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14.ルヒィナの友人と夫
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「デニス様、今日もサラ様は素敵でしたわ。」
「それは良かったね。」
今では、サラ様を交えたお茶会を私の邸で開き、その後に彼女と二人で刺繍を楽しむのが、私の日常の一部となっていた。
デニス様は私がサラ様に憧れていることを理解してくれているから、彼女が帰った後、いつもこうしてお話を聞いてくれる。
「今日ね、二人で新しいガーベラの刺繍のデザインを完成させたの。
それをドレスに刺繍して、お揃いにするのよ。
夜会でそれを披露して、ガーベラの刺繍がお揃いであることに、気づく人がいるか試してみるの。
気づく人は刺繍に関心がある人だから、私達の仲間に誘ったらどうかと思って。
そろそろ刺繍仲間を増やしていきたいねって話していたの。
デニス様はどう思う?
みんなに刺繍が好きか聞いて回るより、素敵な方法でしょ。」
「そうだね。
だったら、それに合わせてドレスの生地から二人で選んで、ドレス自体もデザインして作ったらどうだい?」
「そうね、そうすれば、刺繍がより映えるドレスが作れるわ。」
「じゃあ早速、次回サラさんが来る時に合わせてドレス工房を手配しよう。
僕から二人に仲良くなったお祝いにドレスをプレゼントするよ。」
「ありがとう。
それならサラ様に気を遣わせずに誘えるわ。
もう、あなたはどれだけ私を幸せにしてくれるの。
素敵過ぎるわ。」
デニス様は出会ったあの日から変わらず、今でも私が喜ぶことを次々と提案して叶えてくれる。
普通なら、妻が仲の良い友人と過ごせるようにと、ここまで協力してくれる夫はなかなかいないだろう。
「君は、普通の女性は嗜み程度しかできない刺繍を、プロ並みにこなす優れた妻なんだよ。
ところ構わず自慢して歩きたいぐらいさ。」
「まあ、嬉しいわ。
いつも刺繍にばかり夢中になって、あなたに呆れられていると思っていたの。」
「まさか、そんなことはないさ。
君は僕のそばで自由にしてくれるだけでいい。
だって、それが君の幸せなんだろう?」
「ええ、そうよ。」
とっても優しくて、私をいつも喜ばそうと、素敵な言葉と共にくれる人。
あの日、あなたと出会えて本当に良かった。
私は躊躇わず抱きつき、彼に甘える。
デニス様は、結婚を機に、サラ様とお茶会をするためにくつろげる部屋を新しく作ってくれた。
その部屋には友人が多い時用のテーブル、サラ様と二人だけでお茶を飲むテーブル、二人でくつろぎながら刺繍ができるソファなどが置かれている。
私のためを思って、デニス様が細部までこだわり、壁紙、サラ様が座る専用の椅子を座る位置まで徹底して作ってくれた。
私がこの邸の女夫人として、自信を持って友人を招けるようにと、デニス様が細やかに配慮してくれたのだ。
こんなに私を思って色々してくれるなんて。
いつもデニス様に感謝しきりである。
「サラ様のドレスのセンスは相変わらず素晴らしいの。
だから、より刺繍が引き立つのよ。
私ももっとセンスを磨きたいから、少しでも刺繍に役立つアイデアが浮かんだら、今後の参考のためにメモしようかしら?」
「だったら日記を書いたらどうだい?
君のアイデアと共に、その日のサラさんのドレスとそれに施された刺繍糸の種類とか図柄の配置などを記録しておくんだ。
そしたら、後からいつでもその時の会話の内容や刺繍のアイデアを思い返すこともできるだろう?
それを元に今よりもっといいものを作れたら、さらに満足する作品が生まれるだろうし。」
「そうね。
とっても良いアイデアだわ。
早速今日から日記をつけようかしら。」
「だったら、僕からルヒィナに渡したい物があったんだ。
君が刺繍のデザインを書きとめるのに良いかと思って、プレゼントしようと思っていたんだよ。
ちょっと待ってて。」
デニス様が書斎から可愛いリボンのつけられた小箱を持ってくると、そっと私に差し出した。
「あけてごらん。」
「何かしら?」
早速包みを開けると、水色に白いレースのついた布地が貼られた可愛いらしい日記帳が入っていた。
「素敵、日記帳までプレゼントしてくれるなんて、デニス様、どうしてあなたはこんなにも私に良くしてくれるの?」
「夫婦だから当然さ。
君に喜んでもらえて良かったよ。」
「今日からサラ様とお会いした日は、必ず日記をつけるわ。
本当にありがとう。」
私はデニス様がくれた日記帳を胸に抱きしめた。
私がほしい時に、タイミングよくプレゼントしてくれる彼は本当に素敵な夫だわ。
出会った時から、私のサラ様への思いをとても理解してくれている。
本当にこの方と結ばれて良かった。
私は心の底からそう思う。
デニス様は、サラ様とお茶会をする部屋や刺繍するためのドレス、日記帳まで快く用意してくださる。
これ以上、私が喜ぶことをわかってくれる人に会うことなんてできないと思う。
「デニス様、愛しているわ。」
「僕もだよ。」
結婚後も、デニス様から素敵な言葉をいくつももらっているけれど、愛の言葉だけは言ってくれないことが、私の結婚の唯一の不満だった。
私が言ったら返してくれるけれど、彼の私への熱い想いを自分から語ってくれていない。
でもそれは、惜しみなくくれるデニス様の優しさがあるから、求めても仕方ないとも思っている。
「それは良かったね。」
今では、サラ様を交えたお茶会を私の邸で開き、その後に彼女と二人で刺繍を楽しむのが、私の日常の一部となっていた。
デニス様は私がサラ様に憧れていることを理解してくれているから、彼女が帰った後、いつもこうしてお話を聞いてくれる。
「今日ね、二人で新しいガーベラの刺繍のデザインを完成させたの。
それをドレスに刺繍して、お揃いにするのよ。
夜会でそれを披露して、ガーベラの刺繍がお揃いであることに、気づく人がいるか試してみるの。
気づく人は刺繍に関心がある人だから、私達の仲間に誘ったらどうかと思って。
そろそろ刺繍仲間を増やしていきたいねって話していたの。
デニス様はどう思う?
