ポケットのなかの空

三尾

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DAY1

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 外観こそ大幅な手を入れたわけではなかったが、建物の内部はここで老後をすごすことになる両親の利便性を考えて、あちこち作り変えられていた。
 玄関・浴室・トイレなどの主要な設備はすべてバリアフリー化され、間取りは回遊式になり、あらゆる場所に迂回せずに行き来できる。
 家の中に必要以上の家具を置くことを好まなかった母親の方針により、収納はそれぞれのエリアにつくり付けとなった。スイッチ操作の手間を減らすため、照明も人感センサー式だ。
 響野自身は、就職したてのあわただしい時期だったこともあり、このリフォーム計画に積極的に関与したわけではなかった。
 ただ、改築後のわが家は心なしか室内が明るくなり、余分な段差や家具がなくなって目的の場所にすんなりと行けるようになったから、その変化を好ましくは感じていた。両親は良い住まいを手に入れたに違いない。
 あとは自分と妹が、ひとり暮らしをはじめるか所帯を持つかして、この家を出ていくタイミングを見計らえばよかった。
 響野の記憶に誤りがなければ、今の水元が目にしているのは、そういうリフォーム後の家の姿だろう。中学生時代の水元が訪れた友人宅よりも、床や壁はいくぶんか小ぎれいになっており、ひとつひとつの場所に対して、やたらにスペースがとられているはずだ。
 シンプルかつフラットという高齢者住宅のコンセプトをそのまま実現したような空間は、あるいは水元の職場だった老人ホームという場所にも共通するものがあるかもしれない。


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