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ケース1 密室殺人事件を妄想する御令嬢【解決編】
ケース1 密室殺人事件を妄想する御令嬢【解決編】1
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【1】
「本当に残念ですわ。ついさっきまで、ここに住む気でおりましたのに――まさか、こんな単純なことが答えだったなんて」
窓際に立ち、汚れた窓から真っ暗な外を眺めるコトリは、何度溜め息をついたことやら。ただ、彼女の雰囲気で、なんとなくこの事故物件に対する興味を失ってしまったことが分かる。ついさっきまで、ここに住むなんて言い出し、それに振り回された身にもなって欲しい。
「なんて浅はかで、なんとも儚いのかしら――」
マットレスをとりあえず運び込んだまでは良かったのだが、どうやらこれ以上の運び入れは少し待ったほうが良さそうだ。どう反応していいのか困っている一里之をよそに、コトリはベットの上のマットレスへと腰をかけた。買いに走った甲斐がある――なんて言ったら、さすがに皮肉になるだろうか。
「今回の事故物件で気になった点はひとつだけ。つまり、首を吊った女性は自殺だったのか否か。彼女の背景などから考えるに、自殺とは考えにくい。もちろん借金苦という理由はあるのだろうけど、人生の最期にとった行動としては、あまりにも無駄が多すぎますわ」
首を吊った女性は、借金を背負っていたというのに、わざわざ遠方まで車を走らせている。その理由は個人間でやり取りされる売春のようなものである可能性が高い。そして、そう考えると――相手がいたということになるだろう。これから死のうとしている人間が、売春なんてするだろうか。
「では、果たして何者がその女性を殺害したのか。先ほど、セバスチャンが言っていた通りの目的で、女性がここへとやって来たのであれば、当然ながらお相手がいたはず。けれども、女性は1人で首を吊っているところを発見された。だとしたら一里之君――そのお相手の方はどこに行ったと思う?」
急に話を振られた一里之は、あまり考えもせずに「そりゃ、帰ったんじゃないかな」と返した。けれども、それに対してコトリは首を横に振る。
「考えてごらんなさい。このホテルの車庫に停まっていたのは女性の車であり、遺体が発見された時も車庫に停まっていたの。考えるまでもないことだけど、その女性とお相手は、その車に乗ってここまでやって来たと考えられますわ」
「だったら、徒歩で――」
一里之はなかば投げやりに意見を放つと、ポケットの中で大人しくしていた煙草を取り出してくわえた。これだけの長時間、煙草を吸わなかったのは珍しい。一応「失礼しますね」との文言を付け加えておく。
「本当に残念ですわ。ついさっきまで、ここに住む気でおりましたのに――まさか、こんな単純なことが答えだったなんて」
窓際に立ち、汚れた窓から真っ暗な外を眺めるコトリは、何度溜め息をついたことやら。ただ、彼女の雰囲気で、なんとなくこの事故物件に対する興味を失ってしまったことが分かる。ついさっきまで、ここに住むなんて言い出し、それに振り回された身にもなって欲しい。
「なんて浅はかで、なんとも儚いのかしら――」
マットレスをとりあえず運び込んだまでは良かったのだが、どうやらこれ以上の運び入れは少し待ったほうが良さそうだ。どう反応していいのか困っている一里之をよそに、コトリはベットの上のマットレスへと腰をかけた。買いに走った甲斐がある――なんて言ったら、さすがに皮肉になるだろうか。
「今回の事故物件で気になった点はひとつだけ。つまり、首を吊った女性は自殺だったのか否か。彼女の背景などから考えるに、自殺とは考えにくい。もちろん借金苦という理由はあるのだろうけど、人生の最期にとった行動としては、あまりにも無駄が多すぎますわ」
首を吊った女性は、借金を背負っていたというのに、わざわざ遠方まで車を走らせている。その理由は個人間でやり取りされる売春のようなものである可能性が高い。そして、そう考えると――相手がいたということになるだろう。これから死のうとしている人間が、売春なんてするだろうか。
「では、果たして何者がその女性を殺害したのか。先ほど、セバスチャンが言っていた通りの目的で、女性がここへとやって来たのであれば、当然ながらお相手がいたはず。けれども、女性は1人で首を吊っているところを発見された。だとしたら一里之君――そのお相手の方はどこに行ったと思う?」
急に話を振られた一里之は、あまり考えもせずに「そりゃ、帰ったんじゃないかな」と返した。けれども、それに対してコトリは首を横に振る。
「考えてごらんなさい。このホテルの車庫に停まっていたのは女性の車であり、遺体が発見された時も車庫に停まっていたの。考えるまでもないことだけど、その女性とお相手は、その車に乗ってここまでやって来たと考えられますわ」
「だったら、徒歩で――」
一里之はなかば投げやりに意見を放つと、ポケットの中で大人しくしていた煙草を取り出してくわえた。これだけの長時間、煙草を吸わなかったのは珍しい。一応「失礼しますね」との文言を付け加えておく。
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