1 / 10
1.幼馴染の二人
しおりを挟む
「まだできないのかい?」
中年の女性ケイラは腕を組み、空腹に苛立って足で机を蹴ってバンバンと音を立てている。
ここは街の一角にある小さな養護院とは名ばかりの、劣悪な環境の子供の施設である。
「もう少しです。」
ノアナはここに住む孤児の一人で、慌ててテーブルにみんなの食事を並べている。
怖い。
早くしないと、またケイラに怒られてしまう。
ケイラは、怒るとヒステリックに何度も私を罵倒する。
だから、彼女の声を聞くだけで私は萎縮してしまう。
「ノアナはパンを並べて。
僕が後はやるから。」
オリオンもまた同じ孤児だが、落ち着いたようすで、ノアナの代わりに厨房から重い鍋を運んで一人分ずつよそう。
ありがとう、オリオン。
オリオンが手伝ってくれたらすぐに終わるから、怒られないですむわ。
ケイラはみんなのご飯の準備が整ってないのにも関わらず、我関せず先に一人で食べ始めた。
周りには小さな子供達もいて、みんなお腹を空かせているが、誰もマナーが悪い大人のケイラを注意することはできずに、顔を伏せている。
ここの院長は先ほどのケイラで、自分は何もせずに、子供達に食事・洗濯などすべての家事をやらせて、寝てばかりいる。
彼女が食べ終わり食堂からいなくなると、やっとみんなは自由に話すことができる。
「さぁ、みんな食事の準備ができたよ。
椅子に座って。」
オリオンの呼びかけで、集まった子供達はきちんと椅子に座る。
それをオリオンは確認すると、
「今日もみんなでご飯が食べられることを、神に感謝します。」
と言って、手を組み祈りを捧げる。
子供達も一斉に祈り、食事が始まる。
「オリオン、今日もありがとう。
私はケイラの声を聞くだけで、緊張してしまって、うまくできなくなるから。」
「大丈夫だよ。
僕がいるから。
ノアナのことはいつだって助けるからね。」
「オリオン、ありがとう。」
助けてくれるオリオンがいなかったら、私はまたケイラを怒らせてしまっていたね。
オリオン以外に、私を助けてくれる人はここにはいないから。
オリオンは、この養護院の中で圧倒的に誰よりも優れ、グリーンの瞳に金髪の綺麗な顔をした天使のような少年だった。
この劣悪な施設には明らかに不釣り合いで、目立ってはいるが、そのことは子供達の目にはわからなかった。
ただ単に頼れる少年として、オリオンを崇めていた。
私もその中の一人で、オリオンのことが大好きだ。
オリオンは、自分のパンをつまむと私の口に入れようと手を伸ばす。
「僕の分もノアナにあげる。」
「いいよ。
オリオンだって、お腹がすいているでしょう?」
「そうだね。
じゃあ、二人で食べよう。」
そう言って、オリオンは素早くパンを小さな私の口に入れる。
びっくりした顔で、思わずオリオンの分のパンを食べてしまう私を見て、笑顔になる。
オリオンの分をもらうことを躊躇う私を知っているから、一瞬の隙にオリオンの分も私にくれてしまうのだ。
ここでは、二人に与えられるパンはかけらほどなのである。
オリオンは、自分がいつも空腹であろうと私を優先する。
私は、オリオンと一緒なら劣悪な環境であるにも関わらず、幸せな毎日を過ごしていた。
だがそれから時が流れたある日、オリオンと過ごす幸せな時は、崩れることになる。
オリオンの親戚の代理人が現れ、オリオンを引き取りたいと申し出たのだ。
お金に目がないケイラは、すぐにお金をたんまりもらうと、オリオンを引き渡した。
「元気でね、オリオン。
幸せになってね。
オリオンのことをずっと忘れないよ。」
「大丈夫だよ。
ノアナ、僕は必ず迎えに来るよ。」
