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8.結婚式
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お父様の回復を待って、私達は教会で、結婚式を挙げた。
私は、レースたっぷりのウエディングドレスで、レイバンはタキシード。
レイバンのタキシード姿に、令嬢達は、ため息をついている。
王族の方達もいらっしゃって、とても盛大にお祝いした。
夜には、式の方に入りきれない友人達も来て、私達をお祝いしてくれた。
「ちょっと話してもいい?」
シモンが、二人に呼びかける。
「ええ、あの後会っていなかったけれど、私達見ての通り別れないで、結婚したの。
言ってなかったわね。」
「いいんだ。
別れたら教えてって言ってただけだから。
リア、結婚おめでとう。
俺は、結局賭けに負けたよ。」
シモンは、諦めの表情をする。
「えっ?」
「リアは、知らなかったかもだけど、俺が最初のリアの婚約者候補だったんだよ。
ケネス侯爵と父が事業で関わりがあったから。
でも、父の事業は思うような成果があげられず、ケネス侯爵ははっきりと君の婚約者に決めてくれなかった。」
「そうだったの?
初耳だわ。」
「だろうな。
でも、二年前についに父の事業は破綻して、父が亡くなると、ケネス侯爵は、別の婚約者を探し出した。
それが、ダンネベルク卿だよ。
彼はずっとリアと婚約したいと言っていたけど、俺がいたから、ケネス侯爵は断っていたんだ。
でも、俺が婚約者に相応しくないと判断した二年前に、ついに婚約したんだよな。」
「ああ、そうだ。」
「俺は、遊学から戻り、慌てて父の事業を立て直して、ケネス侯爵の事業の共同経営者まで登り詰めた。
けれども、リアはもうすでに、ダンネベルク卿と婚約していて、もうどうにもならなそうだった。
だけど、諦めきれず最後に、メリンダ嬢を煽って、リア達二人の間に隙間を作ったんだよ。
俺とメリンダ嬢の立場は同じだったから、意気投合して。」
「そうだったの?
シモンが、メリンダ様を?」
「ああ。
だけど、俺達がいくら二人を揺すぶっても、二人の関係は崩れなかった。
俺もメリンダ嬢もリア達に負けたんだよ。
だから、協力してくれたメリンダ嬢には、遊学中に知り合ったガイル王国の王子を紹介したんだ。
メリンダ嬢は、王子と結婚するだろう。
リア、諦めきれず、そこまでする俺を恨むかい?」
「いいえ、恨まないわ。
好きな人をなかなか諦められないのは、理解できるわ。
私もレイバンを諦めなかったから。
シモンのおかげで、レイバンのことをすごく好きな自分を知れたし、嫉妬も経験したの。
シモンにもいつか素敵な人が現れたらいいわね。」
「相変わらず、リアは、真っ直ぐで、残酷だよ。
じゃあ、俺はしばらく二人の前に、現れない。
リア幸せにな。
でも、ダンネベルク卿が、リアを悲しませることをしたら、無理せず呼んでいいからな。」
「僕が何があっても、エリシアを離さないことを、誰よりも知っているくせに。」
「お前、本当に嫌いだわ。
じゃーな、リア。」
そう言って、シモンは去って行った。
「シモン、その一言が余計なのに。
不敬だわ。
レイバン怒ってる?」
「大丈夫だよ。
エリシアと結婚できたから。」
「それにしても、私の婚約が決まるまでには、色々なことがあったのね。
全然知らなかったわ。
レイバンは、シモンとのことを知っていたの?」
「ああ、婚約した時、ケネス侯爵から話だけは聞いていた。
オリアーニ侯爵には悪いけれど、僕はチャンスを逃さなかったし、これからも君を手放す気は少しもないんだ。
だから、もうエリシアに知られてもいい。
僕は、君が思っているより、何倍も君を愛してる。
重いと引かれるかと思って、伝えきれないでいた。
これからは、手加減なしだよ。」
「えっ、今までのは、手加減ありだったの?」
「そうだよ。
かなりの手加減ありだよ。」
「えー、私大丈夫かしら?
