31 / 391
ケース1 密室殺人事件を妄想する御令嬢【出題編】
29
しおりを挟む
ここで首を吊った女性の行動原理。それを推測したのは鯖洲のほうだった。最近は極道にもインテリが増えていると聞くが、もしかすると鯖洲もその口なのだろうか。
「その通りですわ。女性がわざわざ燃料代を捻出して、しかも1時間もかかるような場所にやってきた理由はひとつだけ。それらの労力を費やしても、それ以上の見返りが見込めたからですわ」
「あえて1時間もかかるようなホテルに来たのは、もしかすると近場だと知り合いなどに会ってしまうかもしれないから――なのかもしれない。後ろめたいことをやってる自覚はあったんだろうなぁ」
コトリの言葉をきっかけに、首を吊った女性の人物像が見えてきた。しかも、その人物像には明確な根拠というものがある。
「さて、これで明らかになったことがひとつありますわ。首を吊った女性は、このホテルで誰かと待ち合わせをしていた。この辺りのこと、警察はしっかりと調べたのかしら?」
コトリの言葉を受けて、鯖洲の視線が一里之へと向けられる。それに答えるのも、お世話係の仕事か。
しかし、ページをめくってはみたものの、それらしき情報は見つからなかった。それどころか、ほんの数ページめくると、次の物件の情報へと切り替わってしまった。実に物騒な物件情報が出てきたのは、見なかったことにする。
「いえ、どうやらその辺は調べられていないみたいですね」
一里之が答えると、鯖洲がやや遠い目をする。
「平成14年というと――まだ、ようやく携帯電話の普及が始まったくらいか。ネットも今ほど発達してなかっただろうし、裏を取るのは難しいかもしれねぇな。今の時代、売春ならほとんどネットでやり取りされてるんだろうが」
そもそも売春という言葉自体に耐性のない一里之。鯖洲はそちらの人間であるから、特に抵抗などはないのだろう。
「セバスチャン。もう少しわたくしにも分かるように……」
「要するに、そこから売春の相手を割り出すことは難しいってことだ。まぁ、着眼点は悪くなかったがな」
どうにもセバスチャンと呼ばれることが面白くない様子の鯖洲。舌打ちをすると、ぽつりと呟き落とした。
「でも、相手は割り出せないとしても、女性が1人ではなかったという推測を立てることはできますわ。となると、女性が自殺だと考えるのは不自然ですわよね?」
確かにコトリの言う通りだ。ここに女性が1人で来たというのならば、まだ自殺という可能性は考えられるだろう。しかし、もし女性が売春目的でここに来たのであれば、その相手が必ずいたはず。そのような状況で自殺なんてするだろうか。
「その通りですわ。女性がわざわざ燃料代を捻出して、しかも1時間もかかるような場所にやってきた理由はひとつだけ。それらの労力を費やしても、それ以上の見返りが見込めたからですわ」
「あえて1時間もかかるようなホテルに来たのは、もしかすると近場だと知り合いなどに会ってしまうかもしれないから――なのかもしれない。後ろめたいことをやってる自覚はあったんだろうなぁ」
コトリの言葉をきっかけに、首を吊った女性の人物像が見えてきた。しかも、その人物像には明確な根拠というものがある。
「さて、これで明らかになったことがひとつありますわ。首を吊った女性は、このホテルで誰かと待ち合わせをしていた。この辺りのこと、警察はしっかりと調べたのかしら?」
コトリの言葉を受けて、鯖洲の視線が一里之へと向けられる。それに答えるのも、お世話係の仕事か。
しかし、ページをめくってはみたものの、それらしき情報は見つからなかった。それどころか、ほんの数ページめくると、次の物件の情報へと切り替わってしまった。実に物騒な物件情報が出てきたのは、見なかったことにする。
「いえ、どうやらその辺は調べられていないみたいですね」
一里之が答えると、鯖洲がやや遠い目をする。
「平成14年というと――まだ、ようやく携帯電話の普及が始まったくらいか。ネットも今ほど発達してなかっただろうし、裏を取るのは難しいかもしれねぇな。今の時代、売春ならほとんどネットでやり取りされてるんだろうが」
そもそも売春という言葉自体に耐性のない一里之。鯖洲はそちらの人間であるから、特に抵抗などはないのだろう。
