ポケットのなかの空

三尾

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DAY AFTER

27

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 意識するとしたら、多くは成分組成が変わったときだろう。自分が慣れ親しんでいた環境が、今までとは異なる別のものに変わりはじめていると感じたとき。
「新しい施設長は、同性愛者が嫌いみたいだった。外国人もかな」
 そう言う彼の言葉は、ひどくゆっくりしていて、自分の感情と記憶を一つひとつ吟味しているように見える。
「誰もいさめなかった……どこかの省庁から天下あまくだってきたお偉いさんだったみたいで……それで、俺が辞める前は、ずいぶんおかしな雰囲気になってたよ。由香里先輩や俺のあとにも外国人スタッフが何人か辞めて、さすがに問題になったから指導が入ったとは聞いてるけど」
 響野が握っている手に、水元は自分も少し力をこめた。
「わざわざ言わなかったのは、もう全部、終わったことだからだよ」
「“職場に恵まれた”とか言ってなかったか?」
「施設長が替わるまでは良い職場だったんだ」
「おまえが辛かったのに良い職場なわけない」
 つい語気が荒くなる。
 水元が明るい色の目を見張った。
「……脱線事故のときも何も言わなかっただろう……」
「それも、すごい古い話じゃないか?」
 苦笑する相手に、笑い事じゃないぞと響野は顔をしかめる。
 油断すると水元を責めはじめてしまいそうだったので、意識的に、彼の手をもう一度強く握り直した。


  *  *  *  *  *




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