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DAY AFTER
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響野はバックミラーに映る相手の顔に視線をやる。まぶしそうに細めたサングラス越しの目からは、依然として何も読み取れなかった。
海沿いの県道をしばらく走ったあとで、水元は道路わきのこじんまりしたカレー店に車を停めた。
潮の香りを嗅ぎながら店内に入っていくと、目の前に海が広がるテラス席を案内される。深緑色のパラソルの下には木製のテーブルが置いてあり、どこかのリゾート地にきたようだった。
テラスから見える海は、潮風が気持ちいい。波のあいだに陽光が反射してきらきらと輝いていた。水平線に小さな三角帆がいくつか見えるのは、ウィンドサーフィンのセイルだろう。
注文を終え、メニューと一緒に店員が離れていったところで「こんな店よく知ってたな」と響野は言った。
「調べたのか?」
「うん。ながめの良さそうなお店をいくつかね。カレー屋は外せないだろ。カレーの好きな人がいるから」
水元はにこにこと笑いながらこちらを見ている。何やら得意げなのは、下調べの労をねぎらってほしいというアピールだろうか。
正確にはカレーが好物というよりも、とっさに思いつく料理がそれくらいしかないのだが、相手の期待を裏切るようで口にしにくかった。
何か気の利いたことを言おうにも、まるで思い付かない。仕方なく、響野は再び水平線に視線を向けて「海がきれいだ」と見たままの感想を言った。
海沿いの県道をしばらく走ったあとで、水元は道路わきのこじんまりしたカレー店に車を停めた。
潮の香りを嗅ぎながら店内に入っていくと、目の前に海が広がるテラス席を案内される。深緑色のパラソルの下には木製のテーブルが置いてあり、どこかのリゾート地にきたようだった。
テラスから見える海は、潮風が気持ちいい。波のあいだに陽光が反射してきらきらと輝いていた。水平線に小さな三角帆がいくつか見えるのは、ウィンドサーフィンのセイルだろう。
注文を終え、メニューと一緒に店員が離れていったところで「こんな店よく知ってたな」と響野は言った。
「調べたのか?」
「うん。ながめの良さそうなお店をいくつかね。カレー屋は外せないだろ。カレーの好きな人がいるから」
水元はにこにこと笑いながらこちらを見ている。何やら得意げなのは、下調べの労をねぎらってほしいというアピールだろうか。
正確にはカレーが好物というよりも、とっさに思いつく料理がそれくらいしかないのだが、相手の期待を裏切るようで口にしにくかった。
何か気の利いたことを言おうにも、まるで思い付かない。仕方なく、響野は再び水平線に視線を向けて「海がきれいだ」と見たままの感想を言った。
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