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ケース1 密室殺人事件を妄想する御令嬢【出題編】
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「一里之……お前、これからどんな部署に配置されるか知ってるか?」
立つ鳥跡を濁さず――なんて言葉があるわけだが、一里之は支店を後にする際、大いにそこを濁してきてやった。大東が喧嘩を売ってきたのが悪い。
「少なくとも、お前には務まらない仕事なんだろうなぁ」
学歴は高卒かもしれないが、大東より仕事ができる自信はあった。学歴を物差しにする制度そのものを悪くいうつもりはない。特に一里之は勉強もからっきしであり、夏休みの課題なんかは、クラスメイトに頼み込んで丸写しさせてもらっていた口である。だから、学生時代に勉学に励み、その努力が就職先という結果につながることにも異論はない。ただ、あまりにも学歴崇拝を押し出してしまうと、最終学歴が全てのゴールであるという馬鹿が出てくる。良い企業に就職することがゴールではなく、その就職先で結果を残すのがゴールへの過程だというのに、高学歴というだけで勝ち組になった気でいる奴が出てくる。どれだけ学歴が低かろうが、会社に――社会に貢献している人なんてたくさんいる。仕事ができるのと学歴は決してイコールでは結びつかない。こんな当たり前のことを言ったところで、高学歴主義者様から見えれば、低学歴者のやっかみにしか聞こえないのであろう。
「一里之……僕くらい優秀になるとさぁ、この営業部も中々簡単に手放してくれないんだよ。お前みたいに、いてもいなくても変わらないやつが、異動の対象になるんだよ」
この瞬間までは我慢してやっていたが、過去にヤンチャをしてきた経験が少しだけ顔を出した。
「あぁ? てめぇ、あんまり調子に乗んなよ」
自慢ではなく、今では汚点でしかないが、かつて一里之にも調子に乗っていた時期というのがある。それこそ、高校時代がそうであり、髪の毛を金に染めてみたり、校則違反の色つきシャツを、学ランの下に着たりしていたものだ。
「これだから高卒は――。そうやって自分を大きく見せることにしか能がない。だから、お嬢様お世話係なんて変な異動を命じられるのさ。知ってるかい? お前の異動先は、その名前通り、この窓辺野不動産の社長令嬢――コトリお嬢様のお世話をする仕事らしいよぉ。もう、不動産とか全く関係ない仕事ってわけぇ。お前にはぴったりだよねぇ」
どうやったら、そこまで人を不快にさせる言い回しができるのであろうか。溜め息混じりに一里之は言い返す。
「へぇ、それって社長令嬢とお近づきになれるってことだろう? うまく口説き落とせば逆玉の輿もあり得るってことか」
立つ鳥跡を濁さず――なんて言葉があるわけだが、一里之は支店を後にする際、大いにそこを濁してきてやった。大東が喧嘩を売ってきたのが悪い。
「少なくとも、お前には務まらない仕事なんだろうなぁ」
学歴は高卒かもしれないが、大東より仕事ができる自信はあった。学歴を物差しにする制度そのものを悪くいうつもりはない。特に一里之は勉強もからっきしであり、夏休みの課題なんかは、クラスメイトに頼み込んで丸写しさせてもらっていた口である。だから、学生時代に勉学に励み、その努力が就職先という結果につながることにも異論はない。ただ、あまりにも学歴崇拝を押し出してしまうと、最終学歴が全てのゴールであるという馬鹿が出てくる。良い企業に就職することがゴールではなく、その就職先で結果を残すのがゴールへの過程だというのに、高学歴というだけで勝ち組になった気でいる奴が出てくる。どれだけ学歴が低かろうが、会社に――社会に貢献している人なんてたくさんいる。仕事ができるのと学歴は決してイコールでは結びつかない。こんな当たり前のことを言ったところで、高学歴主義者様から見えれば、低学歴者のやっかみにしか聞こえないのであろう。
「一里之……僕くらい優秀になるとさぁ、この営業部も中々簡単に手放してくれないんだよ。お前みたいに、いてもいなくても変わらないやつが、異動の対象になるんだよ」
この瞬間までは我慢してやっていたが、過去にヤンチャをしてきた経験が少しだけ顔を出した。
「あぁ? てめぇ、あんまり調子に乗んなよ」
自慢ではなく、今では汚点でしかないが、かつて一里之にも調子に乗っていた時期というのがある。それこそ、高校時代がそうであり、髪の毛を金に染めてみたり、校則違反の色つきシャツを、学ランの下に着たりしていたものだ。
「これだから高卒は――。そうやって自分を大きく見せることにしか能がない。だから、お嬢様お世話係なんて変な異動を命じられるのさ。知ってるかい? お前の異動先は、その名前通り、この窓辺野不動産の社長令嬢――コトリお嬢様のお世話をする仕事らしいよぉ。もう、不動産とか全く関係ない仕事ってわけぇ。お前にはぴったりだよねぇ」
どうやったら、そこまで人を不快にさせる言い回しができるのであろうか。溜め息混じりに一里之は言い返す。
「へぇ、それって社長令嬢とお近づきになれるってことだろう? うまく口説き落とせば逆玉の輿もあり得るってことか」
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