離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない

月山 歩

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8.どこまでも政略結婚

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 花祭りが終わり、そろそろ帰国を考えている。

 ユリウスにはお世話になりっぱなしだけど、バーンハルトの消息は分からずじまいで、ここでこのまま彼を待つのは先が見えない。

 帰国して、フェルミノ王国でバーンハルトを待とう。

 そう思い、ユリウスに庭園でお茶を飲みながら相談する。

「ユリウス相談があるのだけど。」

「なんだい?」

「そろそろフェルミノ国に帰ろうと思って。」

「どうして?
 このままここにいて。」

「もう、お世話になりっぱなしで悪いわ。

 バーンハルトもどうなるかわからないし。
 フェルミノ国でバーンハルトを待つわ。」

 ユリウスは一瞬言い淀んだが、言葉を探しながら説明する。

「はっきり言ってしまうけど、セシーリアがここで僕と結婚するのは、ほぼ決まりなんだ。
 だから、フェルミノ国に帰ることは許可できない。

 僕は以前から君と結婚したいとフェルミノ国に何度も伝えていたんだ。

 でも、僕とはそもそも親交国だから、二人が結婚しても、国として得るものがないと断られていた。

 反対にマイルズ国に君が嫁ぐと、三国が強固になり、西国を牽制できる。

 だから、バーンハルトとの婚約が成立した。

 しかし、今となっては西国の脅威もないし、大きくなりすぎた僕の国が裏切らないように、フェルミノ王は僕と君を結婚させたいと思っているんだ。

 僕は元々セシーリアと結婚したかったから、もうすでに承諾している。

 君に言わなかったのは、君がまだバーンハルトを待っていると知っていたから。
 時間が必要だと思っていたんだよ。」

「その話はいつから?」

「ごめん、始めからだよ。
 君が見つかって、バーンハルトが見つからない場合はなくなったと考えるのが、自然だからね。

 僕達は常に先を見る必要がある。」

「そうだったの?
 言ってくれれば良かったのに。」

「バーンハルトを逃し、健気に彼を待つ君には言えなかったよ。
 君は今でもバーンハルトが好きなのかい?」

「私達は政略結婚だから、単純に好きだったのではないわ。
 でも、夫婦として大切にしようと思っていたわ。

 私の心は王達には全く関係ないのね。
 あっちがダメならこっちって。
 わかっていたけれど、つらいわ。

 ごめんなさい、ユリウスのせいじゃないのに。
 ちょっと一人にさせて。」

 そう言って、庭園を後にする。

 自分を犠牲にしても守ろうとしたマイルズ国は、バーンハルトがいないことですぐに切り捨てられ、国を守るために、計画は変更されていて。

 わかっているのに、切り替えが必要だって。
 私は王女なのだから。

 今度はもしバーンハルトが万が一戻ったら、フェルミノ王国はマイルズ王国に領土を返還しなければならない。

 そしたら、西国だった領土も治めている広大なメインデルト王国が脅威になる。

 だから、私を早くユリウスと結婚させて、安泰になろうとしている。
 国としては正しい判断だわ。

 でも、どうしても虚しさが襲う。
 結局、いいなりになるしかない自分に。
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