と言葉を残して、オリオンは馬車に乗って、遠ざかって行った。
オリオン、私さみしいよ。
一人で行かないで。
行くなら私も連れて行ってほしいと思っていても、オリオンを困らせるだけだってわかっている。
だから結局、私は何も言わなかった。
私は、今までオリオンがしてくれたことをいつまでも覚えてるよ。
今までありがとう。
迎えに来るって言ってくれたけれど、私達にできることは少ないから、オリオンのその気持ちだけで嬉しいの。
馬車がもう見えなくなった道を、私はいつまでも見つめた。
引き取られたオリオンは、美しい邸に着くとすぐに応接室でこの邸のヒリス侯爵当主に会った。
ヒリス侯爵は、兄の忘れ形見が生きていたことを喜んで、涙した。
何故なら、ヒリス侯爵は何年も人を使い、オリオンを探していたからである。
ある時、オリオンが王都の片隅にある養護院にいるとの情報を得ると、すぐに代理の者を使いに出し、オリオンと再び会うことができた。
オリオンはヒリス侯爵に、
「妹のように可愛がっているノアナも引き取って欲しい。
ダメなら、僕は養護院に帰ります。」
と訴える。
ヒリス侯爵は、オリオンの瞳の中に、この要求をのまないと本当にこの少年を失ってしまうと思わせる強さをみた。
なので予定してはいなかったけれど、その少女も引き取ると、オリオンと約束する。
それを聞いて、これでノアナと一生一緒にいれると思い、オリオンは心の底から喜んだ。
オリオンはノアナの部屋を作り、彼女の喜ぶ顔を見たいと思っていた。
ノアナのためにドレスも靴も準備する。
パンのかけらさえ笑顔になるノアナの幸せいっぱいの顔を見たい。
すべての準備が整うと、オリオンは意気揚々とノアナを迎えに、ヒリス侯爵と養護院に向かった。
そしてその応接室で、ノアナを引き取りたいと話すオリオンの質問に、目を逸らすケイラを許せず、怒りを堪えながら問い詰める。
「では、もうノアナはこちらにいないのですか?」
「ええ、まあそう言うことです。」
ケイラはオリオンから注がれる強い目から、顔を背ける。
見かねたヒリス侯爵は、ケイラにさらに追求する。
「では、どちらに行ったのですか?
そちらに伺いますよ。」
「…。
それは、…。」
「はっきり答えてください。
答えてくれるまで、私達は帰りませんよ。」
「…途中で事故にあって、その先は知りません。」
「わかりました。
では、どちらに行こうとしていたんですか?」
「…。」
「事故ですね?
じゃあ、どこで事故に?」
「ドナーク橋です。」
「ドナーク橋?」
ヒリス侯爵は、顔色を変えた。
それを見たオリオンは悪い予感がした。
「あなたはノアナを奴隷商人に売ったんですね?」
ケイラは息をのみ、ヒリス侯爵の怒りに触れたことを謝り出す。
「すみません、この事をどうか内密に。」
「ダメだ。
養護院の者が、少女を奴隷商人に売るなんて、到底許されることではない。」
ケイラはヒリス侯爵の通報によって、当局に連れて行かれた。
しかしその後、いくら探してもノアナの行方は掴めず、オリオンは落胆した。
そして、ケイラが捕まったことで養護院の院長はいなくなってしまった。
養育すべき子供達をこのまま見捨てるわけにいかず、成り行き上、養護院はヒリス侯爵が引き継ぐことになる。
しかしヒリス侯爵は、元々子供がいなかったので、養護院経営は戸惑うこともあり、オリオンの方が子供達の心も理解するし世話もできるので、オリオンに任せた。
オリオンはすぐに、養護院の壊れている箇所を直し、子供の心に寄り添える大人を雇い、以前の養護院とは比べものにならないぐらいに、良い施設に変えた。
