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ケース1 密室殺人事件を妄想する御令嬢【出題編】
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「あぁ――大好きなメイドのお仕事中に呼び出して悪かったな。まぁ、今日はお嬢と顔合わせするだけだから、俺だけで充分だろうよ」
鯖洲が返すと、冥は「それでは――」と、頭も下げずに店の中へと戻って行った。
「まったく……あいつ、口を開かなきゃ、そこそこいい女なんだがなぁ。まぁいい。これで用件は済んだ。行くぞ」
そう言いながら煙草を灰皿でもみ消す鯖洲。このままだと、頭の整理が追いつかずに振り回されるだけだ。今後のこともあることだし、思い切って聞いみることにした。事故物件のファイルを引き継ぎとして手渡されて、はいお仕事をして下さいと言われても困る。
「あの、鯖洲さん。鯖洲さんもそうなんですけど冥さんも――なんていうか、ウチの会社とはどういう関係なんですか?」
鯖洲には本職がある。それこそガチものの本職のお方なわけだ。それに、冥だってメイドカフェで働いている。まさか、2人とも窓辺野不動産の社員で、副業をしているようには思えない。そもそも、副業で義理と人情の世界に身を投じるなんてことはないだろう。
「お前のところとは直接関係ねぇよ。俺と玄界灘は、お嬢に直接雇われてる形だからなぁ……」
当たり前であるが、鯖洲は窓辺野不動産の人間ではないようだ。そして、冥もまた違うらしい。会社に隠れてメイドカフェで働くOL……という設定には、なんだか惹かれるものがあるのだが。
「あの、どういった理由で――」
一里之が引き止めてしまったからなのか、鯖洲は改めて灰皿のそばに向かうと、また煙草をくわえて火を点ける。それが吸い終わるまでは話を聞けそうだし、一里之からすればありがたい。
「俺が執事で玄界灘がメイド。お嬢の言い分だと、由緒正しきご令嬢には、やはりお付きの執事とメイドがいなければならんらしい」
その言葉に、一里之は改めて鯖洲の身なりを確認する。上下共に黒のスーツ。頭は見事なまでのスキンヘッドだし、挙げ句の果てにサングラスまでかけている。百歩譲って冥ならば分かる。なぜなら、彼女は名実共にメイドなのだから。しかし――執事。鯖洲が執事。未来から自分を殺しにやってきたサイボーグではなく、執事。どうにも納得できない。
「鯖洲さん。その、執事なんですか?」
もうどう切り込んでいいのか分からず、そのまま言葉をぶつけてしまう一里之。お嬢様がどんな人物かは知らないが、鯖洲を執事として雇った意図は、果たしてどこにあるのだろうか。
鯖洲が返すと、冥は「それでは――」と、頭も下げずに店の中へと戻って行った。
「まったく……あいつ、口を開かなきゃ、そこそこいい女なんだがなぁ。まぁいい。これで用件は済んだ。行くぞ」
そう言いながら煙草を灰皿でもみ消す鯖洲。このままだと、頭の整理が追いつかずに振り回されるだけだ。今後のこともあることだし、思い切って聞いみることにした。事故物件のファイルを引き継ぎとして手渡されて、はいお仕事をして下さいと言われても困る。
「あの、鯖洲さん。鯖洲さんもそうなんですけど冥さんも――なんていうか、ウチの会社とはどういう関係なんですか?」
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「あの、どういった理由で――」
一里之が引き止めてしまったからなのか、鯖洲は改めて灰皿のそばに向かうと、また煙草をくわえて火を点ける。それが吸い終わるまでは話を聞けそうだし、一里之からすればありがたい。
「俺が執事で玄界灘がメイド。お嬢の言い分だと、由緒正しきご令嬢には、やはりお付きの執事とメイドがいなければならんらしい」
その言葉に、一里之は改めて鯖洲の身なりを確認する。上下共に黒のスーツ。頭は見事なまでのスキンヘッドだし、挙げ句の果てにサングラスまでかけている。百歩譲って冥ならば分かる。なぜなら、彼女は名実共にメイドなのだから。しかし――執事。鯖洲が執事。未来から自分を殺しにやってきたサイボーグではなく、執事。どうにも納得できない。
「鯖洲さん。その、執事なんですか?」
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