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16.再びの出会い
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オーレリアは仕事が終わり、モリスの待つ店に向かい、笑顔でドアを開ける。
その瞬間、時が止まったように動けなくなり、店の中からこちらを向く忘れられない人を見つめた。
ライナート。
二人の目が合うと再び時が動き出し、オーレリアは振り向くと、すぐに店を出て、夜の街をやみくもに走り出す。
けれども、足の速いライナートにすぐに追いつかれ、腕を掴まれて立ち止まる。
「リア、頼む。
少しだけでいいから話を聞いてくれ。」
真剣な表情で話すライナートを見つめると、拒否するなんてできそうにもなかった。
だって、ダメだとわかっていても、私もずっと会いたかったから。
こんな日がいつか来ると、心の中ではわかっていた。
どんなに離れても、二人はどうしてもまた出会ってしまう。
ライナートの顔を見てしまったら、その時にやっぱりずっと好きだと、自分の変わらない想いを突きつけられるのが怖かった。
必死に離れようとここまで逃げて来たのに、自分の気持ちからは逃げれない。
オーレリアは諦めて頷いた。
どうしたら良いのかわからないまま二人で店に戻ると、みんなは気を使い、出て行った後だった。
「元気にしてた?」
ライナートはオーレリアの眼を覗き込んだ。
「ええ、元気よ。
夫もできたし。」
オーレリアはライナートと少しでも距離を置きたくて、あえてモリスのことを話す。
「ああ、話した。
見せかけだけの夫婦だと。」
「その話を聞いたの?」
「ああ、彼から話してくれたんだ。」
「そう。」
もう私を守る壁は無くなってしまった。
私は無防備に、傷を晒すも同然だ。
「何故そんなことを?」
「近づいて来る男の人が煩わしかったの。
ライといた時は何もなかったのにね。」
「それは僕がリアは僕のものだと言うオーラを、常に出していたからかな。」
「そうだったんだ。
気がつかなかった。
それよりライはこんな所に来ちゃダメじゃない。
もうお世継ぎも生まれるんでしょ。
私と会ったことは胸にしまって忘れて。
絶対に妊娠中のキアーラ様を不安にさせないで。」
「リアは変わらないね。
いつだって、周りの人を気遣うんだね。
でも、知ってるかい?
そのお世継ぎは僕の子じゃないんだ。」
「えっ。」
「やっぱり、知らないか。
その子はキアーラとローレンスの子だよ。
僕は王位継承権を弟に譲った。
結婚したのは、彼らなんだ。
最初僕と婚約していたのに、そんなことになったから、詳しく知らせると醜聞になるとどちらの王子と結婚したか濁して発表したんだよ。」
「ライはそれでいいの?
お母様との王になるという約束は?」
「二人のことをすべてを知った時、むしろホッとしてね。
僕が弟に王になるよう頼んだんだ。
君を失って、あんなにあった王国を守る志なんていつの間にか、どこかに行ってしまった。
僕は君がいたから、王になりたかったんだ。
君が誇れる王に。
母には申し訳ないけど、ダメな息子さ。」
「そんな。」
オーレリアはライナートの話に、言葉を失った。
私達が目指していた彼の未来像は、私を失って崩れてしまっていた。
「君がいないとやる気が出ないなんて、僕は情けない男だよ。
確かに一人で頑張ってやれないことはない。
今だって変わらずやってる。
でも、そこに情熱なんてどこにもないんだ。
ただ、機械のように求められるまま淡々としているだけ。
あの頃のような志や意欲は決して湧いて来ないんだ。
どうしてこんなに君が好きで、必要なのか自分でもわからない。
でも、こんなに離れていても君を思う気持ちが、少しも減らないんだ。
もう、君を諦めることを諦めた。
僕はずっと君しか好きにならない。
多分、この命が尽きるまで。
だから、今すぐにとは言わない。
いつか、君が僕でもいいって思う時が来たら、教えてくれ。
迎えに来るよ。」
オーレリアはなんと言っていいのか、わからなかった。
それでも、たとえどんなことがあったとしても、結局は、私もライナートのことが好きだし、彼の幸せを祈っている。
再びあの頃のようになれるのなら、やっぱりそばにいたい。
私だって、ライナートと一緒じゃなきゃ、本当の幸せなんて感じない。
だからと言って、この場ですべてを決めるのは、身勝手と言うものだ。