そして、たまたまこの国を変えようとしていたルイス第一王子が視察に来た時に、この養護院の経営方針をいたく気に入り、オリオンを側近にと引き込んだ。
気がつくとオリオンは、この国の王子を支える重要な侯爵子息の一人になっていた。
数年後、オリオンはノアナに準備した部屋で、ぼんやりといつの間にか増えて行った少女が好むようなプレゼントの山を見ていた。
あの後ノアナは、奴隷商人に引き渡される前に橋の上で事故に合い、もう一人の女の子と共に、一瞬の隙を見つけ逃げ出したことが調べでわかった。
だがどんなに探し回っても、その後二人の少女を見た者はおらず、二人は忽然と姿を消してしまった。
あれからノアナの足取りは、途絶えたままだ。
どんなに必死に探しても、もう無理なのかもしれない。
二人の少女が無事でいられるほど、この国の環境は甘くない。
どこかで力尽きている可能性が、ほとんどなのだろう。
でも僕は、頭ではわかっているのに、かわいらしい少女が喜びそうな髪飾りや小物を見つけては、思わず買い込んでしまっている。
ノアナの喜ぶ顔を想像するだけで、僕は幸せになり、結局また買ってしまうのだった。
ノアナ、君はどこに行ってしまったんだろうね。
僕は今でも、君を思い出さない日はないと言うのにね。
中年の女性ケイラは腕を組み、空腹に苛立って足で机を蹴ってバンバンと音を立てている。
ここは街の一角にある小さな養護院とは名ばかりの、劣悪な環境の子供の施設である。
「もう少しです。」
ノアナはここに住む孤児の一人で、慌ててテーブルにみんなの食事を並べている。
怖い。
早くしないと、またケイラに怒られてしまう。
ケイラは、怒るとヒステリックに何度も私を罵倒する。
だから、彼女の声を聞くだけで私は萎縮してしまう。
「ノアナはパンを並べて。
僕が後はやるから。」
オリオンもまた同じ孤児だが、落ち着いたようすで、ノアナの代わりに厨房から重い鍋を運んで一人分ずつよそう。
ありがとう、オリオン。
オリオンが手伝ってくれたらすぐに終わるから、怒られないですむわ。
ケイラはみんなのご飯の準備が整ってないのにも関わらず、我関せず先に一人で食べ始めた。
周りには小さな子供達もいて、みんなお腹を空かせているが、誰もマナーが悪い大人のケイラを注意することはできずに、顔を伏せている。
ここの院長は先ほどのケイラで、自分は何もせずに、子供達に食事・洗濯などすべての家事をやらせて、寝てばかりいる。
彼女が食べ終わり食堂からいなくなると、やっとみんなは自由に話すことができる。
「さぁ、みんな食事の準備ができたよ。
椅子に座って。」
オリオンの呼びかけで、集まった子供達はきちんと椅子に座る。
それをオリオンは確認すると、
「今日もみんなでご飯が食べられることを、神に感謝します。」
と言って、手を組み祈りを捧げる。
子供達も一斉に祈り、食事が始まる。
「オリオン、今日もありがとう。
私はケイラの声を聞くだけで、緊張してしまって、うまくできなくなるから。」
「大丈夫だよ。
僕がいるから。
ノアナのことはいつだって助けるからね。」
「オリオン、ありがとう。」
助けてくれるオリオンがいなかったら、私はまたケイラを怒らせてしまっていたね。
オリオン以外に、私を助けてくれる人はここにはいないから。
オリオンは、この養護院の中で圧倒的に誰よりも優れ、グリーンの瞳に金髪の綺麗な顔をした天使のような少年だった。
この劣悪な施設には明らかに不釣り合いで、目立ってはいるが、そのことは子供達の目にはわからなかった。
ただ単に頼れる少年として、オリオンを崇めていた。
私もその中の一人で、オリオンのことが大好きだ。