みんなに刺繍が好きか聞いて回るより、素敵な方法でしょ。」
「そうだね。
だったら、それに合わせてドレスの生地から二人で選んで、ドレス自体もデザインして作ったらどうだい?」
「そうね、そうすれば、刺繍がより映えるドレスが作れるわ。」
「じゃあ早速、次回サラさんが来る時に合わせてドレス工房を手配しよう。
僕から二人に仲良くなったお祝いにドレスをプレゼントするよ。」
「ありがとう。
それならサラ様に気を遣わせずに誘えるわ。
もう、あなたはどれだけ私を幸せにしてくれるの。
素敵過ぎるわ。」
デニス様は出会ったあの日から変わらず、今でも私が喜ぶことを次々と提案して叶えてくれる。
普通なら、妻が仲の良い友人と過ごせるようにと、ここまで協力してくれる夫はなかなかいないだろう。
「君は、普通の女性は嗜み程度しかできない刺繍を、プロ並みにこなす優れた妻なんだよ。
ところ構わず自慢して歩きたいぐらいさ。」
「まあ、嬉しいわ。
いつも刺繍にばかり夢中になって、あなたに呆れられていると思っていたの。」
「まさか、そんなことはないさ。
君は僕のそばで自由にしてくれるだけでいい。
だって、それが君の幸せなんだろう?」
「ええ、そうよ。」
とっても優しくて、私をいつも喜ばそうと、素敵な言葉と共にくれる人。
あの日、あなたと出会えて本当に良かった。
私は躊躇わず抱きつき、彼に甘える。
デニス様は、結婚を機に、サラ様とお茶会をするためにくつろげる部屋を新しく作ってくれた。
その部屋には友人が多い時用のテーブル、サラ様と二人だけでお茶を飲むテーブル、二人でくつろぎながら刺繍ができるソファなどが置かれている。
私のためを思って、デニス様が細部までこだわり、壁紙、サラ様が座る専用の椅子を座る位置まで徹底して作ってくれた。
私がこの邸の女夫人として、自信を持って友人を招けるようにと、デニス様が細やかに配慮してくれたのだ。
こんなに私を思って色々してくれるなんて。
いつもデニス様に感謝しきりである。
「サラ様のドレスのセンスは相変わらず素晴らしいの。
だから、より刺繍が引き立つのよ。
私ももっとセンスを磨きたいから、少しでも刺繍に役立つアイデアが浮かんだら、今後の参考のためにメモしようかしら?」
「だったら日記を書いたらどうだい?
君のアイデアと共に、その日のサラさんのドレスとそれに施された刺繍糸の種類とか図柄の配置などを記録しておくんだ。
そしたら、後からいつでもその時の会話の内容や刺繍のアイデアを思い返すこともできるだろう?
それを元に今よりもっといいものを作れたら、さらに満足する作品が生まれるだろうし。」
「そうね。
とっても良いアイデアだわ。
早速今日から日記をつけようかしら。」
「だったら、僕からルヒィナに渡したい物があったんだ。
君が刺繍のデザインを書きとめるのに良いかと思って、プレゼントしようと思っていたんだよ。
ちょっと待ってて。」
デニス様が書斎から可愛いリボンのつけられた小箱を持ってくると、そっと私に差し出した。
「あけてごらん。」
「何かしら?」
早速包みを開けると、水色に白いレースのついた布地が貼られた可愛いらしい日記帳が入っていた。
「素敵、日記帳までプレゼントしてくれるなんて、デニス様、どうしてあなたはこんなにも私に良くしてくれるの?」
「夫婦だから当然さ。
君に喜んでもらえて良かったよ。」
「今日からサラ様とお会いした日は、必ず日記をつけるわ。
本当にありがとう。」
私はデニス様がくれた日記帳を胸に抱きしめた。
私がほしい時に、タイミングよくプレゼントしてくれる彼は本当に素敵な夫だわ。
出会った時から、私のサラ様への思いをとても理解してくれている。
本当にこの方と結ばれて良かった。
私は心の底からそう思う。
デニス様は、サラ様とお茶会をする部屋や刺繍するためのドレス、日記帳まで快く用意してくださる。
これ以上、私が喜ぶことをわかってくれる人に会うことなんてできないと思う。
「デニス様、愛しているわ。」
「僕もだよ。」
結婚後も、デニス様から素敵な言葉をいくつももらっているけれど、愛の言葉だけは言ってくれないことが、私の結婚の唯一の不満だった。
私が言ったら返してくれるけれど、彼の私への熱い想いを自分から語ってくれていない。
でもそれは、惜しみなくくれるデニス様の優しさがあるから、求めても仕方ないとも思っている。
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