ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース4 ロンダリングプリンセス誕生秘話【出題編】

ケース4 ロンダリングプリンセス誕生秘話【出題編】1

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【1】

 窓辺野不動産、社長令嬢誘拐監禁、及び殺害事件。その事件は警察のデータベースにも残っており、しっかりと共有されているようだった。

 斑目いわく、昔は各管轄で起きた事件の概要は、その各管轄で保存されていたそうだ。もちろん、捜査本部が立ち上がるような大きな事件ともなれば、県警も把握することになるが、アナログ時代はそれが限界だったらしい。しかしながら、今やデジタルの時代。当たり前のようにデータベースは全国で共有されており、閲覧することが可能になったそうだ。今回、斑目が引っ張り出して来てくれた情報も、データベースから引っ張って来てくれたものなのだろう。

「不動産屋の社長令嬢が誘拐され、そして廃墟となった病院で遺体となって発見された事件――ですか」

 一里之が用意したファイルにくわえて、斑目が持ち出したであろうファイルに目を通す千早。断られたら仕方がないと思っていたが、予想に反して快く引き受けてくれたことには感謝である。今回は特に曰く付きのものを査定するという形は取らないらしい。すなわち、査定にかかる手数料も取らないということだ。彼女も生活があるだろうに、こんなことに付き合わせて申し訳ないとさえ思う。

「あぁ、今――その令嬢の妹と一緒に仕事をしてるんだけど、変な奴というか、事故物件に好んで住みたがるような奴でさ。その原因がその事件にあるみたいなんだよ」

 久方ぶりに会うというのに、実に自然な感じで喋ることができる自分に驚いた。千早は高校時代の雰囲気を残したまま大人になったというイメージで、ロングスカートのワンピースであるにも関わらず、なんとなく艶かしく見えてしまう。

「曰く付きのものを好む――どこかの誰かさんにそっくりですねぇ」

 斑目が茶化すように言うと「となると、私も一里之君からすれば、変な奴ということになりますが」と真顔で返す。一里之が「いや、そんなつもりは――」と慌てると、千早はくすりと笑って「冗談ですよ。冗談」と言ってから続けた。

「とにかく、この事件が未解決になっていて、それを解明する必要があると――」

 千早はファイルをめくり、ある部分で手を止めた。

「とにかく、事件のことを最初から追いかけてみましょうか。情報量が情報量ですから、追加で調べてもらう必要が出てくるかもしれませんが」

 千早の言葉を受けて、斑目が「その辺りは警察がバックアップしましょう」と、胸を叩く。持つべきものは、スキップができない呪いがかけられた友である。
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