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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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「でも、病院に連れて行く道中で、ある人物が病院への搬送を取りやめさせた。その時、その人はなんて言ったと思う? 下手な障害などが残ったら面倒だ――ならいっそ、このまま死んでもらったほうがいいって」
当時のことを思い出したのであろう。母の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「そんな酷いことを……」
その人物が誰なのか。あえて母は濁して話はしたが、おおよそ誰なのかは分かっていた。家族でありながら、家族にまるで興味がなかった人物だ。
「しかも、途中で寺山に道の変更をさせて、ひと気のないところに車を停めさせたの。そして、あの人は迷うことなく、あの子の首を締め上げた。私は必死に抗ったけど、駄目だった。気がついたら……あの子はもう息をしなくなっていた」
それら一連の動作が、第三者……母や寺山がいる前で行われたということなのか。にわかには信じられない。
「つまり、コトリさんを殺害したのは――あかりさんではなく、その人物だったということですか」
千早は誰に問うでもなく呟き落とす。母はハンカチで涙を拭うと「ごめんなさい」と漏らした。それは、ここで話を中断してしまって申し訳ないという意味か、それとも過去のできごとに対する謝意か。
「えぇ、もうここまで言えばお察しよね? あの子を殺したのは――あの子の父親です」
やはりそうだったか。なんだか納得してしまった自分がいた。父ならばやりそうな気がする。
「あの子を殺した後、あの人は残酷なことを言い出した。事件に巻き込まれたように見せかけるって。ただでさえ自分の手で娘を殺したというのに、その事実さえも隠蔽しようとしたのよ」
母はこんな事実をずっと抱えてきたというのか。その事実を抱えていながらも、なにひとつ変わらぬ様子で、自分に接してきたというのか。長年の月日を経て、これらが形成されてきたと思うとゾッとする。
「そこからは無理に言う必要はありまそんわ。私達もある程度のことは分かっているから」
母が辛そうだったからかけた言葉だが、いっそのこと全部吐き出したほうが楽になるのかもしれない。ならば、余計なお世話か。
「狂言誘拐は、確かに窓辺野コトリの殺害を隠蔽するものだった。ただし、隠蔽した事件は……姉による突発的な殺人ではなく、父による名誉の殺人だったと」
千早が言うと、母はゆっくりと頷いた。
「ってことはよ、お嬢はずっと犯してもいない罪を着せられていたってことか?」
鯖洲のようなタイプは、特に身内意識が強い。明らかな語気が強くなっていた。
当時のことを思い出したのであろう。母の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「そんな酷いことを……」
その人物が誰なのか。あえて母は濁して話はしたが、おおよそ誰なのかは分かっていた。家族でありながら、家族にまるで興味がなかった人物だ。
「しかも、途中で寺山に道の変更をさせて、ひと気のないところに車を停めさせたの。そして、あの人は迷うことなく、あの子の首を締め上げた。私は必死に抗ったけど、駄目だった。気がついたら……あの子はもう息をしなくなっていた」
それら一連の動作が、第三者……母や寺山がいる前で行われたということなのか。にわかには信じられない。
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「えぇ、もうここまで言えばお察しよね? あの子を殺したのは――あの子の父親です」
やはりそうだったか。なんだか納得してしまった自分がいた。父ならばやりそうな気がする。
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母が辛そうだったからかけた言葉だが、いっそのこと全部吐き出したほうが楽になるのかもしれない。ならば、余計なお世話か。
「狂言誘拐は、確かに窓辺野コトリの殺害を隠蔽するものだった。ただし、隠蔽した事件は……姉による突発的な殺人ではなく、父による名誉の殺人だったと」
千早が言うと、母はゆっくりと頷いた。
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