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王太子の話
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リーゼとヴィオレットは物心ついた時から一緒にいた。俺としてはいつもいて『当たり前』だと思っていた。俺が5つになったころから『コンヤクシャ』とか大人が言い出した。俺自身はそういう事には全く興味もなかった。ま、子供だしな、さすがに。
中等部に入ってからオクレール男爵家の令嬢、コゼット嬢が現れた。身近にいて、寮の部屋まで来て朝まで一緒にいちゃいちゃできる女の子。俺自身はそうとしか考えてなかった。ある日
「月の物がこないの。クリストフ様の赤ちゃんがお腹にいるよ、きっと」
と言われて初めて『現実』に直面した。どうしていいかわからなかった俺は………王宮に行って宰相に相談した。宰相は色々忙しい父に代わって話を聞いてくれる人、と俺の中では位置づけられていた。あと、さすがに父上に相談するのはまずい、と思っていたからだ。
が、そんな思惑はあっという間に無視されて父上に尋問されて正直に吐いた。ほぼ毎晩睦あっていた事や何度も寮で一緒に朝までいた事など子供ができて当たり前の行為を繰り返していた事まで白状させられた。
あの時の母上の虫けらをみるような目は忘れられない。そして男爵家からも内密に手紙が来て、結局、コゼット嬢は子供を産んだ。が、育てるのは手元で育てると言い張っていたので季節ごとに子供を見せに来る、という話で落ち着いたようだった。子供の処遇は俺が成人してから決めるという事と、子供の魔力が落ち着く5歳ごろに魔力鑑定を行い、俺との血のつながりを検査する、という話が決まった。
あとでコゼットに聞いたところ
「あの頃はどっちとも避妊してなかったからどっちの子供かわからなかった」
と。どうも宰相は調査でそのことを知っていたので魔力検査までは待とうと思ったのだろうな。それからほどなくして2つ下のクレマンが付き人になり、寮も二人部屋に替えられた。その頃に、叔父上、ヴィオレットの父親、からこんこんと諭された。親としての責任や妻への思いやり、それと『王』は側妃を抱えるが、それは血の存続以上に政治的な意味もある事、そして
『君は立太子式は終えているが、君に不利なことが増えると廃嫡だってある得る。それだけ君は危うい立場なんだ。第2王子や第3王子を掲げて来ることだってある。今はダンテス公爵が君の後ろ盾だから何とかなっているんだ。これ以上庶子を増やしたりバカな事を辞めてほしい。今君が廃嫡になってしまったら王位継承権第3位の私が王太子ということになって、正式な王太子が決まらないうちに兄上が身罷ったら私が王位を継ぐ羽目になる。そんなことはごめんだからな?』
おっさん、ぶっちゃけるなー、さすがに菫姫の父親だって思った。この人の奥さん、義叔母上、初恋だったんだよな。菫姫は叔父上に似ている。ただ菫姫の髪色と目の色は義叔母上と似ている。叔父上は俺と全く同じ色合いの金髪碧眼だ。そして叔父上と父上はよく似ている。俺は叔父上と父上の中間って感じで二人に似てる。
卒業前に、コゼットと一騎士の事がわかった。何のことはない俺がいわゆる『間男』だったようだ。コゼットの花を散らしたのは俺だったが以降は共有していた、と。コゼット自身はいつも避妊を嫌がっていた。避妊しない方が気持ちがいい、と。
そして彼女達は一家毎、爵位をはく奪され遠方へと消えた。国外退去にはならなかった。リーゼが
『彼女と王太子殿下が仲良かったのは事実です。結果的に嘘となりましたが状況を聞くとどちらの子供かわからない状況であったと。ならば子供が不利益を受けることはないと思いましたので我が家から土地や家畜を用意したうえで農民に、ということを決定しました。男爵は子供の頃農業を営む祖父母と暮らしていたので抵抗はないという話でした』
とこちらが『男爵令嬢を玩具にして使い捨てた』と言われないようにしてくれたのだ。公爵は俺を切る気まんまんだったようだが俺の事を嫌ってると思っていたリーゼが
『今から新しい人間関係を結ぶのも面倒なので、こちらが強気で居られる王太子殿下との婚約を解消する気はありません』
と。婚約を解消したらリーゼを女公爵にしようと思っていたリーゼの父親は改めて自分の弟を次の公爵として指名した。リーゼと俺に複数人の男子が生まれるか、公爵の弟が継ぐかその子供が継ぐが、という話になったらしい。
今リーゼの家は酒のみが酒のみに健康管理をうるさく言うという笑える状況らしい。リーゼは
「どっちもどっち。両方とも禁酒か断酒してほしい。ま、二人で肝臓いたわって過ごしてほしい」
とあきれ顔だ。
