12 / 17
12.新しい仕事
しおりを挟む
モリスの希望で住みだしたこの街は、昼間は寝ている人が多く、夜にやっている店の方が多かった。
なのでオーレリアは、再び料理を作る裏方の仕事を探すことにする。
そして、すぐに働き出したお店は、前に勤めていた食堂と違い、店の表部分は、美しく着飾った女性達が、お客の男性とお酒を飲んだり、食事をするところだった。
けれども、オーレリアは後ろの厨房で、料理を作っているので、前のお仕事と内容はそれほど変わっておらず、すぐに馴染むことができた。
店の店主の女性は、働き出してからずっと「厨房に引っ込むなんてもったいない。」
「あなたならいくらでも稼げる。」と、私を説得しようとする。
「リア、綺麗なドレスを着て、今日は店に出てみない?
あなたなら、この店の一番人気になれるのに。
もったいない。」
「モリスがいますので、浮気はしたくないんです。」
「あんな、遊んでばっかりの男のどこがいいのよ。
信じられないわ。
さっさと別れて、もっと、リアを大切にしてくれる男と結婚しなさいよ。」
「いえ、私はモリスが大好きなので。」
「もう、惚れた女には、何を言っても無駄ね。」
「すみません。」
今日もモリスのおかげで、断る口実ができた。
夫がいるというと、夜の街でも男性への接客を断ることができるし、男性はすぐに諦めの表情を浮かべるし、誘いもなくなるからとても助かる。
「あなた達は本当に夫婦仲がいいのね。
もう、しつこく接客を勧めないから、安心して。
だって、リアの作る料理は、顔を出さなくてもすでにお客様の心を掴んでいるの。
料理を食べるとほっこりするみたいで、店に来る男達のリピート率が上がっているのよ。
ウチの子達の接客とリアの料理の相乗効果って言うのか、離れられないって言われているのよ。
ウチの店から。
だから、あなたはずっとここで働いてね。」
「ありがとうございます。」
モリスは夜、理想の王子様を探して飲み歩くため、周りには新婚の妻を置いて歩く悪い夫と思われている。
でも、実際は私にとって、最高のパートナーだった。
苦手な男性を相手にする仕事も、興味がないのに、しつこく話しかけてくる男性も、跳ね除ける役割になっていて、むしろ、私ばかりいい思いをして、モリスは嫌な思いをしているのではないかと、不安になる。
家でモリスとくつろいでいる時に、そっときり出した。
「モリスは私がいたら、浮気夫って言われて、理想の王子様探しのマイナスにならない?」
「何を言ってるの。
私を理解してくれる人を探しているんだから、私の説明を聞いても、そんなこと言う人は私の王子様じゃないわ。」
モリスは、不安げな私に対し、はっきりと言いきる。
「モリスはぶれないね。
ありがとう、安心したわ。
だって、私はいつもあなたの悪口を言われて、反対に私は可哀想って思われて、心の中で申し訳ないって思っているの。」
「いいのよ。
そのために夫婦を装っているんだもの。
最初からわかっていることだわ。
でも本当に、リアは見た目だけじゃなく、性格もかわいいのね。
私が男だったら、離さないのに。
いつも、私の立場を気にしてくれるのね。
私はそんなことは、どうでも良いって思っているの。
それより、私にとって大切なのは、恋人を作ることなの。
私だって、なかなか王子様に会えなくて、凹む時もあるわ。
でも、心に蓋をして生きるのが、嫌だからここに来た。
そう考えれば、今の自分に悔いはないの。」
「ありがとう。
モリスに素敵な彼ができてほしいと心から思っているの。
私も一緒になって、モリスの良いところをみんなに説明して歩きたいくらい。」
「ふふ、そんなことをしたら、この夫婦はどうなっているんだって、みんな混乱するわ。」
「そうだね。
それは無理か。」
「大丈夫。
私は私で頑張るから。
リアこそ変わらずなのね。」
「うん。
私は変わらないわ。
でも、好きな人のことを、ずっと好きでいることは、悔いはないの。
ただ、新しい好きな人ができないだけ。」
「そっか、じゃあ、これからも仲良く暮らしましょ。」
「うん。」
二人はいつの間にか、恋の話ができる親友になっていた。
なのでオーレリアは、再び料理を作る裏方の仕事を探すことにする。
そして、すぐに働き出したお店は、前に勤めていた食堂と違い、店の表部分は、美しく着飾った女性達が、お客の男性とお酒を飲んだり、食事をするところだった。
けれども、オーレリアは後ろの厨房で、料理を作っているので、前のお仕事と内容はそれほど変わっておらず、すぐに馴染むことができた。
店の店主の女性は、働き出してからずっと「厨房に引っ込むなんてもったいない。」
「あなたならいくらでも稼げる。」と、私を説得しようとする。
「リア、綺麗なドレスを着て、今日は店に出てみない?