オリオンは、自分のパンをつまむと私の口に入れようと手を伸ばす。
「僕の分もノアナにあげる。」
「いいよ。
オリオンだって、お腹がすいているでしょう?」
「そうだね。
じゃあ、二人で食べよう。」
そう言って、オリオンは素早くパンを小さな私の口に入れる。
びっくりした顔で、思わずオリオンの分のパンを食べてしまう私を見て、笑顔になる。
オリオンの分をもらうことを躊躇う私を知っているから、一瞬の隙にオリオンの分も私にくれてしまうのだ。
ここでは、二人に与えられるパンはかけらほどなのである。
オリオンは、自分がいつも空腹であろうと私を優先する。
私は、オリオンと一緒なら劣悪な環境であるにも関わらず、幸せな毎日を過ごしていた。
だがそれから時が流れたある日、オリオンと過ごす幸せな時は、崩れることになる。
オリオンの親戚の代理人が現れ、オリオンを引き取りたいと申し出たのだ。
お金に目がないケイラは、すぐにお金をたんまりもらうと、オリオンを引き渡した。
「元気でね、オリオン。
幸せになってね。
オリオンのことをずっと忘れないよ。」
「大丈夫だよ。
ノアナ、僕は必ず迎えに来るよ。」
と言葉を残して、オリオンは馬車に乗って、遠ざかって行った。
オリオン、私さみしいよ。
一人で行かないで。
行くなら私も連れて行ってほしいと思っていても、オリオンを困らせるだけだってわかっている。
だから結局、私は何も言わなかった。
私は、今までオリオンがしてくれたことをいつまでも覚えてるよ。
今までありがとう。
迎えに来るって言ってくれたけれど、私達にできることは少ないから、オリオンのその気持ちだけで嬉しいの。
馬車がもう見えなくなった道を、私はいつまでも見つめた。
引き取られたオリオンは、美しい邸に着くとすぐに応接室でこの邸のヒリス侯爵当主に会った。
ヒリス侯爵は、兄の忘れ形見が生きていたことを喜んで、涙した。
何故なら、ヒリス侯爵は何年も人を使い、オリオンを探していたからである。
ある時、オリオンが王都の片隅にある養護院にいるとの情報を得ると、すぐに代理の者を使いに出し、オリオンと再び会うことができた。
オリオンはヒリス侯爵に、
「妹のように可愛がっているノアナも引き取って欲しい。
ダメなら、僕は養護院に帰ります。」
と訴える。
ヒリス侯爵は、オリオンの瞳の中に、この要求をのまないと本当にこの少年を失ってしまうと思わせる強さをみた。
なので予定してはいなかったけれど、その少女も引き取ると、オリオンと約束する。
それを聞いて、これでノアナと一生一緒にいれると思い、オリオンは心の底から喜んだ。
オリオンはノアナの部屋を作り、彼女の喜ぶ顔を見たいと思っていた。
ノアナのためにドレスも靴も準備する。
パンのかけらさえ笑顔になるノアナの幸せいっぱいの顔を見たい。
すべての準備が整うと、オリオンは意気揚々とノアナを迎えに、ヒリス侯爵と養護院に向かった。
そしてその応接室で、ノアナを引き取りたいと話すオリオンの質問に、目を逸らすケイラを許せず、怒りを堪えながら問い詰める。
「では、もうノアナはこちらにいないのですか?」
「ええ、まあそう言うことです。」
ケイラはオリオンから注がれる強い目から、顔を背ける。
見かねたヒリス侯爵は、ケイラにさらに追求する。
「では、どちらに行ったのですか?
そちらに伺いますよ。」
「…。
それは、…。」
「はっきり答えてください。
答えてくれるまで、私達は帰りませんよ。」
「…途中で事故にあって、その先は知りません。」
「わかりました。
では、どちらに行こうとしていたんですか?」
「…。」
「事故ですね?
