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DAY7
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プラスチックの椅子の上で足を組んだ花音は、両腕も組んで背もたれにふんぞり返っている。
万里の姿がないのであたりを見回すと、レストランのガラス張りの壁に手をついて外をながめていた。
「自分の気持ちじゃなくて、その場その場の最適解みたいなのを考えて動こうとするところがあるでしょ? 最適かどうかなんて誰にもわかんないのに」
「……そうですね」
思わず、相づちを打ってしまう。思い当たるふしがあったせいだ。
テーブルに駆け戻ってきた万里が「パパまだ? ひーくんは?」と催促して、さすがに遅いと思ったのだろう、花音がスマホを取り出した。
「え、何で病室にいんの?」
しばらく操作したあと、スマホの画面を見ながら彼女は声をあげる。
ひょっとして水元には病院の食事が出たのではないだろうか?と響野は思うが、今さら言うのもためらわれたので、黙ってテーブルの上を片付けた。
「おしっこ」
万里が唐突に訴える。
「ええ~?」
「あとはやっておきます」
響野が言うと、花音は「ありがとう」と応えて娘の手を引きながら小走りでトイレに向かった。
三人分の食器とトレーをまとめながら、響野は家族について考える。自分の家族ではなく、水元の、ひどく複雑な成り立ちをした家族のことを。
父親は養父で、母親とは十歳差、妹は二十歳以上も下だ。花音の言う通り、世間一般の親子のようにはいかないのかもしれない。
万里の姿がないのであたりを見回すと、レストランのガラス張りの壁に手をついて外をながめていた。
「自分の気持ちじゃなくて、その場その場の最適解みたいなのを考えて動こうとするところがあるでしょ? 最適かどうかなんて誰にもわかんないのに」
「……そうですね」
思わず、相づちを打ってしまう。思い当たるふしがあったせいだ。
テーブルに駆け戻ってきた万里が「パパまだ? ひーくんは?」と催促して、さすがに遅いと思ったのだろう、花音がスマホを取り出した。
「え、何で病室にいんの?」
しばらく操作したあと、スマホの画面を見ながら彼女は声をあげる。
ひょっとして水元には病院の食事が出たのではないだろうか?と響野は思うが、今さら言うのもためらわれたので、黙ってテーブルの上を片付けた。
「おしっこ」
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「ええ~?」
「あとはやっておきます」
響野が言うと、花音は「ありがとう」と応えて娘の手を引きながら小走りでトイレに向かった。
三人分の食器とトレーをまとめながら、響野は家族について考える。自分の家族ではなく、水元の、ひどく複雑な成り立ちをした家族のことを。
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