「セバスチャン。もう少しわたくしにも分かるように……」
「要するに、そこから売春の相手を割り出すことは難しいってことだ。まぁ、着眼点は悪くなかったがな」
どうにもセバスチャンと呼ばれることが面白くない様子の鯖洲。舌打ちをすると、ぽつりと呟き落とした。
「でも、相手は割り出せないとしても、女性が1人ではなかったという推測を立てることはできますわ。となると、女性が自殺だと考えるのは不自然ですわよね?」
確かにコトリの言う通りだ。ここに女性が1人で来たというのならば、まだ自殺という可能性は考えられるだろう。しかし、もし女性が売春目的でここに来たのであれば、その相手が必ずいたはず。そのような状況で自殺なんてするだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
結婚する事に決めたから
KONAN
恋愛
私は既婚者です。
新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。
まずは、離婚してから行動を起こします。
主な登場人物
東條なお
似ている芸能人
○原隼人さん
32歳既婚。
中学、高校はテニス部
電気工事の資格と実務経験あり。
車、バイク、船の免許を持っている。
現在、新聞販売店所長代理。
趣味はイカ釣り。
竹田みさき
似ている芸能人
○野芽衣さん
32歳未婚、シングルマザー
医療事務
息子1人
親分(大島)
似ている芸能人
○田新太さん
70代
施設の送迎運転手
板金屋(大倉)
似ている芸能人
○藤大樹さん
23歳
介護助手
理学療法士になる為、勉強中
よっしー課長(吉本)
似ている芸能人
○倉涼子さん
施設医療事務課長
登山が趣味
o谷事務長
○重豊さん
施設医療事務事務長
腰痛持ち
池さん
似ている芸能人
○田あき子さん
居宅部門管理者
看護師
下山さん(ともさん)
似ている芸能人
○地真央さん
医療事務
息子と娘はテニス選手
t助
似ている芸能人
○ツオくん(アニメ)
施設医療事務事務長
o谷事務長異動後の事務長
雄一郎 ゆういちろう
似ている芸能人
○鹿央士さん
弟の同級生
中学テニス部
高校陸上部
大学帰宅部
髪の赤い看護師(川木えみ)
似ている芸能人
○田來未さん
准看護師
ヤンキー
怖い
☘ 注意する都度何もない考え過ぎだと言い張る夫、なのに結局薬局疚しさ満杯だったじゃんか~ Bakayarou-
設楽理沙
ライト文芸
☘ 2025.12.18 文字数 70,089 累計ポイント 677,945 pt
夫が同じ社内の女性と度々仕事絡みで一緒に外回りや
出張に行くようになって……あまりいい気はしないから
やめてほしいってお願いしたのに、何度も……。❀
気にし過ぎだと一笑に伏された。
それなのに蓋を開けてみれば、何のことはない
言わんこっちゃないという結果になっていて
私は逃走したよ……。
あぁ~あたし、どうなっちゃうのかしらン?
ぜんぜん明るい未来が見えないよ。。・゜・(ノε`)・゜・。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
初回公開日時 2019.01.25 22:29
初回完結日時 2019.08.16 21:21
再連載 2024.6.26~2024.7.31 完結
❦イラストは有償画像になります。
2024.7 加筆修正(eb)したものを再掲載
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
シンメトリーの翼 〜天帝異聞奇譚〜
長月京子
恋愛
学院には立ち入りを禁じられた場所があり、鬼が棲んでいるという噂がある。
朱里(あかり)はクラスメートと共に、禁じられた場所へ向かった。
禁じられた場所へ向かう途中、朱里は端正な容姿の男と出会う。
――君が望むのなら、私は全身全霊をかけて護る。
不思議な言葉を残して立ち去った男。
その日を境に、朱里の周りで、説明のつかない不思議な出来事が起こり始める。
※本文中のルビは読み方ではなく、意味合いの場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる