ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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「そろそろ時間になりますね。改札で彼女を待つとしましょうか」

 食事を終え、斑目の一言で店を後にした一同。この時間帯の駅はそこまで混んではいないようで、人を待つには最適だった。お昼時なら混みそうなものだが――というのは田舎者の勝手な思い込みか。

 事件の全てを知るには、過去の事件を洗い直す必要がある。しかしながら、警察に残っているデータベースでさえ情報に乏しく、しかも現在では現場となった建物も残っていないらしい。となると、過去の事件を洗い直すのも一苦労になるだろう。むろん、それくらい千早も分かってはいるだろうが。

 改札口で待つことしばらく。明らかに辺りをキョロキョロと見回しながら歩く挙動不審な黒のワンピースを発見する。彼女もなんだかんだで地元から出ていないし、このような大きな駅は慣れていないのであろう。手を振ってやると、こわばっていた表情を緩ませた彼女が、やや足早に改札口へと駆けてきた。

「へぇ、一里之の野郎、隅に置けねぇなぁ」

 何を勘違いしているのか知らないが、千早の姿を見た鯖洲がぽつりと呟く。単なる同級生だったはずだが――。

 誰よりも先にコトリが駆け出した。そして、あろうことか改札口の出口にて千早を待つ。自動改札口にも慣れていないであろう千早にとって、かなりのプレッシャーになるのではないだろうか。慣れない土地、慣れない駅で、日常では触ることのない改札機を相手にする。しかも、その先にはお姫様の格好をした不審人物。圧が凄い。半端なく圧が凄い。

 案の定、自動改札口で手間取る千早。なんとか改札口を抜けたと思ったら、すぐさまコトリに捕まった。なんというか、千早からすれば踏んだり蹴ったりといった具合だ。まぁ、斑目はそれを傍観しているだけなのだが。

「初めてまして! 私、窓辺野コトリと申しますわ! あなたが猫屋敷さんね?」

 千早をとっ捕まえたコトリは、戸惑う千早の両手を握り、やや乱暴に握手をする。千早から助けを求める視線が向けられが、しかし助けてやれない。コトリ節に巻き込まれてしまうのが怖い。

「は、はぁ……。そうですけど」

 普段は冷静沈着で、滅多に取り乱したりしない千早であるが、明らかにコトリに気圧されている。そこに助けへと入ったのは、斑目ではなく冥だった。

「猫屋敷様。遠路はるばるありがとうございます。私、玄界灘と申します。あちらの、やや強面の方は鯖洲と申します。以後、お見知りおきを」
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