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DAY5
56
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もちろん、介護と自動車保険では事故の定義はまるで違うが、自分が阻止しようとしているものが起きてしまった先に、それをあまりにも事務的に処理する世界があることを見せつけられて、穏やかではないのかもしれない。
――山崎さんは響野の味方なんですよね?
「保険って複雑だな。俺、山崎さんの話が六割くらいしか理解できなかったよ」
そんなことを考えていた矢先に、すぐ横で水元がつぶやいた。
「あの人は、本当はこんなところまでくる必要はなかったんだと思う」
響野が自分の考えを話すと、「どういう意味?」と質問を受ける。
「保険金を支払う必要がないなら、契約者は放っておいて問題ないだろう。なまじ動くほうが法的なリスクがあるみたいだったし」
たとえば、朝の電話で状況を説明するだけでも良かったのではないだろうか。仕事の効率という意味でもそちらのほうが正解に思える。
もしかすると、葬儀にくる必要も本来はなかったのかもしれない。
「じゃあ、どうして?」
どうしてわざわざ家にきたりしたのか?と重ねて問われ、響野は首を振った。
「わからない。そういう仕事なんだろうと思ってたから。でも今日話してみた感じだと、それだけじゃないのかもな」
「……というと?」
たずねる水元の声は、もはや氷を通り越してツンドラの平原のようだった。
――山崎さんは響野の味方なんですよね?
「保険って複雑だな。俺、山崎さんの話が六割くらいしか理解できなかったよ」
そんなことを考えていた矢先に、すぐ横で水元がつぶやいた。
「あの人は、本当はこんなところまでくる必要はなかったんだと思う」
響野が自分の考えを話すと、「どういう意味?」と質問を受ける。
「保険金を支払う必要がないなら、契約者は放っておいて問題ないだろう。なまじ動くほうが法的なリスクがあるみたいだったし」
たとえば、朝の電話で状況を説明するだけでも良かったのではないだろうか。仕事の効率という意味でもそちらのほうが正解に思える。
もしかすると、葬儀にくる必要も本来はなかったのかもしれない。
「じゃあ、どうして?」
どうしてわざわざ家にきたりしたのか?と重ねて問われ、響野は首を振った。
「わからない。そういう仕事なんだろうと思ってたから。でも今日話してみた感じだと、それだけじゃないのかもな」
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たずねる水元の声は、もはや氷を通り越してツンドラの平原のようだった。
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