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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【プロローグ】
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「警察の調べで、袴田さんの奥さんが死亡したと思われる時間帯は午後8時から発見されるまでの間だったそうです。そして――その日の日中には、3人の訪問者がいたんです」
基本的にペーパードライバーである一里之。営業時代でさえ、社用車の運転はほとんどしなかったのだ。だから、会社から社用車を借りるという発想はなかったし、現場が駅から近いこともあり、今回は電車を足にしていた。
「訪問者? ただ、日中に訪問者がいても仕方がねぇ。袴田のばあさんが死んだのは夜の8時以降なんだろ?」
会ったこともない相手を、ばあさん呼ばわりできるのは鯖洲の強みだといえよう。
「そこが不思議なんです。実は家の玄関先と勝手口には、防犯目的での監視カメラがついていて、当時の映像も記録されていたそうなんです。そこから、3人の訪問者が明らかになったみたいなんですけど、日中の訪問以降、誰も家に出入りしていないんです」
この辺りの情報は、コトリがいる時にしたほうがいいかもしれない。鯖洲には同じような話をもう一度聞かせることになるだろう。
「ほぅ、お嬢が好みそうな案件ではあるか。ただよ、その――どうしてそれが、かんぴょうの呪いになるんだ?」
これは話の肝というべきか、一里之も袴田に力説されただけで、いまだに理解が追いついていない部分でもあった。現状では分かっていることだけを鯖洲に伝えるだけだ。
「現場となったお風呂場に散乱していたそうなんです。水でもどされた――その、かんぴょうが」
おそらく笑ってはいけない。笑ってはいけない案件ではあるのだが、しかし現場に残されたそれを想像してしまったのだろう。鯖洲が遠慮なく笑い出した。しばらくそれがおさまるまで待つ。タイミングが良いことに駅が見えてきた。
「ってか、なんでかんぴょうなんだよ? で、それを家主が大真面目にかんぴょうの呪いだって言ってんだろ? いいか、念のために確認するが、かんぴょうってあれだよな? 巻き寿司に使われる茶色いあれだよな?」
明らかに笑いを堪えている鯖洲。一里之の一言がとどめになった。
「はい、恵方巻きにも入っていたりします」
一里之としては冗談を言ったつもりはなかったのであるが、真面目に返答したのが面白かったのか、電話口の向こうがしばらく呼吸困難になった。
駅に到着すると切符を購入。この辺りは経費で落ちるが、現状では自腹購入である。後で申請する形だと、給料日前に困る社員も多いだろうに。
基本的にペーパードライバーである一里之。営業時代でさえ、社用車の運転はほとんどしなかったのだ。だから、会社から社用車を借りるという発想はなかったし、現場が駅から近いこともあり、今回は電車を足にしていた。
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会ったこともない相手を、ばあさん呼ばわりできるのは鯖洲の強みだといえよう。
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この辺りの情報は、コトリがいる時にしたほうがいいかもしれない。鯖洲には同じような話をもう一度聞かせることになるだろう。
「ほぅ、お嬢が好みそうな案件ではあるか。ただよ、その――どうしてそれが、かんぴょうの呪いになるんだ?」
これは話の肝というべきか、一里之も袴田に力説されただけで、いまだに理解が追いついていない部分でもあった。現状では分かっていることだけを鯖洲に伝えるだけだ。
「現場となったお風呂場に散乱していたそうなんです。水でもどされた――その、かんぴょうが」
おそらく笑ってはいけない。笑ってはいけない案件ではあるのだが、しかし現場に残されたそれを想像してしまったのだろう。鯖洲が遠慮なく笑い出した。しばらくそれがおさまるまで待つ。タイミングが良いことに駅が見えてきた。
「ってか、なんでかんぴょうなんだよ? で、それを家主が大真面目にかんぴょうの呪いだって言ってんだろ? いいか、念のために確認するが、かんぴょうってあれだよな? 巻き寿司に使われる茶色いあれだよな?」
明らかに笑いを堪えている鯖洲。一里之の一言がとどめになった。
「はい、恵方巻きにも入っていたりします」
一里之としては冗談を言ったつもりはなかったのであるが、真面目に返答したのが面白かったのか、電話口の向こうがしばらく呼吸困難になった。
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