ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【出題編】

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 ガス会社は、有事の際に対応するため24時間顧客の利用状況を監視するシステムが備えられていたはずだ。

「確か、遺体が発見された時、シャワーが出しっぱなしになっていたんですよね? じゃあ、シャワーはどうして出しっぱなしになっていたのか」

 一里之の抱いた疑問の意味を察したのであろう。冥が続いてくれた。

「ごく普通に考えるのであれば、シャワーを浴びている最中に亡くなったように見せかけるため、何者かが出しっぱなしにしたと考えるべきでしょうね」

 もし、今回の一件が事故ではなく、第三者による殺人なのであれば、シャワーは犯人が出しっぱなしにしていた可能性が高い。ならば、シャワーが出しっぱなしにされた時間帯さえ分かれば、もしかしたら犯人にたどり着けるのではないかと考えたのだ。

「えぇ、ですから、その時間帯さえ割り出すことができれば、誰が犯人なのか特定するのに役立つかもしれないと思いまして」

 一里之の提案を聞いたコトリは「セバスチャン、今すぐに契約していたガス会社に連絡を」と、指示を投げる。しかしながら、視線ごとそれを丸投げしてくる鯖洲。

「いや、どこのガス会社と契約していたのかを調べるのは俺の仕事じゃねぇだろ。それこそ、不動産の人間がやる仕事だ。なぁ、小僧」

 相変わらず小僧呼ばわりであるが、しかし残念ながら鯖洲の言い分は正しい。この仕事は一里之が適任である。もっとも、会社に確認をすればいいだけなんだから。

 早速会社に電話を入れると、一里之は袴田家が契約していたガス会社を調べる。連絡先を教えてもらって、早速電話をした。

「あの、つかぬことをお聞きしたいのですが――」

 電話に担当者らしき人が出ると、一里之は自分の身分を明かして事情を説明する。しばらく待たされたのちに、ようやく新情報が明かされることになった。

「ここのお風呂――ガス式の湯沸かし器を使っていたみたいですけど、使用時間があまりにも長いとリミッターのようなものが作動して湯沸かし器が止まるようになっていたみたいですね。ただ、残念ながらコンロなどのシステムとは別物らしくて、24時間の監視下にあるようなものではなかったみたいです」

 別方向からのアプローチ。これならばうまくいくと思ったが、しかし残念。またしても空振りである。

「――また空振りかよ。このままじゃ、ここに何泊することになるか分からねぇなぁ」

 予定が潰されたことを根に持っているのだろう。鯖洲がわざとらしく声を上げる。それこそ、コトリに聞こえるようにだ。
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