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14.かつての人
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婚約パーティーが済み、結婚まで後少しと言う頃、令嬢達がお茶会を開いてくれるそうで、イボンヌともお話ししたいし、セシーリアは楽しみにしてその日を迎えた。
主催はイボンヌのため、王家の馬車に乗り、公爵邸まで来ていた。
「婚約パーティーでは、ゆっくり話すことができなかったから、今日お誘いいただいて、感謝しています。」
「前回は酷い態度をとってしまって、すみませんでした。
ユリウス様のこと、本当に好きでした。
でも、今は二人を祝福しています。」
令嬢達は口々に謝ってくれる。
お茶会が始まると、
「今はもう釣書で新しい候補の方を選別しているところです。」
「まぁ、私なんてもう夜会に出まくっているわ。」
「えっ、積極的ですわね。」
「私はもう婚約したわ。
彼とデートして、毎日薔薇色よ。」
「まぁ、素敵。」
今まで王妃候補だった令嬢達は、悪い噂が立たないようにと、夜会などを差し控えていた。
それが、王妃候補でなくなると、少しでも条件の良い男性と結婚させたい親達に促され、お茶会、夜会と社交をして、大忙しである。
王妃候補だった令嬢は、王妃になれるほどの教養がありつつ、王とは何もないのが、周知の事実であり、さらに、夜会なども控えていたことから、深層の令嬢として、貴族の男性達にとって、大本命であるから、誘いは目まぐるしいほどである。
令嬢達が新しい未来に向けて、楽しそうに話す恋の話は、王宮に引きこもっているセシーリアにとっても楽しいものであった。
「イボンヌさん、今日はありがとう。
みなさんが前向きになられた姿を見れて、とても嬉しかったわ。」
「こちらこそ、セシーリア様とはみなさん、これからもいいお付き合いをしていきたいと、願っておりますのよ。」
「ありがとうございます。
では、結婚して落ち着いたら、また、お茶会を開くわ。
みなさんの恋愛がさらに進んでいそうね。」
「もう、早々と結婚した方も現れるかもしれませんね。」
「そうね。
ありうるわ。
楽しみね。」
帰りの馬車の中では、会話を思い出しながら、うとうとしていた。
すると、突然周りが騒がしくなる気配がした。
「セシーリア様、声をかけるまで、決してドアをお開けにならないでください。」
「わ、わかりました。」
馬車の扉越しに声をかけられ、小窓から覗くと、近衛騎士達が軍隊かと思われる人数の賊と戦っているのが見えた。
圧倒的な劣勢。
体が小刻みに震える。
私が乗っているのを知っていて、襲っているようね。
何故、私を?
私の予定を把握していた?
だか、賊達は数の差で勝敗をつけると、手荒に馬車を壊し、セシーリアを引っ張り出した。
そして、手首・足首を縛り、あっと言う間に待機していた馬車に投げ入れ、攫って走り出した。
攫われた馬車の中に、一人の男性が乗っていた。
足元に転がるセシーリアを睨みつけているのは、真っ黒に日焼けし、目だけギラつくバーンハルトだった。
主催はイボンヌのため、王家の馬車に乗り、公爵邸まで来ていた。
「婚約パーティーでは、ゆっくり話すことができなかったから、今日お誘いいただいて、感謝しています。」
「前回は酷い態度をとってしまって、すみませんでした。
ユリウス様のこと、本当に好きでした。
でも、今は二人を祝福しています。」
令嬢達は口々に謝ってくれる。
お茶会が始まると、
「今はもう釣書で新しい候補の方を選別しているところです。」
「まぁ、私なんてもう夜会に出まくっているわ。」
「えっ、積極的ですわね。」
「私はもう婚約したわ。
彼とデートして、毎日薔薇色よ。」
「まぁ、素敵。」
今まで王妃候補だった令嬢達は、悪い噂が立たないようにと、夜会などを差し控えていた。
それが、王妃候補でなくなると、少しでも条件の良い男性と結婚させたい親達に促され、お茶会、夜会と社交をして、大忙しである。
王妃候補だった令嬢は、王妃になれるほどの教養がありつつ、王とは何もないのが、周知の事実であり、さらに、夜会なども控えていたことから、深層の令嬢として、貴族の男性達にとって、大本命であるから、誘いは目まぐるしいほどである。
令嬢達が新しい未来に向けて、楽しそうに話す恋の話は、王宮に引きこもっているセシーリアにとっても楽しいものであった。
「イボンヌさん、今日はありがとう。
みなさんが前向きになられた姿を見れて、とても嬉しかったわ。」
「こちらこそ、セシーリア様とはみなさん、これからもいいお付き合いをしていきたいと、願っておりますのよ。」
「ありがとうございます。
では、結婚して落ち着いたら、また、お茶会を開くわ。
みなさんの恋愛がさらに進んでいそうね。」
「もう、早々と結婚した方も現れるかもしれませんね。」
「そうね。
ありうるわ。
楽しみね。」
帰りの馬車の中では、会話を思い出しながら、うとうとしていた。
すると、突然周りが騒がしくなる気配がした。
「セシーリア様、声をかけるまで、決してドアをお開けにならないでください。」
「わ、わかりました。」
馬車の扉越しに声をかけられ、小窓から覗くと、近衛騎士達が軍隊かと思われる人数の賊と戦っているのが見えた。
圧倒的な劣勢。
体が小刻みに震える。
私が乗っているのを知っていて、襲っているようね。
何故、私を?
私の予定を把握していた?
だか、賊達は数の差で勝敗をつけると、手荒に馬車を壊し、セシーリアを引っ張り出した。
そして、手首・足首を縛り、あっと言う間に待機していた馬車に投げ入れ、攫って走り出した。
攫われた馬車の中に、一人の男性が乗っていた。
足元に転がるセシーリアを睨みつけているのは、真っ黒に日焼けし、目だけギラつくバーンハルトだった。
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