ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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「あの、分からなければ分からないで構わないのですが、その心霊スポット騒ぎがあった時、土地の持ち主は――」

 こちらの調査不足で、当時から廃病院が窓辺野不動産の持ち物だった可能性もある。それならば、簡単に人が出入りすることはできない。もっもと、深夜の住宅街に肝試しをしに来るような人達には、土地が誰の所有物かなど考えることはできないだろうが。

「あそこはずっと廃病院の持ち物でね。その持ち主が亡くなっちゃったから、どうするんだろうって話が出ていたのよ。建物もずっと残ったままだったしね」 

 少なくとも、事件当時の土地の持ち主は、廃病院だったらしい。となると、やはり事件当時は誰でも平気で廃病院に出入りすることが可能だったことになる。やはり、監禁場所として使うにはリスクが高すぎる。

「それに、病院が廃業した理由が、ほら――持ち主の死亡でしょう? 管理する人もいなくなってね、事件が起きた時なんて敷地内も荒れ放題で、ちょっとしたジャングルみたいになっちゃってたのよ。みんな迷惑していたけど、ちゃんとした不動産会社が買い取ってくれて本当に良かったわ。今はただの空き地になってるから」

 窓辺野不動産が買い取り、土地を整備した。ジャングルという表現をした辺りから察するに、かなり荒れ果てていたのであろう。だとしたら……。

「敷地が荒れ果てていたということですが、その……程度はどれくらいのものだったのですかね?」

 斑目の問いかけに、女性は苦笑いを浮かべながら「業者さんが入った時、車で乗り入れられなくて困っていたから、かなり荒れてたと思うわよ。どうやったら、あんな風になるのかしらねぇ。あ、庭に花壇があったりしたから、そこから植物が――」とマシンガントーク。

 事件当時の現場は、車で乗り入れできないほどに荒れていた。これは、車の使用を否定することになるのではないか。これから誘拐をしようとする人間が、果たして車で乗り入れすることができないような場所を監禁場所に選ぶだろうか。

「あの、もうひとつだけお聞きしたいのですが、事件の前後に怪しい車や人物などを見たりしませんでした?」

 女性は緩く首を横に振る。

「ほら、こんな場所だからね、昼間は誰かの目があるだろうし、夜は心霊スポット騒ぎで過敏になっていた人が多かったから、不審な車なんて近寄ろうものなら、誰かが必ず気づいていたはずよ。あ、ちょっと時間をもらえるなら、私が近所に確認してみましょうか?」
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