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11.剣を使う
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庭園で二人でお茶とお茶菓子を食べた後、
「さ、始めよう。
まずは、剣でお花を摘んでみよう。
こうやってやるんだ。」
そう言って、ユリウスはお花の枝を器用に切って行く。
「こう、もつのね」
そう言って、剣をお花の茎に当てる。
「セシーリアは料理とかしたことがなかったね。
大丈夫、剣先をゆっくりと引くんだ。
お花の茎が上手に切れたら、枝も切れるから。」
見よう見まねで、お花を持って、剣を引くを繰り返す。
花束が出来上がった頃にはもう、枝も切れるようになっていた。
毎日少しずつ枝を切って、剣で火を起こし、果物を採取し、葉で籠を作り、どんどんできることが増えていったある日、
「今日は万が一のために戦い方を覚えよう。
セシーリアの戦いのチャンスは一度きりだよ。
相手が君より、剣を使えたり、力が強い場合には、すぐに反撃されるか、剣を奪われてあっという間に劣勢に立たされる。
だから、隙をついて、相手の自由を奪う。
わかり易く言うと、足などを刺して、相手から充分に離れるんだ。
捕まったら、命すら危うい。
そんな状況下で覚悟を決めて行うんだ。
躊躇っているなら、時を待って。
隙は必ずやって来るし、心が決まる時が来る。
じゃ、やってみよう。」
そう言って、木の幹に布団を巻いて、人に見立て、刺す練習を繰り返す。
始めは太い木を選んでいたが、だんだん細い木にして、最後的にはユリウスの足に鞘をつけたまま刺すようにまでなった。
「ユリウス、いつも本当にありがとう。
ユリウスの指示することは、とても実践的で、思ってた以上に生きていける気がするわ。」
「セシーリアは本気だから、覚えるのがとても早いよ。
でも、軍隊なら野生動物の狩りをしたりするんだけど、それはいらないんだよね?」
「すごく考えたけど、私には狩りはできないわ。」
「うん、無理しなくてもいいよ。
できることをしよう。
明日はドレスを着て、その下に剣を忍ばせて、刺すところまでやってみよう。
今日自室に戻ったら、早速剣帯をつけて、暮らすんだ。
剣を携えることが当たり前と思うようにならないと、いざと言う時に使えないよ。」
「わかったわ。
いつも身につけるようにするわ。」
こうして、ユリウスの指導の元、着実にあの時願ったなりたい自分に近づいていた。
「さ、始めよう。
まずは、剣でお花を摘んでみよう。
こうやってやるんだ。」
そう言って、ユリウスはお花の枝を器用に切って行く。
「こう、もつのね」
そう言って、剣をお花の茎に当てる。
「セシーリアは料理とかしたことがなかったね。
大丈夫、剣先をゆっくりと引くんだ。
お花の茎が上手に切れたら、枝も切れるから。」
見よう見まねで、お花を持って、剣を引くを繰り返す。
花束が出来上がった頃にはもう、枝も切れるようになっていた。
毎日少しずつ枝を切って、剣で火を起こし、果物を採取し、葉で籠を作り、どんどんできることが増えていったある日、
「今日は万が一のために戦い方を覚えよう。
セシーリアの戦いのチャンスは一度きりだよ。
相手が君より、剣を使えたり、力が強い場合には、すぐに反撃されるか、剣を奪われてあっという間に劣勢に立たされる。
だから、隙をついて、相手の自由を奪う。
わかり易く言うと、足などを刺して、相手から充分に離れるんだ。
捕まったら、命すら危うい。
そんな状況下で覚悟を決めて行うんだ。
躊躇っているなら、時を待って。
隙は必ずやって来るし、心が決まる時が来る。
じゃ、やってみよう。」
そう言って、木の幹に布団を巻いて、人に見立て、刺す練習を繰り返す。
始めは太い木を選んでいたが、だんだん細い木にして、最後的にはユリウスの足に鞘をつけたまま刺すようにまでなった。
「ユリウス、いつも本当にありがとう。
ユリウスの指示することは、とても実践的で、思ってた以上に生きていける気がするわ。」
「セシーリアは本気だから、覚えるのがとても早いよ。
でも、軍隊なら野生動物の狩りをしたりするんだけど、それはいらないんだよね?」
「すごく考えたけど、私には狩りはできないわ。」
「うん、無理しなくてもいいよ。
できることをしよう。
明日はドレスを着て、その下に剣を忍ばせて、刺すところまでやってみよう。
今日自室に戻ったら、早速剣帯をつけて、暮らすんだ。
剣を携えることが当たり前と思うようにならないと、いざと言う時に使えないよ。」
「わかったわ。
いつも身につけるようにするわ。」
こうして、ユリウスの指導の元、着実にあの時願ったなりたい自分に近づいていた。
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