リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの

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 「私と結婚してくださいますか?」

リリゼットとリーゼ達の卒業式の日だった。クレマンはゲストの王太子の付き人として卒業した学園へ付いてきていた。リーゼと王太子の結婚は卒業式が終わってから半年後の予定でドルバック家は大忙しだった。
 今、リリゼットは卒業の夜会の途中でバルコニーで一休みしていた。横にいるクレマンはリリゼットの手をそっと取った。

 「私でよろしいのですか?」

リリゼットの問いかけにクレマンは頷く。

「貴女がいいのです。結局他の女性に興味はまったく持てませんでしたし」

リリゼットはにっこりとほほ笑んだ。

「不束者ですがよろしくお願いします」

クレマンが今まで見た中でも一番うれしそうな顔になった。

「こちらこそよろしくお願いします」

 クレマンはリリゼットの小指にそっと指輪を嵌める。

「本物の婚約指輪はまた今度、これは婚約の予約の指輪」

クレマンは照れくさそうに言う。その様子をバルコニーの扉から覗いていたリーゼと王太子は二人で顔を合わせてガッツポーズをしていた。

「ピンキーリングは?」

「私の仕込みですわ。急がないととられちゃうよってあおったし」

王太子は呆れた顔でリーゼを見る。

「意外と物見高い性格持ってるんだな」

「ここで一緒に覗いてるあなたにいわれたくありません」

リーゼはつんっと横を向く。王太子はくっくっくっと笑っている。バルコニーではクレマンがリーゼと王太子の気配に気が付き、バルコニーのテーブルにリリゼットを座らせてそのガラス扉を開ける。

「おおっ」

 ガラス扉に持たれていた王太子がクレマンに倒れ掛かる。

「何やってるんですか。こっちからシルエットが丸見えですよ」

クレマンはリーゼに向かって言う。リーゼはちょっとばつの悪そうな顔になる。リリゼットはその様子を見てくすくす笑っている。リーゼはちゃっかりリリゼットの横に座る。

「リリゼットはここに入学してきた時より笑うようになったね」

「そう、ですか?」

リリゼットはきょとん、とした顔になった。

 「うちらも混ぜて」

菫姫ヴィオレットとイネスがそのテーブルに寄ってきた。

王太子クリストフ、クレマン、女の子に飲み物を持ってきてほしいなぁ」

菫姫の仰せに王太子とクレマンが苦笑して食べるものや飲むものを用意してきてくれる。もちろん運ぶのはクレマンである。クレマンはさらりと嫌味なくそういうことをこなす。菫姫からの評価は

『あいつ意外とむっつりやと思うわぁ。女の子に対して卒がなさすぎる』

イネスは

『女性に興味がないあまりにそつなくこなせる人、なんだと思います』

だった。

 「そういえば来月、うちのとこ来てくれるかな。結婚披露パーティすんの」

クレマンが持ってきてくれた果実水や一口サイズのフィンガーフードをみんなで食べている時に菫姫が言う。卒業したらすぐに結婚の書類を両国に提出して両国で認められたら婚姻の成立となるそうだ。ただ、どちらも国の辺境にいるとはいえ、強力な権力と領地を持っている家なので婚姻成立までの横やりが結構あると予想されているらしい。

 「でもな、婚約者さん、アルバートとうちはさっさと周りに披露しておきたいのん。それとうちら側の国王さんは反対してはらへんから、そういうのも向こうの横やりいれてる貴族に見せつけておこう思てな」

とリーゼに目をやる。

「クリストフとリーゼは来はるんやけど、リリゼットとイネスも来てほしいわぁ。来られるんやったら、招待状出すし」

「行きます」

リリゼットとイネスも喜んで参加の意を表明した。
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