ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【出題編】

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 とにもかくにも、コトリにはやはり何かが見えているらしい。正直なところ、この事件が事故なのか、それとも事件なのかも定かではないのに。

「朝飯を食ったら、さっさと調べてちまうか。このままだと、この家にずっと引きこもることになるからな」

 コトリに付き合って、この物件に住む。それすなわち、ここにずっと束縛されるということになるのだろうか。幸いなことに、長期間の束縛というものを受けたことがないから想像すらできない。ゾッとする言葉を残して家の中へと消えた鯖洲を追って、一里之も家の中へと戻る。

 しばらくすると冥が朝食の準備ができたと呼びに来た。朝食はコトリのリクエスト通り納豆だった。味噌汁と卵焼きもついてきたが、あくまでもメインは納豆のようで、コトリの前には様々な薬味が並んでいた。

「やっぱり、この組み合わせは譲れませんわ――」

 まだ眠たそうに目を擦っていたコトリではあるが、納豆を目の前にして文字通りに覚醒する。それにしても、今日も絵本の中からお姫様が飛び出して来たようなファッションである。その格好で納豆を食べるとか心配にならないのだろうか。その恐怖は白スーツにカレーうどんという組み合わせに匹敵する。

「お嬢はあれだな。納豆にはネギしか入れねぇよなぁ」

 器に移した納豆に、大量のネギを入れるコトリ。そんな様を見ながら、自身の納豆にはキムチを入れながら鯖洲が口を開く。

「あら、それならセバスチャンだって、いっつもキムチじゃない」

 人の好みはそれぞれであるし、何をどのように食べたって自由だ。しかしながら、この面子は納豆ひとつにしても、実に個性的だと思う。

「玄界灘は卵にぶち込んで混ぜて食うからな。さて、となると――」

 ふと、一同の視線が一里之の手元に集まっていた。冥でさえ、その手を止めて一里之の手元に集中している。果たして、どんな薬味をくわえるのか――それこそ彼らの関心なのだろうが、しかし残念。

「あの、俺はシンプルに薬味なしが一番好きなんで――」

 そう答えると、一里之に集められていた関心が一気に霧散する。

「なんだよ。普通過ぎて面白くねぇなぁ」

 人の納豆の食べ方に面白いもへったくれもないように思えるのだが、鯖洲は大きく溜め息を漏らす。

「そうだ。水道局のほうには連絡してくださいまして?」

 そこでコトリが思い出したかのように鯖洲へと話しかけた。
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