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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【出題編】
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「まだ時間が時間だからな。飯を食ったら連絡を入れてみる。ちなみに、配送業者のほうにも連絡はまだだからな。全く、人使いが荒くて困るわ」
納豆を乗せた白飯をかきこむと、鯖洲はさらりと愚痴を漏らした。
「――この程度で人使いが荒いなどと。よほど、普段から楽をしているのでしょうね」
同じ納豆であるにもかかわらず、しかも彼女の場合は卵の中にぶち込み、それを白米にかけるという荒業をやっているというのに、誰よりも綺麗に食べる冥。なんとなく育ちの良さが伺える。
「別に楽をしてるわけじゃねぇよ。有望な若手に仕事を振ってやってんだよ」
仕事を一里之に任せて帰ろうとした口が、実にもっともらしい言い訳をかましてくれる。残念ながら、鯖洲にはそのような親心はないだろう。
――とにもかくにも食事もあらかた終わり、冥が当たり前のように食器を片付ける。なんだか申し訳ないような気がして、自分の分だけでも台所まで持って行こうと思ったのだが、冥自身に止められてしまった。彼女なりの仕事の流儀があるらしい。
「さて、それじゃさっさと連絡を入れてみるか」
外に出てニコチンの補充をしてきた鯖洲がスマートフォンを取り出す。一刻も早く情報を知りたいのか、コトリはその場で待機していた。
「あ、もしもし――ちょっと聞きたいんだがよ」
とりあえず水道局に連絡をしたらしく、電話を切ると口を開く鯖洲。
「お嬢、残念ながら、いつの何時くらいに、どれくらいの水量を使ったのか――なんて、分からないらしいな。よくよく考えてみれば、いまだに検針に回っているくらいだから、そりゃそうなんだけどよ」
世の中は当たり前のように便利になっている。それこそ日進月歩とばかりに、慌ただしく便利になっていく。その感覚でいたから、使用した時間や水量など割り出せると思っていたのだが、実のところアナログな部分があるらしい。そういえば、一里之の出身地のような雪国だと、冬に検針することができず、推定で水道料金が請求されていたような気がする。春になって実際に検針ができるようになったら、メーターの差額分だけ料金が割り引かれるか上乗せされるかするらしく、両親が春先に騒いでいた記憶があった。
水道局からのアプローチは難しい。しかしながら、一里之はすでに別の手段にたどり着いていた。これまた、過去に両親が騒いでいた記憶があるからなのだが。
「もしかしたら、ガス会社に連絡したら、シャワーを使った時間が分かるかもしれません」
納豆を乗せた白飯をかきこむと、鯖洲はさらりと愚痴を漏らした。
「――この程度で人使いが荒いなどと。よほど、普段から楽をしているのでしょうね」
同じ納豆であるにもかかわらず、しかも彼女の場合は卵の中にぶち込み、それを白米にかけるという荒業をやっているというのに、誰よりも綺麗に食べる冥。なんとなく育ちの良さが伺える。
「別に楽をしてるわけじゃねぇよ。有望な若手に仕事を振ってやってんだよ」
仕事を一里之に任せて帰ろうとした口が、実にもっともらしい言い訳をかましてくれる。残念ながら、鯖洲にはそのような親心はないだろう。
――とにもかくにも食事もあらかた終わり、冥が当たり前のように食器を片付ける。なんだか申し訳ないような気がして、自分の分だけでも台所まで持って行こうと思ったのだが、冥自身に止められてしまった。彼女なりの仕事の流儀があるらしい。
「さて、それじゃさっさと連絡を入れてみるか」
外に出てニコチンの補充をしてきた鯖洲がスマートフォンを取り出す。一刻も早く情報を知りたいのか、コトリはその場で待機していた。
「あ、もしもし――ちょっと聞きたいんだがよ」
とりあえず水道局に連絡をしたらしく、電話を切ると口を開く鯖洲。
「お嬢、残念ながら、いつの何時くらいに、どれくらいの水量を使ったのか――なんて、分からないらしいな。よくよく考えてみれば、いまだに検針に回っているくらいだから、そりゃそうなんだけどよ」
世の中は当たり前のように便利になっている。それこそ日進月歩とばかりに、慌ただしく便利になっていく。その感覚でいたから、使用した時間や水量など割り出せると思っていたのだが、実のところアナログな部分があるらしい。そういえば、一里之の出身地のような雪国だと、冬に検針することができず、推定で水道料金が請求されていたような気がする。春になって実際に検針ができるようになったら、メーターの差額分だけ料金が割り引かれるか上乗せされるかするらしく、両親が春先に騒いでいた記憶があった。
水道局からのアプローチは難しい。しかしながら、一里之はすでに別の手段にたどり着いていた。これまた、過去に両親が騒いでいた記憶があるからなのだが。
「もしかしたら、ガス会社に連絡したら、シャワーを使った時間が分かるかもしれません」
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