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ケース3 山奥の事故物件【エピローグ】
ケース3 山奥の事故物件【エピローグ】1
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木を基調とした店内に染み付いたコーヒーの匂い。時間が夕方ということもあってか、客入りは少ない。だが、それが変に落ち着く。
案の定、コトリを送り届けた後に解散の流れとなった。その後、冥と連絡を取り合い、彼女の案内で近くの喫茶店に入って今にいたる。
体力には自信があるつもりだったが、やはり歳をとったということなのだろうか。下山してからでも大丈夫だと思っていたものの、気持ちとは裏腹に体は疲れているらしい。文字通りの眠気覚ましとなったコーヒーを口に運ぶ。
「それで――話って」
同じようにホットコーヒーを頼んだ冥。シュガーポットから角砂糖を掴むと、カップに投入。スプーンでかき混ぜると、続けてミルクポットからミルクを垂らした。惰性に従ってミルクが渦を巻く。
「単刀直入に伺います。お嬢様について、どこまでお調べになりましたか?」
冥に核心を突かれてしまったような気がして、一里之は言葉に詰まった。コトリの過去を調べたことなんて、冥には言っていなかったはずだ。遅かれ早かれ、こちらからコトリについて聞こうと思ってはいたが、彼女の勘の鋭さには恐れ入る。
「えっと……ちょうど良かったです。お嬢様のことについて玄界灘さんに聞きたいことがあったので」
あえて冥の質問からそれるような返しをしてみる。どこまでも見透かされてしまっているのかもしれない――そう考えると怖かった。
「左様ですか。ならば、もう一度だけ問います。どこまでお嬢様のことをお調べに?」
きっと、冥としては情報に制限をかけたいのであろう。つまり、知っていることを全て話すつもりはないようだ。むろん、一里之が彼女以上にコトリのことを調べ上げている可能性だってあるわけだが。
「それについては――」
一里之は素直に自分の知っていることを冥に話した。過去に窓辺野不動産に対する事件が起きたこと。その事件でコトリは姉を亡くしてしまっていること。冥は相槌を打つように頷きつつ話を聞いてくれた。
「なるほど。そこまで調べておられましたか。でしたら話は早いです。あなたと話したかったのは、お嬢様が事故物件に固執するようになった理由についてでしたので。そこまで把握しておいていただけるとありがたいです」
冥はそう言うと、ようやくコーヒーカップを口に運んだ。表情ひとつ変えずにカップを置くと、実に小さな声で「熱っ……」と呟いた。どうやら猫舌らしい。
案の定、コトリを送り届けた後に解散の流れとなった。その後、冥と連絡を取り合い、彼女の案内で近くの喫茶店に入って今にいたる。
体力には自信があるつもりだったが、やはり歳をとったということなのだろうか。下山してからでも大丈夫だと思っていたものの、気持ちとは裏腹に体は疲れているらしい。文字通りの眠気覚ましとなったコーヒーを口に運ぶ。
「それで――話って」
同じようにホットコーヒーを頼んだ冥。シュガーポットから角砂糖を掴むと、カップに投入。スプーンでかき混ぜると、続けてミルクポットからミルクを垂らした。惰性に従ってミルクが渦を巻く。
「単刀直入に伺います。お嬢様について、どこまでお調べになりましたか?」
冥に核心を突かれてしまったような気がして、一里之は言葉に詰まった。コトリの過去を調べたことなんて、冥には言っていなかったはずだ。遅かれ早かれ、こちらからコトリについて聞こうと思ってはいたが、彼女の勘の鋭さには恐れ入る。
「えっと……ちょうど良かったです。お嬢様のことについて玄界灘さんに聞きたいことがあったので」
あえて冥の質問からそれるような返しをしてみる。どこまでも見透かされてしまっているのかもしれない――そう考えると怖かった。
「左様ですか。ならば、もう一度だけ問います。どこまでお嬢様のことをお調べに?」
きっと、冥としては情報に制限をかけたいのであろう。つまり、知っていることを全て話すつもりはないようだ。むろん、一里之が彼女以上にコトリのことを調べ上げている可能性だってあるわけだが。
「それについては――」
一里之は素直に自分の知っていることを冥に話した。過去に窓辺野不動産に対する事件が起きたこと。その事件でコトリは姉を亡くしてしまっていること。冥は相槌を打つように頷きつつ話を聞いてくれた。
「なるほど。そこまで調べておられましたか。でしたら話は早いです。あなたと話したかったのは、お嬢様が事故物件に固執するようになった理由についてでしたので。そこまで把握しておいていただけるとありがたいです」
冥はそう言うと、ようやくコーヒーカップを口に運んだ。表情ひとつ変えずにカップを置くと、実に小さな声で「熱っ……」と呟いた。どうやら猫舌らしい。
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