リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの

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 「は?」

クレマンは王宮の父の執務室にいた。そこへ菫姫が自分で招待状を手渡しに来たのだ。

「え?リリ呼ぶし、クレマンも来るかな、思うて」

「………喜んで」

菫姫はにんまり笑う。

「部屋は別やで?」

「あ、当たり前です」

あたふたするクレマンに菫姫は

「なんや、ちゃんとリリの事は好きなんやね」

と言う。クレマンは憮然として答える。

「好きじゃなきゃ婚約なんてしませんよ。好きな人が出来なけりゃ結婚とか考える事もなかったですしね」

「なんや、思ったより普通の子やね、クレマン」

「私は普通で平凡です。これと言って特徴があるわけでもなし」

「でもお勉強は出来るやん」

「あんなの教科書読んでたらなんとでもなります」

クレマンは憮然としたまま答える。菫姫は

『普通は教科書読んだでは出来ないのよね』

と思ったが口にはしなかった。

 「じゃ、よろしゅうにな。ま、王太子クリストフが来るからどっちにしろクレマンは来ることになったやろうけど」

と菫姫は言い捨てて宰相の執務室を出て行った。

「いやはや自由な方だね」

と笑いながら宰相、クレマンの父親、は言った。




 「クレマンにも招待状渡したで」

定例になったリーゼの家でのお茶会で菫姫は言った。今日は菫姫も参加するお茶会の最後の日であった。菫姫は明後日、王宮の王弟宮を引き払い領地に帰って結婚準備をするのだ。菫姫の招待状は彼女のイメージカラーの菫色の封筒に銀の封蝋で優美なものだった。

「こうやってみんなでお茶する機会も減るなぁ」

菫姫はちょっとアンニュイな表情になる。

「ほんと、学園では遠巻きにされたままで友達もできへんかって思てた」

菫姫は少し冷めた紅茶を一口飲む。

「でもリーゼのおかげでリリともイネスとも知り合えた。ぎょうさん友達はいらんけどリーゼのおかげでいい友達が二人も増えたわ。これからもよろしゅうにな。領地からも、結婚してからも手紙書くし。気、向いたら返事頂戴な」

「また感傷的になってる」

リーゼにそういわれ、菫姫は少し笑う。

 「しゃーないやん、二人ともっと仲良くしたかったわ。しゃーないけど」

「でもアルバート大公と結婚するのは嬉しいでしょう?」

リーゼの言葉に菫姫はうっと言って黙る。耳のふちが赤くなっている。

「で、でもリリのおかげでマダムフルールのお店でウェディングドレス作ってもらえてよかったわぁ」

と菫姫はごまかす。

「私じゃなくて、私の父のおかげ、ですかねぇ………。父親がマダムと再婚なんて想定外でしたし」

 ユーグはいつの間にかマダムと仲良くなっていて、領地の婦人会や8家の推薦もあり二人は結婚した。ニコルに伯爵を譲る話はまだまだ実行されることはなくなったが、ニコル自身は

『表に出ずにすむならそれに越した事はないし、マダムなら父上を任せても安心』

だそうだ。8家と婦人会はニコルに『次代をルイにすることも考えてる』と言われてもそれでいいと返事をしたようだった。

 「おかげで色々しごかれてます」

とリリゼットは笑っている。


 少女たちはさんざめく花のようにたおやかにお茶会を楽しんでいる。



=== 本編 終了 ===


これからいくつかサイドストーリーを投稿していきます。次回更新は金曜日になります。
長々と読んでくださってありがとうございました。
そしてもう少しだけお付き合いいただけると嬉しいです。




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