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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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「犯人の可能性が高いやつが運転するリムジンの後部座席で、過去の事件の洗い直しか。色々と危ねぇかもしれねぇなぁ」
一同が向かっているのは、寺山がリムジンを停めた駐車場。もうしばらく歩けば広大な駐車場と、嫌でも目立つリムジンが見えてくるはずだ。
「それで、何か目新しい情報は出てきましたか?」
コトリの隣から斑目の隣へとやって来た千早に問われて、斑目は小さく頷いた。
「えぇ、思っていた以上にこちらの警察が協力的でしてね。留置所にいる一里之君とも話ができましたし、当時の情報をわざわざ調べて、お土産に持たせてもらってますよ」
斑目はスマホを取り出す。本当ならば個人のスマートフォンに機密事項とも言えるデータベースの一部を保存するのは、当然ながらアウトである。しかし、紙ベースで持ち出すとなるとかさばるし、持ち出しが一目瞭然であるため、こうするしかなかった。申し訳ないと思いながらも、データをスマートフォンへと転送してもらったのだ。
「ならば、詳しいことはある程度把握できると思っていいですね……」
千早はどこまで安楽椅子探偵をするつもりなのか。今回は現地へと向かうわけだが、しかし残念なことに当時の現場は様変わりしてしまっている。残っていても当時の写真が数枚あるだけ。もう、建物自体が壊されてしまっているのであれば、わざわざ現場に赴く必要もないように思えるのだが――。
「えぇ、事件の現場となった廃病院の住所もばっちりです」
斑目と千早のやり取りを聞いていたのか「それなら問題ねぇな。まぁ、いざとなったら俺が車を出してもいいしよ」と斑目。やはり寺山が運転している車に乗るのは抵抗があるようだ。その気持ちは分からなくない。
駐車場へと戻ると、ご丁寧にリムジンのそばで寺山が待っていた。表情のないロボットのような無表情に、少しだけ背筋が冷たくなった。しかしコトリの姿を見るなり表情を崩し、けれども表情の動きはほとんど見せずに後部座席のドアを開けた。
「ありがとう」
寺山が怪しいと指摘した以上、やはり気まずいのか。礼を言いながらもコトリは寺山と目を合わせようとしなかった。コトリに続いて鯖洲、冥と乗り込んだ。リムジンなどという乗り物はきっと初めてであろう千早は戸惑っているようだったが、コトリに手招きされてようやく乗り込んだ。最後に斑目も乗り込む。
「……どうも落ち着きませんね」
千早がぽつりと漏らした一言を、斑目は聞き逃さなかった。
一同が向かっているのは、寺山がリムジンを停めた駐車場。もうしばらく歩けば広大な駐車場と、嫌でも目立つリムジンが見えてくるはずだ。
「それで、何か目新しい情報は出てきましたか?」
コトリの隣から斑目の隣へとやって来た千早に問われて、斑目は小さく頷いた。
「えぇ、思っていた以上にこちらの警察が協力的でしてね。留置所にいる一里之君とも話ができましたし、当時の情報をわざわざ調べて、お土産に持たせてもらってますよ」
斑目はスマホを取り出す。本当ならば個人のスマートフォンに機密事項とも言えるデータベースの一部を保存するのは、当然ながらアウトである。しかし、紙ベースで持ち出すとなるとかさばるし、持ち出しが一目瞭然であるため、こうするしかなかった。申し訳ないと思いながらも、データをスマートフォンへと転送してもらったのだ。
「ならば、詳しいことはある程度把握できると思っていいですね……」
千早はどこまで安楽椅子探偵をするつもりなのか。今回は現地へと向かうわけだが、しかし残念なことに当時の現場は様変わりしてしまっている。残っていても当時の写真が数枚あるだけ。もう、建物自体が壊されてしまっているのであれば、わざわざ現場に赴く必要もないように思えるのだが――。
「えぇ、事件の現場となった廃病院の住所もばっちりです」
斑目と千早のやり取りを聞いていたのか「それなら問題ねぇな。まぁ、いざとなったら俺が車を出してもいいしよ」と斑目。やはり寺山が運転している車に乗るのは抵抗があるようだ。その気持ちは分からなくない。
駐車場へと戻ると、ご丁寧にリムジンのそばで寺山が待っていた。表情のないロボットのような無表情に、少しだけ背筋が冷たくなった。しかしコトリの姿を見るなり表情を崩し、けれども表情の動きはほとんど見せずに後部座席のドアを開けた。
「ありがとう」
寺山が怪しいと指摘した以上、やはり気まずいのか。礼を言いながらもコトリは寺山と目を合わせようとしなかった。コトリに続いて鯖洲、冥と乗り込んだ。リムジンなどという乗り物はきっと初めてであろう千早は戸惑っているようだったが、コトリに手招きされてようやく乗り込んだ。最後に斑目も乗り込む。
「……どうも落ち着きませんね」
千早がぽつりと漏らした一言を、斑目は聞き逃さなかった。
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