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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【出題編】
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ますます彼女という人間が分からなくなってきた。本人は機能性を重視して乗っている車のようだが――メイドのイメージからは、かなりかけ離れている。
「えっと、それじゃ失礼しまーす」
少し尻込みしながら助手席へと乗り込む。車内には、電子煙草特有の燻した匂いが漂っている。煙草を吸う一里之からすれば気にならない程度の匂いだが、これでさえ非喫煙者からすれば臭いのだとか。
「ちなみに断っておきますが、この車は電子煙草以外はNGですから」
運転席で電子煙草の煙――いいや、蒸気を吐き出しながら冥が呟く。大きな車の広い運転席で、電子煙草をたしなむメイド。やはり、どこかギャップがあるように思えるのは気のせいなのか。
「さて、これより参りますが、その前に簡単な資料を」
冥は電子煙草を可愛らしいポーチに仕舞うと、手製らしき資料を一里之に手渡してくる。A4サイズの紙をステープラーで留めたものだ。
「昨日、売主の袴田様とお話を纏めさせていただいた後、事件のことについて警察に問い合わせをしました。そして、なんやかんやあって手に入れた情報になります。なんやかんや――の部分は、もう少し慣れてから教えていただいたほうが良いかと。なんせ、本来ならば絶対に外部に出てはならない情報ですので」
前回の物件の際に鯖洲が匂わせていたが、このお嬢様お世話係に警察関係者が肩入れしているのは明白である。まだ会ったことはないし、今後も会うことがあるのかさえ不明ではあるが、こうして事件の情報を提供してくれるらしい。もっもと、それがお嬢様の道楽のために使われているのだから洒落にならないのだが。
「今回の事件は事故――もしくは自殺という線で捜査が進められていたようです。結局のところ、最終的な結論は曖昧なままになってしまい、現在も継続捜査という形にはなっているようですが」
冥の言い回しだと綺麗に聞こえはするが、とどのつまり迷宮入りとなった……ということだろう。事故や自殺だと結論付けてしまうことはできなかったのであろうか。
「現場に到着するまでに頭の中に叩き込んでください。コトリお嬢様が大変楽しみにされていらしたようですから」
不謹慎。まったくもって不謹慎だ。事故物件が事故物件になり得た元の事件をほじくり返す。その行為を楽しみにしているなんて、確実に人格のどこかが歪んでしまっている。ただ、そんな彼女がいるからこそ一里之の存在意義がある。なんとも情けない立場であるといえよう。
「えっと、それじゃ失礼しまーす」
少し尻込みしながら助手席へと乗り込む。車内には、電子煙草特有の燻した匂いが漂っている。煙草を吸う一里之からすれば気にならない程度の匂いだが、これでさえ非喫煙者からすれば臭いのだとか。
「ちなみに断っておきますが、この車は電子煙草以外はNGですから」
運転席で電子煙草の煙――いいや、蒸気を吐き出しながら冥が呟く。大きな車の広い運転席で、電子煙草をたしなむメイド。やはり、どこかギャップがあるように思えるのは気のせいなのか。
「さて、これより参りますが、その前に簡単な資料を」
冥は電子煙草を可愛らしいポーチに仕舞うと、手製らしき資料を一里之に手渡してくる。A4サイズの紙をステープラーで留めたものだ。
「昨日、売主の袴田様とお話を纏めさせていただいた後、事件のことについて警察に問い合わせをしました。そして、なんやかんやあって手に入れた情報になります。なんやかんや――の部分は、もう少し慣れてから教えていただいたほうが良いかと。なんせ、本来ならば絶対に外部に出てはならない情報ですので」
前回の物件の際に鯖洲が匂わせていたが、このお嬢様お世話係に警察関係者が肩入れしているのは明白である。まだ会ったことはないし、今後も会うことがあるのかさえ不明ではあるが、こうして事件の情報を提供してくれるらしい。もっもと、それがお嬢様の道楽のために使われているのだから洒落にならないのだが。
「今回の事件は事故――もしくは自殺という線で捜査が進められていたようです。結局のところ、最終的な結論は曖昧なままになってしまい、現在も継続捜査という形にはなっているようですが」
冥の言い回しだと綺麗に聞こえはするが、とどのつまり迷宮入りとなった……ということだろう。事故や自殺だと結論付けてしまうことはできなかったのであろうか。
「現場に到着するまでに頭の中に叩き込んでください。コトリお嬢様が大変楽しみにされていらしたようですから」
不謹慎。まったくもって不謹慎だ。事故物件が事故物件になり得た元の事件をほじくり返す。その行為を楽しみにしているなんて、確実に人格のどこかが歪んでしまっている。ただ、そんな彼女がいるからこそ一里之の存在意義がある。なんとも情けない立場であるといえよう。
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