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DAY5
12
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「そういう話って?」
たずねる自分の眉間にしわが寄るのを感じる。
「というか……“はじまらない”ってどういう意味だ?」
「“俺と恋愛がしたいの?”って意味だよ」
返ってくる声はささやくように低い。
相手の言葉よりも声のほうに圧倒されて響野は口を閉じた。何も言えずに水元のぼやけた輪郭に目を凝らしていると、茶色い頭が下を向き、「しっかりしろよ」と言う。
「響野はまず、ゆっくり休んで目を治したほうがいい。それから仕事に復帰して、もう少し落ち着いたら結婚相手を見つけて、その女と家庭を築けばいいんだ。子供も持って、できればたくさん……」
「水元」と響野は相手をさえぎる。
「何を言ってるんだ?」
「家族を作ったほうがいいって言ってる」
水元が顔を上げた。
「そういうふうにはじめられるんだよ。響野が望めば、新しい家族を持てる。だろ?」
相手の話を聞きながら、響野は前に一度、思い描こうとしてやめてしまった家系図のことを考えた。樹状の分岐図に記されている名は、死者のものばかりだ。生きた人間は自分と佳子のふたりしかいない。
だが、そこに生者を増やしていく方法はある、と水元は言いたいのだろう。
「響野は寂しそうに見えるよ」
自分の前に座っている輪郭のはっきりしない影はそう言った。
たずねる自分の眉間にしわが寄るのを感じる。
「というか……“はじまらない”ってどういう意味だ?」
「“俺と恋愛がしたいの?”って意味だよ」
返ってくる声はささやくように低い。
相手の言葉よりも声のほうに圧倒されて響野は口を閉じた。何も言えずに水元のぼやけた輪郭に目を凝らしていると、茶色い頭が下を向き、「しっかりしろよ」と言う。
「響野はまず、ゆっくり休んで目を治したほうがいい。それから仕事に復帰して、もう少し落ち着いたら結婚相手を見つけて、その女と家庭を築けばいいんだ。子供も持って、できればたくさん……」
「水元」と響野は相手をさえぎる。
「何を言ってるんだ?」
「家族を作ったほうがいいって言ってる」
水元が顔を上げた。
「そういうふうにはじめられるんだよ。響野が望めば、新しい家族を持てる。だろ?」
相手の話を聞きながら、響野は前に一度、思い描こうとしてやめてしまった家系図のことを考えた。樹状の分岐図に記されている名は、死者のものばかりだ。生きた人間は自分と佳子のふたりしかいない。
だが、そこに生者を増やしていく方法はある、と水元は言いたいのだろう。
「響野は寂しそうに見えるよ」
自分の前に座っている輪郭のはっきりしない影はそう言った。
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