今、私には先に話をしなければいけない人がいる。
「わかったわ。」
そう言って二人は再び別れるのだった。
その瞬間、時が止まったように動けなくなり、店の中からこちらを向く忘れられない人を見つめた。
ライナート。
二人の目が合うと再び時が動き出し、オーレリアは振り向くと、すぐに店を出て、夜の街をやみくもに走り出す。
けれども、足の速いライナートにすぐに追いつかれ、腕を掴まれて立ち止まる。
「リア、頼む。
少しだけでいいから話を聞いてくれ。」
真剣な表情で話すライナートを見つめると、拒否するなんてできそうにもなかった。
だって、ダメだとわかっていても、私もずっと会いたかったから。
こんな日がいつか来ると、心の中ではわかっていた。
どんなに離れても、二人はどうしてもまた出会ってしまう。
ライナートの顔を見てしまったら、その時にやっぱりずっと好きだと、自分の変わらない想いを突きつけられるのが怖かった。
必死に離れようとここまで逃げて来たのに、自分の気持ちからは逃げれない。
オーレリアは諦めて頷いた。
どうしたら良いのかわからないまま二人で店に戻ると、みんなは気を使い、出て行った後だった。
「元気にしてた?」
ライナートはオーレリアの眼を覗き込んだ。
「ええ、元気よ。
夫もできたし。」
オーレリアはライナートと少しでも距離を置きたくて、あえてモリスのことを話す。
「ああ、話した。
見せかけだけの夫婦だと。」
「その話を聞いたの?」
「ああ、彼から話してくれたんだ。」
「そう。」
もう私を守る壁は無くなってしまった。
私は無防備に、傷を晒すも同然だ。
「何故そんなことを?」
「近づいて来る男の人が煩わしかったの。
ライといた時は何もなかったのにね。」
「それは僕がリアは僕のものだと言うオーラを、常に出していたからかな。」
「そうだったんだ。
気がつかなかった。
それよりライはこんな所に来ちゃダメじゃない。
もうお世継ぎも生まれるんでしょ。
私と会ったことは胸にしまって忘れて。
絶対に妊娠中のキアーラ様を不安にさせないで。」
「リアは変わらないね。
いつだって、周りの人を気遣うんだね。
でも、知ってるかい?
そのお世継ぎは僕の子じゃないんだ。」
「えっ。」
「やっぱり、知らないか。
その子はキアーラとローレンスの子だよ。
僕は王位継承権を弟に譲った。
結婚したのは、彼らなんだ。
最初僕と婚約していたのに、そんなことになったから、詳しく知らせると醜聞になるとどちらの王子と結婚したか濁して発表したんだよ。」
「ライはそれでいいの?
お母様との王になるという約束は?」
「二人のことをすべてを知った時、むしろホッとしてね。
僕が弟に王になるよう頼んだんだ。
君を失って、あんなにあった王国を守る志なんていつの間にか、どこかに行ってしまった。
僕は君がいたから、王になりたかったんだ。
君が誇れる王に。
母には申し訳ないけど、ダメな息子さ。」
「そんな。」
オーレリアはライナートの話に、言葉を失った。
私達が目指していた彼の未来像は、私を失って崩れてしまっていた。
「君がいないとやる気が出ないなんて、僕は情けない男だよ。
確かに一人で頑張ってやれないことはない。
今だって変わらずやってる。
でも、そこに情熱なんてどこにもないんだ。
ただ、機械のように求められるまま淡々としているだけ。
あの頃のような志や意欲は決して湧いて来ないんだ。
どうしてこんなに君が好きで、必要なのか自分でもわからない。
でも、こんなに離れていても君を思う気持ちが、少しも減らないんだ。
もう、君を諦めることを諦めた。
僕はずっと君しか好きにならない。
多分、この命が尽きるまで。
だから、今すぐにとは言わない。
いつか、君が僕でもいいって思う時が来たら、教えてくれ。
迎えに来るよ。」
オーレリアはなんと言っていいのか、わからなかった。
それでも、たとえどんなことがあったとしても、結局は、私もライナートのことが好きだし、彼の幸せを祈っている。
再びあの頃のようになれるのなら、やっぱりそばにいたい。
私だって、ライナートと一緒じゃなきゃ、本当の幸せなんて感じない。
だからと言って、この場ですべてを決めるのは、身勝手と言うものだ。
今、私には先に話をしなければいけない人がいる。
「わかったわ。」
そう言って二人は再び別れるのだった。
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