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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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「えぇ、分かりましたわ。今から向かうから待っていて」
電話を切ると、斑目のほうへと視線を向けてくるコトリ。
「セバスチャン達は、この近くの【ウオロクベイ】というショッピングモールにいるらしいですわ。さぁ、ご案内を」
セバスチャンとは一体誰だ……。一瞬、そのような疑いを持ったのであるが、しかしすぐに思い出す。確か、彼女の言うセバスチャンは鯖洲のことを指していたはずだ。それにしても、この辺りにショッピングモールなんてあるのだろうか。
「ここから1キロも歩かないところに、そのような名前のスーパーがあるようですね。そこで間違いありませんか?」
さすがは千早。仕事が早い。早速スマホで検索してくれたようだ。残念なことにショッピングモールではないようだが。
「あら、色々なものが売っているところだと言っていたから、てっきりショッピングモールだと思ったのに。おスーパーみたいですわね。おスーパー……入るの初めてですわ」
スーパーのことを、そのように言う人間は初めて見た。むしろ、これまでの人生の中で、一度もスーパーに入ったことがないというのも、これまた中々に恐ろしい。なんだかんだでお嬢様ということか。
「それでは、向かってみましょう。少しだけ歩きますけど、そこまで遠い距離ではありませんから」
千早が先頭になり、道案内をしてくれる。世の中便利になり、スマホひとつで地図いらずとなってしまった。便利になるのは構わないが、その度に大事な何かが失われているような気がするのは、果たして斑目の思い違いなのか。
しばらく無言で歩く。コトリはというと、スカートの裾を少しだけ持ち上げ、足早に千早の後に続いている。後ろ姿が少しだけはしゃいでいるように見えるのは、それこそ気のせいであって欲しい。
しばらく行くと住宅街が急に途切れ、目の前に大通りが出てきた。車通りも激しく、辺りが騒がしくなったような錯覚に陥った。それだけ住宅街のほうが静かだっただけなのかもしれない。この静寂を心霊スポットに遊びに来ていた人達が奪ったのだろう。元自治会長があそこまでしても不思議ではない。
「あちらですね――」
目的のスーパーは大通りを渡った先にあった。規模もかなり大きいようだ。少し歩いた先に信号機があるのが見えたから、そちらへと向かって信号機待ち。青に変わるのを待ってから反対側へと渡った。交通ルールとして間違ってはいないが、堂々と手を挙げながら横断歩道を渡るコトリの姿は、少しばかり滑稽に見えた。
電話を切ると、斑目のほうへと視線を向けてくるコトリ。
「セバスチャン達は、この近くの【ウオロクベイ】というショッピングモールにいるらしいですわ。さぁ、ご案内を」
セバスチャンとは一体誰だ……。一瞬、そのような疑いを持ったのであるが、しかしすぐに思い出す。確か、彼女の言うセバスチャンは鯖洲のことを指していたはずだ。それにしても、この辺りにショッピングモールなんてあるのだろうか。
「ここから1キロも歩かないところに、そのような名前のスーパーがあるようですね。そこで間違いありませんか?」
さすがは千早。仕事が早い。早速スマホで検索してくれたようだ。残念なことにショッピングモールではないようだが。
「あら、色々なものが売っているところだと言っていたから、てっきりショッピングモールだと思ったのに。おスーパーみたいですわね。おスーパー……入るの初めてですわ」
スーパーのことを、そのように言う人間は初めて見た。むしろ、これまでの人生の中で、一度もスーパーに入ったことがないというのも、これまた中々に恐ろしい。なんだかんだでお嬢様ということか。
「それでは、向かってみましょう。少しだけ歩きますけど、そこまで遠い距離ではありませんから」
千早が先頭になり、道案内をしてくれる。世の中便利になり、スマホひとつで地図いらずとなってしまった。便利になるのは構わないが、その度に大事な何かが失われているような気がするのは、果たして斑目の思い違いなのか。
しばらく無言で歩く。コトリはというと、スカートの裾を少しだけ持ち上げ、足早に千早の後に続いている。後ろ姿が少しだけはしゃいでいるように見えるのは、それこそ気のせいであって欲しい。
しばらく行くと住宅街が急に途切れ、目の前に大通りが出てきた。車通りも激しく、辺りが騒がしくなったような錯覚に陥った。それだけ住宅街のほうが静かだっただけなのかもしれない。この静寂を心霊スポットに遊びに来ていた人達が奪ったのだろう。元自治会長があそこまでしても不思議ではない。
「あちらですね――」
目的のスーパーは大通りを渡った先にあった。規模もかなり大きいようだ。少し歩いた先に信号機があるのが見えたから、そちらへと向かって信号機待ち。青に変わるのを待ってから反対側へと渡った。交通ルールとして間違ってはいないが、堂々と手を挙げながら横断歩道を渡るコトリの姿は、少しばかり滑稽に見えた。
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