じゃあ、どこで事故に?」
「ドナーク橋です。」
「ドナーク橋?」
ヒリス侯爵は、顔色を変えた。
それを見たオリオンは悪い予感がした。
「あなたはノアナを奴隷商人に売ったんですね?」
ケイラは息をのみ、ヒリス侯爵の怒りに触れたことを謝り出す。
「すみません、この事をどうか内密に。」
「ダメだ。
養護院の者が、少女を奴隷商人に売るなんて、到底許されることではない。」
ケイラはヒリス侯爵の通報によって、当局に連れて行かれた。
しかしその後、いくら探してもノアナの行方は掴めず、オリオンは落胆した。
そして、ケイラが捕まったことで養護院の院長はいなくなってしまった。
養育すべき子供達をこのまま見捨てるわけにいかず、成り行き上、養護院はヒリス侯爵が引き継ぐことになる。
しかしヒリス侯爵は、元々子供がいなかったので、養護院経営は戸惑うこともあり、オリオンの方が子供達の心も理解するし世話もできるので、オリオンに任せた。
オリオンはすぐに、養護院の壊れている箇所を直し、子供の心に寄り添える大人を雇い、以前の養護院とは比べものにならないぐらいに、良い施設に変えた。
そして、たまたまこの国を変えようとしていたルイス第一王子が視察に来た時に、この養護院の経営方針をいたく気に入り、オリオンを側近にと引き込んだ。
気がつくとオリオンは、この国の王子を支える重要な侯爵子息の一人になっていた。
数年後、オリオンはノアナに準備した部屋で、ぼんやりといつの間にか増えて行った少女が好むようなプレゼントの山を見ていた。
あの後ノアナは、奴隷商人に引き渡される前に橋の上で事故に合い、もう一人の女の子と共に、一瞬の隙を見つけ逃げ出したことが調べでわかった。
だがどんなに探し回っても、その後二人の少女を見た者はおらず、二人は忽然と姿を消してしまった。
あれからノアナの足取りは、途絶えたままだ。
どんなに必死に探しても、もう無理なのかもしれない。
二人の少女が無事でいられるほど、この国の環境は甘くない。
どこかで力尽きている可能性が、ほとんどなのだろう。
でも僕は、頭ではわかっているのに、かわいらしい少女が喜びそうな髪飾りや小物を見つけては、思わず買い込んでしまっている。
ノアナの喜ぶ顔を想像するだけで、僕は幸せになり、結局また買ってしまうのだった。
ノアナ、君はどこに行ってしまったんだろうね。
僕は今でも、君を思い出さない日はないと言うのにね。
74
あなたにおすすめの小説
愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。
子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。
――彼女が現れるまでは。
二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。
それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
再会の約束の場所に彼は現れなかった
四折 柊
恋愛
ロジェはジゼルに言った。「ジゼル。三年後にここに来てほしい。僕は君に正式に婚約を申し込みたい」と。平民のロジェは男爵令嬢であるジゼルにプロポーズするために博士号を得たいと考えていた。彼は能力を見込まれ、隣国の研究室に招待されたのだ。
そして三年後、ジゼルは約束の場所でロジェを待った。ところが彼は現れない。代わりにそこに来たのは見知らぬ美しい女性だった。彼女はジゼルに残酷な言葉を放つ。「彼は私と結婚することになりました」とーーーー。(全5話)
氷の騎士と契約結婚したのですが、愛することはないと言われたので契約通り離縁します!
柚屋志宇
恋愛
「お前を愛することはない」
『氷の騎士』侯爵令息ライナスは、伯爵令嬢セルマに白い結婚を宣言した。
セルマは家同士の政略による契約結婚と割り切ってライナスの妻となり、二年後の離縁の日を待つ。
しかし結婚すると、最初は冷たかったライナスだが次第にセルマに好意的になる。
だがセルマは離縁の日が待ち遠しい。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する
ましゅぺちーの
恋愛
大陸一の大国ライドーン帝国の皇帝が崩御した。
その皇帝の子供である第一皇女シャーロットはこの時をずっと待っていた。
シャーロットの母親は今は亡き皇后陛下で皇帝とは政略結婚だった。
皇帝は皇后を蔑ろにし身分の低い女を愛妾として囲った。
やがてその愛妾には子供が生まれた。それが第二皇女プリシラである。
愛妾は皇帝の寵愛を笠に着てやりたい放題でプリシラも両親に甘やかされて我儘に育った。
今までは皇帝の寵愛があったからこそ好きにさせていたが、これからはそうもいかない。
シャーロットは愛妾とプリシラに対する復讐を実行に移す―
一部タイトルを変更しました。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる