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ケース3 山奥の事故物件【出題編】
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「事件当時、今と同じように、閂によって薪割り小屋には鍵がかけられていた――。そして、閂は中からしかかけることができない」
一里之は扉の内側のほうへと視線をやる。資料にもあったが、扉の内側には閂を引っ掛けるための金具がついており、扉の真横にも同じ金具がつけられている。随分と狭い小屋であるため、真横の金具の先はすぐ壁になっていた。金具は【ロ】の字を縦に細長くしたようなものになっており、そこに閂を通すと鍵がかかるらしい。
「構造的にもかなりしっかりとした鍵ですわ。真横から閂を金具に通す形みたいですわね。この形なら、何かの弾みで閂が外れることはありませんわね」
一度扉を閉めると、再び開けてみる鯖洲。首を傾げてから、納得したかのように何度か頷く。
「例えば、片方の金具の上に閂を立てかけておいて、閉めた時の弾みで閂がかかる――なんてことは、この金具の形じゃ無理なわけか」
もし、金具の形が【ロ】の字ではなく、上が開いているようなタイプであれば、扉を閉めた勢いで、うっかり閂がかかってしまう――なんてこともあり得たかもしれない。しかしながら、真横から差し込む形であるため、勢いで閂がかかることはない。むろん、扉を閉めると同時に真横から力が加わり、閂がかかってしまうというなら話は別であるが。構造的に片一方のほうから閂を差し込むような使い方になるのだろう。もう一方のほうは壁が邪魔になって閂を差し込むことができないようだ。
「結局のところ扉を壊して中に入ったのですわよね?」
そう言うコトリの声は明らかに弾んでいる。何が楽しいのかは分からないが、現状を素直に楽しんでいるようだ。
「えぇ、確か宿泊客だった岩尾という人物が、山荘に置いてあったハチェット……小型の斧で扉を壊し、殺害された被害者を発見していますね」
資料に書いてあったことをなぞるようにして、コトリの疑問に答える一里之。我ながら、板についてきたと思う。
「その際、他に誰かが同行したのかしら?」
コトリの言葉に、いつの間にか一里之達の背後までやってきていた冥が答えた。
「その場にはアルバイトだった学生が同行していたはずです。被害者の妻は電話をするために山荘の中に向かったはずですが」
「となると、扉を壊した際に、実はあらかじめ眠らせておいた被害者の脳天をザックリ――というわけにはいきませんわねぇ」
物騒なことを口にしているのだが、その表情はスイーツの話に花を咲かせる女子のごとく、実に生き生きとしていた。死体の話をしているとは思えない。
「あらかじめ眠らせたら、誰が閂をかけんだよ――」
コトリ自身が自分の推理を否定したにもかかわらず、重箱の隅を突くようなことを口にする鯖洲。コトリの耳にまでは届かなかったようだ。
一里之は扉の内側のほうへと視線をやる。資料にもあったが、扉の内側には閂を引っ掛けるための金具がついており、扉の真横にも同じ金具がつけられている。随分と狭い小屋であるため、真横の金具の先はすぐ壁になっていた。金具は【ロ】の字を縦に細長くしたようなものになっており、そこに閂を通すと鍵がかかるらしい。
「構造的にもかなりしっかりとした鍵ですわ。真横から閂を金具に通す形みたいですわね。この形なら、何かの弾みで閂が外れることはありませんわね」
一度扉を閉めると、再び開けてみる鯖洲。首を傾げてから、納得したかのように何度か頷く。
「例えば、片方の金具の上に閂を立てかけておいて、閉めた時の弾みで閂がかかる――なんてことは、この金具の形じゃ無理なわけか」
もし、金具の形が【ロ】の字ではなく、上が開いているようなタイプであれば、扉を閉めた勢いで、うっかり閂がかかってしまう――なんてこともあり得たかもしれない。しかしながら、真横から差し込む形であるため、勢いで閂がかかることはない。むろん、扉を閉めると同時に真横から力が加わり、閂がかかってしまうというなら話は別であるが。構造的に片一方のほうから閂を差し込むような使い方になるのだろう。もう一方のほうは壁が邪魔になって閂を差し込むことができないようだ。
「結局のところ扉を壊して中に入ったのですわよね?」
そう言うコトリの声は明らかに弾んでいる。何が楽しいのかは分からないが、現状を素直に楽しんでいるようだ。
「えぇ、確か宿泊客だった岩尾という人物が、山荘に置いてあったハチェット……小型の斧で扉を壊し、殺害された被害者を発見していますね」
資料に書いてあったことをなぞるようにして、コトリの疑問に答える一里之。我ながら、板についてきたと思う。
「その際、他に誰かが同行したのかしら?」
コトリの言葉に、いつの間にか一里之達の背後までやってきていた冥が答えた。
「その場にはアルバイトだった学生が同行していたはずです。被害者の妻は電話をするために山荘の中に向かったはずですが」
「となると、扉を壊した際に、実はあらかじめ眠らせておいた被害者の脳天をザックリ――というわけにはいきませんわねぇ」
物騒なことを口にしているのだが、その表情はスイーツの話に花を咲かせる女子のごとく、実に生き生きとしていた。死体の話をしているとは思えない。
「あらかじめ眠らせたら、誰が閂をかけんだよ――」
コトリ自身が自分の推理を否定したにもかかわらず、重箱の隅を突くようなことを口にする鯖洲。コトリの耳にまでは届かなかったようだ。
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