ポケットのなかの空

三尾

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DAY5

100 ※

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 響野は戸惑った。泣いていた自覚はなかった。そうするあいだにも次々と新しい水がこぼれて顔の表面を伝っていくのがわかる。
「悪い……」
 何を言えばいいかわからず、響野は行為を中断させたことをあやまった。
 顔を隠したくて身体を離そうとすると、水元は反対側の手も上げてこちらの頬をはさむ。下半身をつなげたままなので、顔を固定されるとそれ以上は動くことができなかった。
「気持ち良くて、涙が出た」
 水元は響野の顔を引き寄せるとキスをした。重なった唇は海水の味がする。
「家族を呼んでたよ」
 告げる声は、やはりひどく静かだった。響野は黙って目をつぶる。
「俺に何かできることある?」
 やわらかな声が聞いた。自身の欲望よりも、こちらが突然泣き出したことを気にしてくれているのだ。相手の気持ちにふれて胸が熱くなった。
 響野はおずおずと手を上げて水元の背に回す。
「そばにいてほしい」
 わかった、と間髪入れずに返事があって呼吸が引きれた。両目に、今度は無自覚でない涙があふれる。
「独りにしないでくれ」
 わかった、とまたすぐに応じて、水元は小さな子供にするように響野の頭をなでた。
「他には? もっとない?」
 水元の肩と首は自分の涙で濡れている。湿った皮膚を申し訳なく思いながら響野は相手を見た。
「……続きがしたい」


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