明日はリーゼと俺の結婚式で、この口うるさい婚約者は俺の妻になる。いつも一緒にいて当たり前と思っていたヴィオレットがいなくなって喪失感もあったけど、リーゼが横にいる生活はきっと悪くないと思っている。
==========
次は水曜日(2021/05/19)に更新です。
中等部に入ってからオクレール男爵家の令嬢、コゼット嬢が現れた。身近にいて、寮の部屋まで来て朝まで一緒にいちゃいちゃできる女の子。俺自身はそうとしか考えてなかった。ある日
「月の物がこないの。クリストフ様の赤ちゃんがお腹にいるよ、きっと」
と言われて初めて『現実』に直面した。どうしていいかわからなかった俺は………王宮に行って宰相に相談した。宰相は色々忙しい父に代わって話を聞いてくれる人、と俺の中では位置づけられていた。あと、さすがに父上に相談するのはまずい、と思っていたからだ。
が、そんな思惑はあっという間に無視されて父上に尋問されて正直に吐いた。ほぼ毎晩睦あっていた事や何度も寮で一緒に朝までいた事など子供ができて当たり前の行為を繰り返していた事まで白状させられた。
あの時の母上の虫けらをみるような目は忘れられない。そして男爵家からも内密に手紙が来て、結局、コゼット嬢は子供を産んだ。が、育てるのは手元で育てると言い張っていたので季節ごとに子供を見せに来る、という話で落ち着いたようだった。子供の処遇は俺が成人してから決めるという事と、子供の魔力が落ち着く5歳ごろに魔力鑑定を行い、俺との血のつながりを検査する、という話が決まった。
あとでコゼットに聞いたところ
「あの頃はどっちとも避妊してなかったからどっちの子供かわからなかった」
と。どうも宰相は調査でそのことを知っていたので魔力検査までは待とうと思ったのだろうな。それからほどなくして2つ下のクレマンが付き人になり、寮も二人部屋に替えられた。その頃に、叔父上、ヴィオレットの父親、からこんこんと諭された。親としての責任や妻への思いやり、それと『王』は側妃を抱えるが、それは血の存続以上に政治的な意味もある事、そして
『君は立太子式は終えているが、君に不利なことが増えると廃嫡だってある得る。それだけ君は危うい立場なんだ。第2王子や第3王子を掲げて来ることだってある。今はダンテス公爵が君の後ろ盾だから何とかなっているんだ。これ以上庶子を増やしたりバカな事を辞めてほしい。今君が廃嫡になってしまったら王位継承権第3位の私が王太子ということになって、正式な王太子が決まらないうちに兄上が身罷ったら私が王位を継ぐ羽目になる。そんなことはごめんだからな?』
おっさん、ぶっちゃけるなー、さすがに菫姫の父親だって思った。この人の奥さん、義叔母上、初恋だったんだよな。菫姫は叔父上に似ている。ただ菫姫の髪色と目の色は義叔母上と似ている。叔父上は俺と全く同じ色合いの金髪碧眼だ。そして叔父上と父上はよく似ている。俺は叔父上と父上の中間って感じで二人に似てる。
卒業前に、コゼットと一騎士の事がわかった。何のことはない俺がいわゆる『間男』だったようだ。コゼットの花を散らしたのは俺だったが以降は共有していた、と。コゼット自身はいつも避妊を嫌がっていた。避妊しない方が気持ちがいい、と。
そして彼女達は一家毎、爵位をはく奪され遠方へと消えた。国外退去にはならなかった。リーゼが
『彼女と王太子殿下が仲良かったのは事実です。結果的に嘘となりましたが状況を聞くとどちらの子供かわからない状況であったと。ならば子供が不利益を受けることはないと思いましたので我が家から土地や家畜を用意したうえで農民に、ということを決定しました。男爵は子供の頃農業を営む祖父母と暮らしていたので抵抗はないという話でした』
とこちらが『男爵令嬢を玩具にして使い捨てた』と言われないようにしてくれたのだ。公爵は俺を切る気まんまんだったようだが俺の事を嫌ってると思っていたリーゼが
『今から新しい人間関係を結ぶのも面倒なので、こちらが強気で居られる王太子殿下との婚約を解消する気はありません』
と。婚約を解消したらリーゼを女公爵にしようと思っていたリーゼの父親は改めて自分の弟を次の公爵として指名した。リーゼと俺に複数人の男子が生まれるか、公爵の弟が継ぐかその子供が継ぐが、という話になったらしい。
今リーゼの家は酒のみが酒のみに健康管理をうるさく言うという笑える状況らしい。リーゼは
「どっちもどっち。両方とも禁酒か断酒してほしい。ま、二人で肝臓いたわって過ごしてほしい」
とあきれ顔だ。
明日はリーゼと俺の結婚式で、この口うるさい婚約者は俺の妻になる。いつも一緒にいて当たり前と思っていたヴィオレットがいなくなって喪失感もあったけど、リーゼが横にいる生活はきっと悪くないと思っている。
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