今でも充分だと思っているのだけど。」
「大丈夫、少しずつ慣らしていくから。」
「そうしてもらうと助かる。」
「うん。
僕は、エリシアが一番大切だから、君が嫌がらない程度に少しずつね。」
そう言って、レイバンは私を抱きしめる。
「さぁ、みんなが、主役の僕達のダンスを待っているよ。」
「ふふ、レイバンは、ダンスが大好きだものね。」
ここに至るまでに、お互い不安になることもあったし、二人が一緒でないと、とても寂しいことも知った。
それでも、お互い諦めなかったから、今の二人があると思う。
人を愛する時には、誰かを不幸にしてしまうこともある。
私達は、その分も抱えて、さらに幸せになろうと思う。
これから先も、レイバンは、女性達にモテるのだろうし、私はその時に嫉妬することもあるだろう。
でも、どんな荒波があっても大丈夫。
私達は、お互いを信じることを諦めないし、レイバンは、これからもずっと、いっぱい愛してくれるだろうから。
完
私は、レースたっぷりのウエディングドレスで、レイバンはタキシード。
レイバンのタキシード姿に、令嬢達は、ため息をついている。
王族の方達もいらっしゃって、とても盛大にお祝いした。
夜には、式の方に入りきれない友人達も来て、私達をお祝いしてくれた。
「ちょっと話してもいい?」
シモンが、二人に呼びかける。
「ええ、あの後会っていなかったけれど、私達見ての通り別れないで、結婚したの。
言ってなかったわね。」
「いいんだ。
別れたら教えてって言ってただけだから。
リア、結婚おめでとう。
俺は、結局賭けに負けたよ。」
シモンは、諦めの表情をする。
「えっ?」
「リアは、知らなかったかもだけど、俺が最初のリアの婚約者候補だったんだよ。
ケネス侯爵と父が事業で関わりがあったから。
でも、父の事業は思うような成果があげられず、ケネス侯爵ははっきりと君の婚約者に決めてくれなかった。」
「そうだったの?
初耳だわ。」
「だろうな。
でも、二年前についに父の事業は破綻して、父が亡くなると、ケネス侯爵は、別の婚約者を探し出した。
それが、ダンネベルク卿だよ。
彼はずっとリアと婚約したいと言っていたけど、俺がいたから、ケネス侯爵は断っていたんだ。
でも、俺が婚約者に相応しくないと判断した二年前に、ついに婚約したんだよな。」
「ああ、そうだ。」
「俺は、遊学から戻り、慌てて父の事業を立て直して、ケネス侯爵の事業の共同経営者まで登り詰めた。
けれども、リアはもうすでに、ダンネベルク卿と婚約していて、もうどうにもならなそうだった。
だけど、諦めきれず最後に、メリンダ嬢を煽って、リア達二人の間に隙間を作ったんだよ。
俺とメリンダ嬢の立場は同じだったから、意気投合して。」
「そうだったの?
シモンが、メリンダ様を?」
「ああ。
だけど、俺達がいくら二人を揺すぶっても、二人の関係は崩れなかった。
俺もメリンダ嬢もリア達に負けたんだよ。
だから、協力してくれたメリンダ嬢には、遊学中に知り合ったガイル王国の王子を紹介したんだ。
メリンダ嬢は、王子と結婚するだろう。
リア、諦めきれず、そこまでする俺を恨むかい?」
「いいえ、恨まないわ。
好きな人をなかなか諦められないのは、理解できるわ。
私もレイバンを諦めなかったから。
シモンのおかげで、レイバンのことをすごく好きな自分を知れたし、嫉妬も経験したの。
シモンにもいつか素敵な人が現れたらいいわね。」
「相変わらず、リアは、真っ直ぐで、残酷だよ。
じゃあ、俺はしばらく二人の前に、現れない。
リア幸せにな。
でも、ダンネベルク卿が、リアを悲しませることをしたら、無理せず呼んでいいからな。」
「僕が何があっても、エリシアを離さないことを、誰よりも知っているくせに。」
「お前、本当に嫌いだわ。
じゃーな、リア。」
そう言って、シモンは去って行った。
「シモン、その一言が余計なのに。
不敬だわ。
レイバン怒ってる?」
「大丈夫だよ。
エリシアと結婚できたから。」
「それにしても、私の婚約が決まるまでには、色々なことがあったのね。
全然知らなかったわ。
レイバンは、シモンとのことを知っていたの?」
「ああ、婚約した時、ケネス侯爵から話だけは聞いていた。
オリアーニ侯爵には悪いけれど、僕はチャンスを逃さなかったし、これからも君を手放す気は少しもないんだ。
だから、もうエリシアに知られてもいい。
僕は、君が思っているより、何倍も君を愛してる。
重いと引かれるかと思って、伝えきれないでいた。
これからは、手加減なしだよ。」
「えっ、今までのは、手加減ありだったの?」
「そうだよ。
かなりの手加減ありだよ。」
「えー、私大丈夫かしら?
今でも充分だと思っているのだけど。」
「大丈夫、少しずつ慣らしていくから。」
「そうしてもらうと助かる。」
「うん。
僕は、エリシアが一番大切だから、君が嫌がらない程度に少しずつね。」
そう言って、レイバンは私を抱きしめる。
「さぁ、みんなが、主役の僕達のダンスを待っているよ。」
「ふふ、レイバンは、ダンスが大好きだものね。」
ここに至るまでに、お互い不安になることもあったし、二人が一緒でないと、とても寂しいことも知った。
それでも、お互い諦めなかったから、今の二人があると思う。
人を愛する時には、誰かを不幸にしてしまうこともある。
私達は、その分も抱えて、さらに幸せになろうと思う。
これから先も、レイバンは、女性達にモテるのだろうし、私はその時に嫉妬することもあるだろう。
でも、どんな荒波があっても大丈夫。
私達は、お互いを信じることを諦めないし、レイバンは、これからもずっと、いっぱい愛してくれるだろうから。
完
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