手をかけた。もう、自分が完全に優位に立ったと油断したのであろう。七奈が自分から目をそらした瞬間を、朱里は見逃さなかった。
アリアドネは嘘をつく。ミノタウロスを討伐し、ラビュリントスから脱出する際、テーセウスは彼女が持たせた毛糸玉の毛糸をたどって迷宮を脱出した。しかし、入口にくくりつけたはずの毛糸が、アリアドネの手によって外されていたとしたら。しかも、実はアリアドネとミノタウロスが同一人物だったとしたら、その神話は大きく書き換えられていたことだろう。
駐在の脇を駆け抜け、最期の力を振り絞って七奈のほうへと向かった。興奮して脳がオーバーヒートを起こしてしまったのか、意識がもうろうとしてきた。
ミノタウロスは――生まれてからずっと迷宮の中に閉じ込められ、一体何を思っていたのだろうか。どんな思いで永遠に等しい時間を過ごしたのだろうか。
斧を取りに戻ろう。まだまだ迅速に動けるつもりだったし、動きなら負けない自信があった。だが、そう思っていたのは自分だけだったようだ。思っているよりも、腕に受けたダメージが大きかった。駐在に先回りをされてしまい、向かうべき場所を見失ってしまう。
「俺が間違っていたんだ。ミノタウロスの悪事がここで繰り返されたのだとしたら――俺の知らない場所ですでに繰り返されていたことを知って、それを見て見ぬふりをすることはできない!」
あぁ、どこかで駐在は吹っ切れてしまったのだろう。警棒を構えつつ、こちらとの間合いを確実に詰めてくる。
「俺だけでどこまで可能かは分からないけど、湯川智昭の件も、しっかり事件として取り上げてやる」
一度は知らぬ存ぜぬで通そうとしたくせに、保身に走ることはやめにしたのか。駐在の目には確かな決意が宿っていた。
「――どいつもこいつも人を馬鹿にしやがって。馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがって!」
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「――殺人及び殺人未遂の現行犯だ。ちょっと駐在所でお茶でも飲んで行くか?」
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駐在の脇を駆け抜け、最期の力を振り絞って七奈のほうへと向かった。興奮して脳がオーバーヒートを起こしてしまったのか、意識がもうろうとしてきた。
ミノタウロスは――生まれてからずっと迷宮の中に閉じ込められ、一体何を思っていたのだろうか。どんな思いで永遠に等しい時間を過ごしたのだろうか。
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