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DAY7
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「どうしたの?」
ただでさえ意識してしまいそうなのをこらえていたのが、相手のきょとんとした目に見つめられて、さらに気まずくなった。
「家族がそう呼んでたから。変か?」
「いや、変とかじゃないけど」
水元は言いにくそうに口ごもる。
「おやじや花音さんは、そんな一大決心っぽい感じでは呼ばないからさ」
一大決心っぽい感じ、と響野は絶句した。
「あ、でも、嬉しいよ。何ていうか、親密さが高まるよな?」
こちらの表情をのぞき込んだ水元が、あわてて下手くそなフォローをはじめるのを聞いて、恥ずかしさが限界を超える。
「もう帰るよ」
響野は相手の腕を振りほどいてベッドを降りた。
水元が手首をつかんで引き止めてくる。
「待てってば」
「一大決心っぽくて悪かったな。人を下の名前で呼ぶのに慣れてないんだ」
「だから嬉しいって……悪いなんて言ってないだろ」
無視して出口に向かおうとすると、水元は手を離す代わりにベッドから降りてついてきた。病室のドアにたどり着く手前で、ふいに、握った手首を強く引かれる。
反対の手にも肩をつかまれ、響野は簡易式の洗面台に押しつけられた。思いつめた水元の顔が近づいてきたかと思うと、有無を言わさず口を塞がれる。温かい唇の感触に続いて相手が身体ごとのしかかってきた。こちらを逃がすまいとするように両手で頭を挟まれ、下唇を吸われる。
ただでさえ意識してしまいそうなのをこらえていたのが、相手のきょとんとした目に見つめられて、さらに気まずくなった。
「家族がそう呼んでたから。変か?」
「いや、変とかじゃないけど」
水元は言いにくそうに口ごもる。
「おやじや花音さんは、そんな一大決心っぽい感じでは呼ばないからさ」
一大決心っぽい感じ、と響野は絶句した。
「あ、でも、嬉しいよ。何ていうか、親密さが高まるよな?」
こちらの表情をのぞき込んだ水元が、あわてて下手くそなフォローをはじめるのを聞いて、恥ずかしさが限界を超える。
「もう帰るよ」
響野は相手の腕を振りほどいてベッドを降りた。
水元が手首をつかんで引き止めてくる。
「待てってば」
「一大決心っぽくて悪かったな。人を下の名前で呼ぶのに慣れてないんだ」
「だから嬉しいって……悪いなんて言ってないだろ」
無視して出口に向かおうとすると、水元は手を離す代わりにベッドから降りてついてきた。病室のドアにたどり着く手前で、ふいに、握った手首を強く引かれる。
反対の手にも肩をつかまれ、響野は簡易式の洗面台に押しつけられた。思いつめた水元の顔が近づいてきたかと思うと、有無を言わさず口を塞がれる。温かい唇の感触に続いて相手が身体ごとのしかかってきた。こちらを逃がすまいとするように両手で頭を挟まれ、下唇を吸われる。
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