ポケットのなかの空

三尾

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DAY6

25

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 睡眠や食事についてあまりしつこく問いただされると、正直なところ、鬱陶うっとうしさが先に立つ場合もあった。今までは。
 だが反対の立場になってみれば、大切な人間が十分に休んでいなかったり、食べていなかったりするのは確かに心配だ。
 水元もこんな気持ちだったのだろうか。
 目が覚めてから、自分がずっと彼のことばかり考えていることに気付く。
 シリアルの入った器とコーヒーを、細心の注意を払ってテーブルまで運ぶと、ダイニングの椅子はテーブルの下にきちんとしまわれていた。フローリングの床の上からも障害物が消えているから、つまずいて大惨事を引き起こすような事態にはならない。
 再会してから、水元とはずっと、こうした生活回りの工夫を続けてきた。自分の困りごとを相手と共有して、ふたりで一緒に対策を練っていくのは、決してつらい作業ではなかった。もっと言えば、ときどきは、やりがいさえ感じていたかもしれない。
 工夫をしてみた結果、生活がうまく回るようになれば、それは自信につながったし、回らなかったとしても“うまく回らない方法を見つけた”という意味では“うまく回った”と言えなくもなかった。
 自分は……自分たちは、問題なくやれているのではないか、と響野は思う。
 仮に、このまま視力が戻らなかったとしても、問題なくやっていけるのではないか、とも思う。


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