ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【出題編】

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「前までは町の所有物だったキャンプ場を、窓辺野不動産が買い上げたわけか。で、窓辺野不動産はキャンプ場をキャンプ場として経営するつもりはなかったと」

 とうとうカーナビが早々にナビを打ち切った。目の前には数台の車が停められるであろうスペースがある。草木が生い茂ってはいるが、アスファルトの上に白線が引かれているのが見えたから、元は駐車場だったのであろう。

「そうなると疑問が出てきますわ。なぜ、犯人はここを事件の現場としたのか――。先に進めばキャンプ場があると分かっていた私達でさえ不安になるような道程だったのに、前情報もなくこのキャンプ場を使おうと思うかしら? しかも、現在は窓辺野不動産の持ち物で、窓辺野不動産はキャンプ場として経営してはいなかった。つまり、ここにキャンプ場があるという情報が一般的には出回っていないことになりますわ」

「それなのに、社長はここの倉庫で殺害された。誘拐した際のアジトにしようとしたにしろ、この場所を知らない人間には不可能ですね」

 コトリの意図を汲み取ってくれたのか、冥が言いたいことを代弁してくれた。

「犯人はこの場所をあらかじめ知っていた人間に限られるってことか。そこから調べれば、案外簡単に犯人にたどり着けるかもな」

 これ以上、車を汚したり傷つけたりはしたくないのだろう。あえて白線が引いてある場所まで車を入れず、草木が比較的生えていない場所を選んで車を停める鯖洲。

「まぁ、ちっと煙草を吸ってくるわ」

 鯖洲はそう言うと車外へと出た。あらかじめ待ち伏せがいるかもしれないと危惧していたのだが、その辺りの警戒心はゼロだ。まぁ、自分達以外誰もいないようだし、気が緩んでしまうのは仕方がない。杞憂だったということなのだろう。

「それで、警察がここに駆けつけてお父様――社長の遺体を発見したと。一体、どうやって?」

 父の遺体は警察によって発見されている。警察だって馬鹿ではないだろうから、何かしらの根拠があって、ここへとやってきたはずだ。

「GPSです。ずっと社長のスマートフォンのGPSを追っていたようですが、この場所でようやく位置情報を掴めたようです」

 世の中便利になったもので、GPSというシステムがあれば、人の位置情報を把握できる時代だ。そのシステムの恩恵がなければ、もしかするといまだに父の遺体は見つかっていなかったのかもしれない。
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