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15.離れてしまった二人
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「バーンハルト?」
「久しぶりだね。
名前はまだ覚えてくれているんだ。」
「どうしてこんなことを?」
「浮気者の君を取り戻そうと思ってね。
何故、ユリウスと婚約した?」
バーンハルトは足元に転がるセシーリアを起こそうともしないで、上から睨み続けている。
「それは、そのように言われたからよ。
でも、今は私もユリウスと結婚したいと思っているわ。」
「君は婚約者をあっと言う間に、切り捨てるんだな。」
「そんなことはないわ。
しばらく待ってた。
でも、もうあなたはいないと諦めたのよ。
これまで、どうしていたの?」
「森を出て、匿われていたよ。」
「何故、すぐに出て来なかったの?
兄はあなたを待って、マイルズを代わりに統治しているわ。
あなたが戻ったら、マイルズを返すつもりで。」
「いや違う。
そうやっておびき出して、出て行ったら、やられるんだ。
だから、力をつけるまで潜んでいた。」
「その必要はなかったのに。
兄はマイルズを本当に返すわ。
あなたがいない以上誰かが、統治する必要があったのよ。
わかるでしょ。
ならずものが蔓延ったら、民達が困るわ。
あなたの大切な国じゃない。」
「民もフェルミノ王国の一部になって、みんな喜んでいるって、聞いている。」
「それは知らないわ。
あなたも民に喜ばれる国を作ればいいじゃない。」
「簡単に言うよな。
お前にとっては男を乗り換えれば、済むことだもんな。」
「バーンハルト、忘れたの?
私は命をかけて、あなたを守ろうとしたのに。」
「覚えているよ。
そこまでしておきながら、乗り換えるのが許せないんだ。」
「だったら、どうするつもり?」
「お前を俺の元に戻す。」
「私とあなたはもうどうにもならないわ。
あの時、私達の運命は離れてしまったわ。
申し訳ないけど、私のことは忘れて。
それに私が今生きているのは、ユリウスのおかげなの。
ユリウスが捜索を諦めていたら、私はもう生きていないわ。」
バーンハルトとの会話は噛み合うようで、あってない。
何が彼をそうさせたのか?
縛られたまま、古い物置小屋のような建物に入り、また床に転がされた。
夜になり、周りは薄暗く、静まり返っている。
ずっと縛られたままなので、手も足も痺れて来て、感覚がない。
「バーンハルト、逃げないからこの縄を外して。」
「ダメだ。
君は信用できない。」
バーンハルトは縄を解いてくれそうにない。
でも、私にはユリウスからもらった剣がある。
ユリウスがいつでも使えるようにとくれた剣帯によって、剣をドレスの下に隠してある。
これを使う時が来たわ。
隙を狙って解くしかない。
「久しぶりだね。
名前はまだ覚えてくれているんだ。」
「どうしてこんなことを?」
「浮気者の君を取り戻そうと思ってね。
何故、ユリウスと婚約した?」
バーンハルトは足元に転がるセシーリアを起こそうともしないで、上から睨み続けている。
「それは、そのように言われたからよ。
でも、今は私もユリウスと結婚したいと思っているわ。」
「君は婚約者をあっと言う間に、切り捨てるんだな。」
「そんなことはないわ。
しばらく待ってた。
でも、もうあなたはいないと諦めたのよ。
これまで、どうしていたの?」
「森を出て、匿われていたよ。」
「何故、すぐに出て来なかったの?
兄はあなたを待って、マイルズを代わりに統治しているわ。
あなたが戻ったら、マイルズを返すつもりで。」
「いや違う。
そうやっておびき出して、出て行ったら、やられるんだ。
だから、力をつけるまで潜んでいた。」
「その必要はなかったのに。
兄はマイルズを本当に返すわ。
あなたがいない以上誰かが、統治する必要があったのよ。
わかるでしょ。
ならずものが蔓延ったら、民達が困るわ。
あなたの大切な国じゃない。」
「民もフェルミノ王国の一部になって、みんな喜んでいるって、聞いている。」
「それは知らないわ。
あなたも民に喜ばれる国を作ればいいじゃない。」
「簡単に言うよな。
お前にとっては男を乗り換えれば、済むことだもんな。」
「バーンハルト、忘れたの?
私は命をかけて、あなたを守ろうとしたのに。」
「覚えているよ。
そこまでしておきながら、乗り換えるのが許せないんだ。」
「だったら、どうするつもり?」
「お前を俺の元に戻す。」
「私とあなたはもうどうにもならないわ。
あの時、私達の運命は離れてしまったわ。
申し訳ないけど、私のことは忘れて。
それに私が今生きているのは、ユリウスのおかげなの。
ユリウスが捜索を諦めていたら、私はもう生きていないわ。」
バーンハルトとの会話は噛み合うようで、あってない。
何が彼をそうさせたのか?
縛られたまま、古い物置小屋のような建物に入り、また床に転がされた。
夜になり、周りは薄暗く、静まり返っている。
ずっと縛られたままなので、手も足も痺れて来て、感覚がない。
「バーンハルト、逃げないからこの縄を外して。」
「ダメだ。
君は信用できない。」
バーンハルトは縄を解いてくれそうにない。
でも、私にはユリウスからもらった剣がある。
ユリウスがいつでも使えるようにとくれた剣帯によって、剣をドレスの下に隠してある。
これを使う時が来たわ。
隙を狙って解くしかない。
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