あなたなら、この店の一番人気になれるのに。
もったいない。」
「モリスがいますので、浮気はしたくないんです。」
「あんな、遊んでばっかりの男のどこがいいのよ。
信じられないわ。
さっさと別れて、もっと、リアを大切にしてくれる男と結婚しなさいよ。」
「いえ、私はモリスが大好きなので。」
「もう、惚れた女には、何を言っても無駄ね。」
「すみません。」
今日もモリスのおかげで、断る口実ができた。
夫がいるというと、夜の街でも男性への接客を断ることができるし、男性はすぐに諦めの表情を浮かべるし、誘いもなくなるからとても助かる。
「あなた達は本当に夫婦仲がいいのね。
もう、しつこく接客を勧めないから、安心して。
だって、リアの作る料理は、顔を出さなくてもすでにお客様の心を掴んでいるの。
料理を食べるとほっこりするみたいで、店に来る男達のリピート率が上がっているのよ。
ウチの子達の接客とリアの料理の相乗効果って言うのか、離れられないって言われているのよ。
ウチの店から。
だから、あなたはずっとここで働いてね。」
「ありがとうございます。」
モリスは夜、理想の王子様を探して飲み歩くため、周りには新婚の妻を置いて歩く悪い夫と思われている。
でも、実際は私にとって、最高のパートナーだった。
苦手な男性を相手にする仕事も、興味がないのに、しつこく話しかけてくる男性も、跳ね除ける役割になっていて、むしろ、私ばかりいい思いをして、モリスは嫌な思いをしているのではないかと、不安になる。
家でモリスとくつろいでいる時に、そっときり出した。
「モリスは私がいたら、浮気夫って言われて、理想の王子様探しのマイナスにならない?」
「何を言ってるの。
私を理解してくれる人を探しているんだから、私の説明を聞いても、そんなこと言う人は私の王子様じゃないわ。」
モリスは、不安げな私に対し、はっきりと言いきる。
「モリスはぶれないね。
ありがとう、安心したわ。
だって、私はいつもあなたの悪口を言われて、反対に私は可哀想って思われて、心の中で申し訳ないって思っているの。」
「いいのよ。
そのために夫婦を装っているんだもの。
最初からわかっていることだわ。
でも本当に、リアは見た目だけじゃなく、性格もかわいいのね。
私が男だったら、離さないのに。
いつも、私の立場を気にしてくれるのね。
私はそんなことは、どうでも良いって思っているの。
それより、私にとって大切なのは、恋人を作ることなの。
私だって、なかなか王子様に会えなくて、凹む時もあるわ。
でも、心に蓋をして生きるのが、嫌だからここに来た。
そう考えれば、今の自分に悔いはないの。」
「ありがとう。
モリスに素敵な彼ができてほしいと心から思っているの。
私も一緒になって、モリスの良いところをみんなに説明して歩きたいくらい。」
「ふふ、そんなことをしたら、この夫婦はどうなっているんだって、みんな混乱するわ。」
「そうだね。
それは無理か。」
「大丈夫。
私は私で頑張るから。
リアこそ変わらずなのね。」
「うん。
私は変わらないわ。
でも、好きな人のことを、ずっと好きでいることは、悔いはないの。
ただ、新しい好きな人ができないだけ。」
「そっか、じゃあ、これからも仲良く暮らしましょ。」
「うん。」
二人はいつの間にか、恋の話ができる親友になっていた。
105
あなたにおすすめの小説
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
【完結】前世の恋人達〜貴方は私を選ばない〜
乙
恋愛
前世の記憶を持つマリア
愛し合い生涯を共にしたロバート
生まれ変わってもお互いを愛すと誓った二人
それなのに貴方が選んだのは彼女だった...
▶︎2話完結◀︎
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
僕の婚約者は今日も麗しい
蒼あかり
恋愛
公爵家嫡男のクラウスは王命により、隣国の王女と婚約を結ぶことになった。王家の血を引く者として、政略結婚も厭わないと覚悟を決めていたのに、それなのに。まさか相手が子供だとは......。
婚約相手の王女ローザもまた、国の安定のためにその身を使う事を使命としていたが、早い婚約に戸惑っていた。
そんなふたりが色々あって、少しづつ関係を深めていく。そんなお話。
変わり者の作者が、頑張ってハッピーエンドを目指します。
たぶん。きっと。幸せにしたい、です。
※予想外に多くの皆様に読んでいただき、驚いております。
心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
ご覧いただいた皆様に幸せの光が降り注ぎますように。
ありがとうございました。
笑わない妻を娶りました
mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。
同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。
彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる